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誰もが"発信”できる時代 〜早大生インフルエンサーの実態〜

◉メディアにおける情報発信の変容

 新聞、ラジオ、テレビなど様々なメディア媒体が溢れかえっている現代社会ですが、その中でも人々の日常生活に欠かせない存在になりつつあるのは「SNS」です。SNSが普及する前は、メディア関係者になるか、メディア関係者に接点を持つことでしか情報発信をする手段を得ることができませんでした。しかし、SNSの登場により、一般人にも情報発信が可能になりました。

 そこで、私達は、

⚫︎早大生ならではの観点から取材・執筆活動
⚫︎現役早大生がどのような活動に力を入れているのか

に関して、

⚫︎SNSを使用する早大生
⚫︎SNSを使って積極的に情報発信をしている人

に焦点に当て、早大生インフルエンサーにインタビューすることにしました!早大生インフルエンサーの個人史インタビューを通じて、SNSが学生生活にどのような変化をもたらしてきたのか、また、SNSの登場により若者の価値観やメディアとの関わり方が変わっていくのかを分析していきます!

◉自己肯定感クリエイター石橋・最強になりたい女子大生

 そもそもインフルエンサーとは、

人々に影響を及ぼす人物を言い、とくに人気のある芸能人やスポーツ選手、識者などの有名人をはじめ、あるコミュニティや分野のなかで大きな影響力をもつ人、また、その発信が信頼される人のことを意味します。

【引用】日本大百科事典・https://kotobank.jp/word/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%BC-22710

 SNSの普及により、ある1人の発言が多数の人へと伝播しやすくなったことで、口コミの起点や情報を増幅する役割を果たしています。このため、カリスマ的な人気を博す人が、ネット上に数多く登場するようになりました。大学生の間でも、広報活動の一環としてSNSを活用する人や自分自身でコンテンツをセルフプロデュースして情報発信する人など、様々な目的をもってインフルエンサー活動に取り組む人が増えています。

 そこで、今回取材をする対象として、

⚫︎多くのフォロワー(総フォロワー5000人以上)をもつ
⚫︎SNS(Instagram、Twitter、TikTokなど)を使って発信をしている

という条件を設定しました。この記事では、これらに当てはまる早大生インフルエンサーとして、早稲田大学の「最強になりたい女子大生」・石橋さんのインタビューをお届けします。Instagram ・Twitter ・TikTok ・noteと4種類のSNSを通して、「自己肯定感」や「自分磨き」について発信しており、その総フォロワー数は8万人を超えています。

Instagramアカウント
TikTok


Twitter
note

 発信内容は美容・メイク、自己肯定感を上げる習慣など多岐にわたりますが、SNSと共に生きる同年代に向けた発信で共感を集めています。また、石橋さんが実践した自分磨きのコツなどを発信しる点が魅力的です。

石橋(いしばし)
早稲田大学在籍。「最強になりたい女子大生」の名で、SNSを使った情報発信をしていき、1人でも多くの人の自己肯定感アップを目指す。現在は、自分のアカウント運用に加えて、他企業からのSNS運用を任されながら多方面で活躍中。

⚫︎各種SNSのリンク→ https://lit.link/ishibashi 

インタビュー実施日:2023年4月8日 場所:早稲田大学早稲田キャンパス3号館

◉些細な「きっかけ」で始めたインフルエンサー活動

Q インフルエンサーを始めた時期はいつ頃ですか。
石橋:2年前くらいですかね…1年生の冬から2年生の春くらいに始めました。

ー始めたきっかけは何かありましたか。
石橋:きっかけは、1年生の夏からエンタメ系の会社でインターンをしていたことです。そこで、高校3年間で意味のないネタツイをしていた経験や、美容が好きなことを話したら、「発信したらいいじゃん」と言われて、「確かに」と思って。最初はオススメされて始めました。

ー自分から進んでやりたいというわけではなかったということですか。
石橋:元々、何か発信することは好きだったんですが、外に向けて「インフルエンサー」としてやろうとまで思っていなかったです。

ーもし、言われてなかったら、始めてなかったかもしれないですか。
石橋:そうですね。

Q 中学・高校の経験で今の活動に繋がっているものはありますか。
石橋:私は自己肯定感を高めるための発信をしているんですが、誰よりも自分自身が、今までずっと自己肯定感が低くて…だけど負けず嫌いなせいで、人間関係がうまくいかなかったりとか、将来に対して悲観的だったりして、そのネガティブだった経験が今発信してる内容につながっています。

ーネガティブをポジティブに変えたいと思ったターニングポイントはありましたか。
石橋:大学入学時、コロナで外出できなくて、ほとんど家にいたので、自分とゆっくり向き合う時間が取れて。そのときに、「このまま大人になったらまずくないか」と感じました。
 そこから、例えば心理学を勉強したり、瞑想をやってみたり…色々実践して、少しずつ変わっていった感じです。

ーそれが瞑想の方法とか今の活動に繋がってるということですね。(*)

(*)瞑想の説明↓         

Q 自分の考えを言語化することは元々好きだったりしたのか、勉強していく中で成長したのですか。
石橋:昔から本読むこと、弁論とか伝えることが好きではありました。ただ、これまでも自分の考えを色んなところに書いたりしていたわけではなくて、発信することを始めてから、やりたいことが明確になっていったことで、それを伝えるためにはどうしたらいいのかはずっと考えています
 例えば、「瞬間日記」というアプリを使っていて、そこに、ぱっと思いついたことをすぐメモするとか、本を読んでいる時も、役に立ちそうと思った箇所に付箋を貼ったりして、読み終わった後に、全部ノートにまとめるとかしています。発信するようになってからは、より工夫するようになった気がします。

ー今までの積み重ねが大きいということですか。
石橋:そうですね。見返すと、自分の成長に気付くことができて。ある場面に遭遇した時の一時的な自分の気持ちや考えを深堀ることで、自分の持っている価値観だったり、かかっている社会的なバイアスを認識することができると思っています。

Q 投稿を作る時にデザインが重要になってくると思うのですが、デザインセンスを磨くために自分で勉強をされたりしたのでしょうか。
石橋:最初はそれこそ体当たりというか。(笑)最初の所までスクロールしてもらえれば分かると思うんですけど、本当に白地に文字入れただけというところからはじまりました。ただ、毎日やっていくなかで、普段インスタで他の人の投稿を見ている時もデザインに目が行くようになってしまって。「なるほど、こういう使い方があるか。こういうデザインがあるか」という風に、やり始めたからこそ全部がインプットになっていきました。
 発信していく中で他のインフルエンサーさん発信者さん達との交流があって、私は感覚でやっているけど、もっと論理的に、「デザインはこれとこの本を読んでこういう原則があって、だからそれを投稿に落とし込んで」みたいにやっている人も居て。そういう人の話を聞いて「この本オススメだよ」と言われたらちょっと読んでみるとか、感覚でやっている部分もありつつ、ちょっと勉強しつつという部分もあるという感じです。


(*)瞑想の説明↓ 


Q 自分の考えを言語化することは元々好きだったりしたのか、勉強していく中で成長したのですか。
石橋:昔から本読むこと、弁論とか伝えることが好きではありました。ただ、これまでも自分の考えを色んなところに書いたりしていたわけではなくて、発信することを始めてから、やりたいことが明確になっていったことで、それを伝えるためにはどうしたらいいのかはずっと考えています
 例えば、「瞬間日記」というアプリを使っていて、そこに、ぱっと思いついたことをすぐメモするとか、本を読んでいる時も、役に立ちそうと思った箇所に付箋を貼ったりして、読み終わった後に、全部ノートにまとめるとかしています。発信するようになってからは、より工夫するようになった気がします。

ー今までの積み重ねが大きいということですか。
石橋:そうですね。見返すと、自分の成長に気付くことができて。ある場面に遭遇した時の一時的な自分の気持ちや考えを深堀ることで、自分の持っている価値観だったり、かかっている社会的なバイアスを認識することができると思っています。

Q 投稿を作る時にデザインが重要になってくると思うのですが、デザインセンスを磨くために自分で勉強をされたりしたのでしょうか。
石橋:最初はそれこそ体当たりというか。(笑)最初の所までスクロールしてもらえれば分かると思うんですけど、本当に白地に文字入れただけというところからはじまりました。ただ、毎日やっていくなかで、普段インスタで他の人の投稿を見ている時もデザインに目が行くようになってしまって。「なるほど、こういう使い方があるか。こういうデザインがあるか」という風に、やり始めたからこそ全部がインプットになっていきました。
 発信していく中で他のインフルエンサーさん発信者さん達との交流があって、私は感覚でやっているけど、もっと論理的に、「デザインはこれとこの本を読んでこういう原則があって、だからそれを投稿に落とし込んで」みたいにやっている人も居て。そういう人の話を聞いて「この本オススメだよ」と言われたらちょっと読んでみるとか、感覚でやっている部分もありつつ、ちょっと勉強しつつという部分もあるという感じです。

Instagramの投稿欄抜粋写(初期)
Instagramの投稿欄抜粋写(現在)

◉各SNSの使い分けで発信する思い

Q 色々なSNS媒体がある中で、主にInstagramと TikTokを軸にしていることに対する意識は何かありますか。
石橋:インスタから始めたんですけど、インスタは、DMや質問箱を通して、密にコミュニケーションができる一方で、フォロワーの外に広がりにくく拡散性がそんなにないと感じました。そこで、TikTokを始めたら、最初にアップした動画が10万越え再生をして驚きました。だから、TikTokは拡散性を生かして、外に広げていくことを目的にしています。インスタは、自分が1番慣れ親しんでいたから始めたもので、密なコミュニケーションの場として位置付けています。
 最近、Twitterとnoteも始めました。noteは、自分の考えをもっと深く書くことに重きを置いていて、Twitterは使い方をこれから考えていこうと思っているところです。

Q 活動のテーマでもある「"最強"になりたい」とは、どんな状態のことを意味しますか。
石橋:自己受容することかなと思っています。それこそ(人と)比べないことだったり…。ただ、「"最強"になりたい」はフィーリングでつけちゃった部分もあります。

ー「"最強"になりたい」って、言葉のインパクトが大きくて、聞いた時に記憶に残りやすいですよね。
石橋:誰かに「どういうアカウントなの?」って聞かれた時、「最強になりたい」で調べれば分かるよ、って言ってます。(笑)

ー確かに、最初アカウントを見た時、アカウント名、長いなと思いました。(笑)

Q SNSが凄く身近で、他との比較をしやすい世の中だと思うのですが、その中で自己受容していくにはどうしたらよいと考えていらっしゃいますか。
石橋:難しいですね。(笑)それこそ距離を置くことがすごく大事だと思っていて。高校生の時は本当に見た目にも体型にも自信がなくて、「SNSには可愛い人がいっぱいいて、見ていちいち傷ついて、リアルの場でも比較して」みたいなことをやっていたんですけど、今色々勉強していくにつれて、それって本当に異常なことだし、スマホを見るだけでもメンタルにも悪いし...。ということを知ったからこそ、立ち止まって今の状況を俯瞰的に見るということが凄く大事だなと思って。それを伝えたくて発信をしています。

ーそれを石橋さん自身も実践しながら…。
石橋:実践しながら、発信しながら、という感じです。

ー実践しながら伝えていく中で、自分の中で変化を感じた瞬間はありますか。
石橋:感じる瞬間は…凄く継続が上手になったというところとか、あとは今でもSNS見て落ち込むとかあるけど、落ち込んだ時にちゃんと対処できるようになったというか。いろんな意味で大人になったかなと思います。

ー先ほどのリスク管理、事前の対処とか凄いなと思いました。
石橋:発信内容的にもそうなのですが、継続、自分のアカウントをちゃんと動かしていくという意味でも凄く学びがあります。

インタビューの様子

◉学生とインフルエンサーの二足の草鞋を履いた生活

Q 大まかな1日のスケジュールを教えてください。
石橋:今は自分のインフルエンサーとしての活動に加えて、プランナーとしてインターンをしています。インターン先は、広告事業からはじまり、キャラクターや映画など、いろんな「たのしみ」をつくっている会社です。あとは個人事業主として、企業様のSNS運用代行やコンサルをしています。
 大学がある時は、「朝起きてから撮影→電車で編集→空きコマで企画を検討→ミーティング→引き受けている企業のアカウント分析→自分の発信内容、ネタの大枠の検討」で回しています。朝起きた時に何も考えずに撮影出来るように、台本は時間ある時にまとめて作っておいています。自分のアカウントの分析やDMの返信もあるから、夜までずっと1つ1つをこなして帰る感じです。
 それこそ長期休みの時は、インターンにがっつり入っていて、大体のルーティンは変わらないですけど、朝に自分の撮影してから電車の移動時間で編集して、インターン先のオフィスに行ったり、提案先に行ったりして…なんだかんだずっと働いて過ごしています。(笑)

ー自分のアカウントと企業のアカウントを運営する違いは何かありますか。
石橋:自分のアカウントに関しては、もちろん分析もしますが、分析データというより思いをベースにしているところが違いだと思います。どういうところが伝わるかというよりか、何を伝えたいから、それをどのようにして作るか、という頭の働かせ方をしています。
 一方で、企業のアカウントは、伸ばすことが全てでもあり、どうやって魅力を受け取ってもらえるかを起点にして考えるから、コンテンツ内容などを客観的な数字として捉えています。例えば、この投稿は保存数が少ないから、どのように保存率を上げる施策を打とうかなど…完全にビジネスとして、数字としてシビアに見てるという点での違いがあるかもしれないです。

ー確かに、そのように考えるとかなり違いそうですね。
石橋:そうなんです。だから、自分のアカウントに対しても、そのような考え方ができたらなと思ってはいます。自分のことになると、どうしても主観的になってしまいます。

ーありがちだとは思います。ただ、思いが根幹にあるからこそいい部分もあると感じました。
石橋:でもSNSに限らず、客観視は大事にしたいです。

Q 学業とインターン、アルバイトなどの両立はどのように乗り越えていますか
石橋:両立できるかどうかは、テクニックが大きいんじゃないかなと思っていて。私はルーティンを決めるようにしています。例えば、朝から撮影して、電車の中で編集するといったように、とにかくやることを細かく分けてこなしています。あとは、自分に「大変じゃない」と言い聞かせています。(笑)「少しでもやるだけだから」と思って、電車の時間とか朝少し早く起きて時間作って両立しています。

ー1日の睡眠時間はどれくらいですか。話を聞いていると凄く短いように感じたんですが…。
石橋:理想は、8時間だけど、やっぱりどうしても少しずつ短くなっていってはいます。(笑)

Q ハードスケジュールになるとアイデアが行き詰まることもあると思うんですけど、そこはどんな風に乗り越えていっていますか。
石橋:行き詰まった時のリストも作っていて。(笑)
ー凄い。(笑)
石橋:まずちゃんと寝るとか、それこそこのメモを見直すとか。投稿の企画に詰まったときは、他の人のアカウントを見て、良い投稿から良い要素を抽出して、自分では何ができるか考えるとかいうのを。しんどい時って本当にもう「あー」ってなると思うから、事前にリストにしておいてやるだけの状態にして対処しています。(笑)

ーリスクに備えているんですね。(笑)
石橋:最初はそれこそ疲れたら投稿を止めてしまっていたんですけど、それだとあまり続けている意味がないなと思って。もうちょっとできる時に頭を回して続けていく工夫をしなきゃと思って何とか今のこのスタイルに至りました。

ー他の人の投稿を見て吸収するというのは逆に職業病みたいな部分もあると思うのですが、それの弊害はあったりしますか。
石橋:インスタのアカウントとかは本当に邪な気持ちでしか見れなくなっちゃって。(笑)副業目的で始める人は、大体顔は出さないで投稿を作って、伸びてきたらアフィリエイト(*)で商品を売ったり、アカウントを売却する使い方をしています。もちろん使い方は自由ですし、決して悪いことではないんですが、いちユーザーとしてそれが一瞬で分かるようになってしまいましたね。投稿をパッと見てアカウントを見た時に「あっ、アフィリエイト目的のアカウントね」とか。(笑)悪く言うと素直な気持ちで見れなくなってしまったけど、でも良く言うと逆にリテラシーがついたというか、騙されないで見抜けるようにはなったかな。

(*)アフィリエイト→ インターネット広告における「成果報酬型広告」の意味。ウェブサイトの作者が自分のページで商品を紹介し、それを読んだ人が通販サイトでその商品を購入したら、一定額の謝礼がウェブサイトの作者に支払われること。

ーリテラシーの部分で逆に自分が発信する情報が正しいかどうかが重要になってくると思うのですが、そこで意識していることや気を付けていることはありますか。
それでいうととても気を付けていて。私は専門家ではなくて、究極一般の女子大生だから、自分が経験していないことを言わない、ちゃんと自分の実体験ベースに基づいて言うとか。それこそ発信していく中で、ある程度は知識がないとだめだなと思って、化粧品検定を取ったり、あとは今カウンセラーの資格を取っていたり。ある程度勉強しながらじゃないと濃いコンテンツは作れないなと思っています。

ーやっぱり資格持っていますみたいなことが…。
石橋:信頼度に。

ー結局大事になってきますよね。

Q 本読んでいる話がいっぱい出てきたんですけど、月にどれ位読んでいらっしゃるんですか。
石橋:月に10冊とかは読むかもしれないです。めちゃめちゃ読んでいる訳ではないですけど、隙間時間にちょっとずつ読んでいったりとかしています。(*)

(*)読んでいる本↓                                     

ーワードセンスが良いなと思って。私も本を読まなきゃと思うけど結局読めてないです。(笑)
石橋:全然読まない時もあります。結構人を笑わせるのが好きで、どう面白いことを言うかを割と常に考えているので、もしかしたら本よりそっちの方が活きている可能性があります。(笑)

ーどうやって笑わせたりしますか?答えづらいかもしれないんですけど。(笑)
石橋:無意識に思っていることを比喩で言うとか。(笑)どう例えられるか結構考えているかもしれないです。

ー確かに比喩って自分のボキャブラリーセンス問われますよね。

Q ちなみに、この活動をしていることをご両親は知っていらっしゃいますか。(笑)
石橋:言ってないです。ちょっと休学したので、その時に「私SNSで活動していて…」みたいに言ったんですけど、詳しい内容とかアカウントとかは言ってないです。
ーそうなんですね。教える予定もない?
バレなければないかもしれないです。(笑)

ーご両親はSNSに強いわけではないんですか。
石橋:全然。普通のサラリーマンと主婦で。(笑)それこそ常識が違いすぎるから、自分がやりたいことを100%分かってもらえるとはあんまり思っていなくて。ちょっと「SNSやってるよ」と言っただけでも「大丈夫なの?」「やめなさい」みたいに言われたり。心配させないために最低限(言うこと)は必要だけど、内容的にも特に今のSNSと共に育った若い人達にしか理解されない悩みだと思うから、あんまり全部を理解して説得してというよりは、ある程度言っておいた上で、あとは自分でやる方が良いかなと思って、今の所言っていないです。

ー有名でいらっしゃるので、ご両親は知っているのかなと気になりまして。
石橋:SNSのアカウントとか先にブロックしておこうかな。(笑)将来本とかも出したいなと思っていて、書店で私を…。

ーそこで知るみたいな。(笑)
石橋:びっくりするだろうな。(笑)いつか大きくなっていったら言うときが来ると思うけど、そこまでいったら何を言われても引き返せないところにいるので。

ーそうですよね。上の方まで行っちゃえばこっちのものですね。(笑)

◉モチベーションの源泉と苦悩

Q この活動をしている中で、やりがいを感じる瞬間と大変だったことは何かありますか。
石橋:やりがいとしては、全く知らない人から長文のメッセージが来たり、「ありがとうございます」などの声が届いたり、大学の大講義の授業とかで「石橋さんですよね?」と声掛けられて「いつも見てます!」と言ってもらえることですかね。未だに不思議な気分です。リアルを超えて色んな人に自分の思いを伝えられていることを実感する瞬間でもあるし、とにかくそれをプラスに受け取ってもらえるのが1番のやりがいです。
 大変なことは、やはり継続することだと思います。自分1人で発信しているからこそ、モチベーションを保つことだったり、授業とインターンの両立だったり…。あとは、自分がやっていることが本当に正しいのかどうかを壁打ちする相手がいないのもあって、自分の中での意識を保つのが結構大変な点です。

画像:インスタライブ「石橋人生会議」の様子
(→リアルタイムを共有することで、フォロワーさんとの交流を大事にしていることが分かります!)

Q 色んな意味で結果が目に見えやすいSNSに関わる中で、モチベーションを維持する対策はありますか。
石橋:大きく2つあって、まず1つは、始めた瞬間に友達と繋がっているリアルアカウントのストーリーで「始めます」と告知したこと。自ら逃げられない状況を作りました
 もう1つとしては、やる意味・意義を自分の中で明確にすることを大事にしています。例えば、自分の経験を深堀ってみたり、自分がやってることがどのような影響を与えられるかを明確にしていると、あまり迷わないです。
ーしっかりと芯を持って取り組んでいると…。
石橋:大事にしています。

Q やりがいの中であった、フォロワーさんからのメッセージに関して、逆に批判的な意見などのアンチに対しては、どのように接していますか。
石橋:SNSをやっている以上、全員に好かれるとは思っていなくて…確かに、最初は傷付きはしましたけど、今はもう一歩引くようにしています。「この人にもいろんな事情があるのではないか」など考えてみたりします。
 前に1回、TikTokに強めのリプライが来た時は、その内容を議論のネタに使ってみようと思って、それを動画にしてみたりしました。
 私が発信しているものを含めて、フォロワーさんは私の全部を理解しているわけではないし、逆に私も見ているもの全てを分かっているわけではないから、その意味で少し距離を置いてみるようには意識しています

ー客観的に見ることで、ネタにしてみようとしているということですね。
石橋:そうですね。もちろん傷付きはしますけど、本当にお互いのことを見ているわけではないから、(相手も)大変なんだろうなとか思っています。
ーあまり深く受け止めすぎないようにするとこは確かに大事だと思います。
石橋:ある程度の距離を置いておかないと、継続してやっていくのは難しいと感じます。

Q 続けていく中で、どういう所から刺激や発信しようと思うトピックを得ていくのか気になります。
石橋:それこそ全部から。(笑)さっきメモしていると言ったんですけど、例えば本を読むとかもそうだし、人と話していて凄く気が付くこともいっぱいあって、それをすぐメモしたり。最近Twitterでバズっていたけど、電車の中の車内広告が高校生に二重整形を勧めるような広告だったり、「これはやばいだろ」というものを見て、他にもないのかと電車の中を見てみたり。発信するつもりでいると自然と日常全部がインプットになるなと思っています。

ーそういう意識で全部ストックしていって…?
石橋:そうですね。全然忘れている時もあるけど。(笑)

ー1日にどれ位メモは溜まっていくものなのでしょうか。
石橋:本当に何もしない時もあるし、考えた時にノートにたくさん書いたり、日によってまちまちです。

ー多い時の量はどれくらい…?
石橋:ちょっと待ってくださいね。(メモを探す)

ーメモは結構スマホですることが多いんですか?
石橋:スマホにバーッと書いています。どのくらいだろう、難しいな。

ー多い時の共通点って何かありますか。
石橋:これ記事にできるか分からないんですけど、酔っている時とか。(笑)普段凄く抑圧されて生きているのが解かれる瞬間というか、家でリラックスしている時とか、お酒飲んでいる時とか、結構自分の中の自制心を解いた時にわーっといっぱい出てくることがあって。そういう時に沢山書いたりしています。

ー意識的に抑圧を解放しようとする日もあったりしますか。
石橋:ありますね。心理学を勉強していく中で、科学的に人間の脳の97%が潜在意識であるという事実を知って。子どもの時は潜在意識と顕在意識の差がないから自由に騒いだりするけど、大人になるにつれて「こういう所ではこうしちゃ駄目ですよ」とか、「友達に悪いことしちゃ駄目ですよ」とか、いろんな「常識」を知ってどんどん意識が抑圧されてしまう、ということを知った時に「解放しなきゃ!」と思って。(笑)自分の中の、人に気を遣わない素の自分を意識的に見るようにはしています。そのために、家でなにもしない時間を取ったり、一人でどこか出掛けてみたりもしています。

◉今後の展望とフォロワーさんへのメッセージ

Q 大きな目標として「"最強"になりたい」があると思いますが、インフルエンサーを通じて描く今後の展望について、お聞かせください。
石橋:今は、時々イベントとかもありつつ、基本的にSNSの中で活動をしています。
 今、インフルエンサーとして生きていく方法としては、広告案件がメインで。ただ私は、広告案件は信頼の切り売りであると感じていて、自分が積み上げてきた信頼を不本意なかたちでお金に変えることに抵抗があります。そのぶん、それこそSNSを越えて、例えばブランドを作ったり、コミュニティを作ったりすることによって、もっと活動の幅を広げていきたいなと考えています。

Q 自己肯定感に関連したブランドを立ち上げたいと聞きましたが、現時点で具体的に考えていることは何かありますか。
石橋:はい、睡眠にまつわるなにかを作りたいと今考えているところです。例えば、私もそうなんですが、寝る前に書く日記は、空欄を見ると続けてない期間が如実に分かってしまうので、自然と自己肯定感が低下するという問題があると考えています。だから、いくらサボっても自分を肯定できる日記のような、ひとひねりしたアイディアを生かして、楽しい睡眠ライフを送るための商品を作りたいなと思っています。

ー楽しみです。私も日記をつけようと思ったこと何回もありますけど、三日坊主でした。(笑)
石橋:そうですよね。(笑)それこそ自分の日記やメモを見返した時に、蓄積されたものを実感できて。自分の成長を客観的に見るられるのはすごく面白いから、「サボってもいいから続けよう」と伝えたいです。

Q これからも引き続き発信をしていくということで、フォロワーさんに最後に伝えたいことは何ですか。
石橋:やっぱり一度きりの人生だから、自分に起こったこととか自分が悩んでいることをプラスに受け止めて、自分らしく楽しく生きてほしいなと思います。

◉インタビューを終えて

 インタビューをしてみて純粋に凄いなと思いました!その活躍は(同級生なので)同じ教室で授業を受けていたことが遥か昔の記憶のように思えるほどで、何万人ものフォロワーを抱えて、発信した自分の考えや思いが多くの人の心の支えになったり、励ましになったりしていることに驚きと尊敬の気持ちで溢れました。

 SNSの発展に伴い、誰もが情報を発信しやすくなったため、「インフルエンサー」「起業家」といった肩書きを学生のうちから得やすくなっていますが、それでも実際に取り掛かるハードルは高くあると感じます。そこに対して、揺るがない強い信念を軸にして取り組み、軌道に乗るまでに時間を要する中でも継続し続けることに、同じ学生として見習うべき点が多くありました。「活動を通して、顔も名前も知らない人からの長文DM、『ありがとう』が嬉しい」とインタビューに応える姿は、印象強く残っていて、そこから得られる喜びは、他の何にも変えられないものなのではないかと思い、インフルエンサーという活動の醍醐味を痛感しました。

 最後になりましたが、本当に忙しい中、時間を作って、インタビューを引き受けてくれて、ありがとうございました。これから更にSNSを超えた取り組みをしていきながら、1人でも多くの人が自分らしく楽しく生きていく「きっかけ」になれるよう活躍していくことに期待して、引き続き一ファンとして応援しています!!!

文責:音琴、佐々木