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つづれやの仕事

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洗い張り(水洗い)で培ってきた技術の上にあらゆるしみ抜き、洗いを承っております。
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#絹

2020年4月:仕事の様子をまとめておきます。

紗(絹)の御本衣を手入れする 変色した紗(絹)の御本衣 加熱を避けて、常温で時間を掛けて漂白をする。 脱水は遠心分離機を使わず、水の動きを熟知した脱水法をとります。糊入れは新調時の風合いに定めます。特に素材が繊細な紗(絹)ということもあって、自然乾燥を採用しています。ココがポイントになるのですが、自然乾燥を行うことで小じわの発生を抑制しております。 麻の御本衣を手入れする 40年余り愛着された麻の御本衣をお手入れにて漂白しております。加熱・遠心分離機・乾燥機を避け

2020年1月:仕事の様子をまとめておきます。

冒頭の写真は、2020年1月1日午前7時10分、相生市万葉集岬の初日の出です。本年もよろしくお願いいたします。 鍋島緞通のお手入れ お手入れ前 お手入れ後 「一般向けの美しさ」と、御依頼いただきました。 100年余り前に織られたと考えます。型崩れ、移染防止、風合い確保、灰汁の防止、裏地に糊入れ、古美術向けの美しさを目指しました。房を比較してください。全体の汚れもすっきり、藍染めもくっきりしています。 飾りの刺繍 飾りの刺繍が立派です。手入れの方法を考えています。

2019年12月:仕事の様子をまとめておきます。

赤穂緞通と鍋島緞通のお手入れ100年余り前に織られた物と推測されます。藍染めを基調に草木染めの物です。 赤穂緞通:手入れ前 赤穂緞通:手入れ後 藍染めを痛める事なく仕上げられました。型崩れ、色滲みを防ぎながらの作業です。 赤穂緞通:上が手入れ前、下が手入れ後 目指す仕上がりは古美術向けの美しさです。 鍋島緞通:下が手入れ前、上が手入れ後 汗で変色した祭りの帽子素材は絹。「変色を直して」と御依頼いただきました。赤い飾りの染料を痛めず抜くために難儀する。此を直さねば

絹のズボンを水洗い

今の時代、シルク(絹素材)はドライクリーニングと言われていますが、シルク(絹)は太古の昔から水洗いをされてきました、当然です。 絹の洗い方、絞り方、乾燥方法、仕上げ方などを熟知すれば絹を水洗いすることが出来ます。ドライクリーニングはクリーニング店が手を抜くためになされてきました。又は、ドライクリーニングが万能のように錯覚してまいりました。 此を書いている自分自身も50年前は本気で錯覚していました。水で濡れた絹をブラッシングすると「擦れ」が発生し、白けてしまうため「絹は水洗