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コロナ禍後の早稲田生の思いを探る

早稲田生は各学年につき10,000人近くもおり、一括りに早大生と言っても全く異なる学生生活を送っています。そのため、授業で隣に座っている人が何をしているのか分からない、ということも多いです。特にコロナ禍では学生同士の交流も減りました。そこで今回は学年も学部も属性もバラバラな3人の学生に対してインタビューを行い、それぞれの個性を浮き彫りにすることで早稲田大学の魅力の発見を試みました。

【インタビュー@早稲田大学早稲田キャンパス3号館】

◉3人の自己紹介

A:早稲田大学4年、文学部東洋哲学コース所属のAと申します。最近は卒論を出したからやることがなくて。特に俺は院進なので、本当に今暇してるだけだね。サークルは企画サークルともう一つ入っていましたが、片方は追放されたので今のところ一つだけ。会費を払わないことを口実に追放されてしまった。(笑)
B:政治経済学部、経済学科の3年生です。サークルは勉強系と就活系、後者は立ち上げメンバーとして携わりました。ちょうど昨日、就活を終えたので「何をして遊ぼうかな」とか考えています。
C:法学部の2年生で、サークルはオールラウンドサークルの副幹事長をやってます。あと今は2年生の春休みということで、絶賛就活中です。また、アルバイトは塾で働いており、少しずつ勉強しながら頑張って取り組んでいます。

◉早稲田生の1年間の過ごし方

ー大学生活を振り返って、昨年の1年間はどのように過ごされていましたか。
A:この1年は卒論と院試の勉強以外は何もやらなくて、単位も3年の時に取り切ってしまったので、何もしてない感じ。卒論(卒業論文)用に軽く本を調べて、院試(大学院入学試験)用に軽く勉強して、ゲームしてご飯を食べて寝ている。俺は東洋哲学を専攻してるから院試の勉強としては英語と漢文とサンスクリットの勉強だね。全然できてなかったけどそれぐらいかな、この1年は。(笑)卒論が終わったらもう12月の中旬ぐらいだったので、それ以降は本当に何もしていない。
B:私は3年生だったので就活をバリバリにスタートさせて、4月、5月ぐらいで自己分析や業界分析をして、6月からはサマーインターン用のES(エントリーシート)を書き、7月や8月、遅いと9月ぐらいまでサマーインターンに参加しました。秋学期が始まってからは中間試験や期末試験を受けて、年明けの1月や2月からの早期選考や社員さんとの面談などに取り組みました。私はリクルーターの方を経由して面接を行ったので、(3年生の)3月時点でリクルーターの方と数回面談をして、最終面接を受けて終わり、という感じで今に至ります。就活と並行して、大学の講義は前期は22単位、後期は15単位くらい取得したかな。
C:自分は学部2年で就活などはほぼ行っておらず、とりあえずアルバイトで稼いだお金を使って、アルバイト先やサークルで飲みに行く位でした。あとは車が好きなので、ドライブに行ったりしました。単位は6単位ぐらい落として、それ以外は良い感じに取れたと思います。落とした授業に関しては、成績評価の内訳が「テスト100%」でしたが、試験前に勉強を3時間位しかしなかったので、そのせいかなと…。(笑)必修だったのですが、秋学期でなんとか単位を取得できました。

◉早稲田大学へのイメージの変化

ーそもそもなぜ早稲田大学に入学したのか、またその学部を選択した理由を教えてください。
A:一番しょうがない話になるんだけど、合格したので入学した。そもそも第一志望が京都大学で、滑り止めで同志社大学を受けようとしてた。しかし、出願の時期を間違えてしまって同志社大学に出願できなかったんだよ。なので出願期間ギリギリで早稲田に出願して、京大に落ちて、そして(早稲田に)合格したので入学した。文学部を選んだ理由は、そもそも文学が好きだから、というのは何のひねりもないと思うんだけど、それかな…。早稲田の文学部は結構有名だし、「まあいっか」と思いつつ入学した。(笑)
ーAさんは地方出身ということですが、上京するにあたって抵抗とかはありましたか。
A:俺自身は特になかった。一応地方の自称進学校に通っていたので、東京に友達も結構いたから別に、という感じだった。親とかも特に問題はなかった。まあそこ(早稲田)しか行く大学がないんだから、(親に対して)「2浪するぞ」って脅せばこっちのものだったから。(笑)
B:私が早稲田大学に入学した理由は、少しお恥ずかしいのですが、大学の雰囲気です。最終的には一橋大学の経済学部にも合格したのですが、先に早稲田の綺麗な3号館で試験を受けて、その後に一橋に受けに行ったときに(施設などに)落差を感じたことと、早稲田で一緒に受験をした方たちが、浪人生が多いということもあると思いますが髪を染めてる方や、ピアスを付けている方がいて、すごくおしゃれだったので、「私もこの人たちと同期になれば、洗練されるかも」という思いで早稲田を選びました。
 政治経済学部を選んだ理由としては、私は数学が得意だったのですが、物理や化学が全然駄目だったので、高校では文系に進みました。しかし大学進学後は得意な数学を活かし、学んでいきたい、という思いがあったので、文系の中で唯一数学が使える経済学部に進学したいと思ったからです。高校でも数Ⅲまで取り組みました。
 慶應は私の勝手なイメージでとても恥ずかしいのですが、慶應の男の子に苦手意識があったので受験していないです。私の母の話で、昔の”慶應ボーイ”のイメージということで聞いて欲しいのですが、母が当時付き合ってた方がいわゆる”慶應ボーイ”で、お付き合いしていく中で母が心変わりし、「別れよう」みたいな話をした時に、彼氏からメロンソーダを吹っかけられて別れた話をずっと聞かされていたので、ちょっと”慶應ボーイ”は嫌だな、と思って受験しませんでした。(笑)
C:自分が早稲田大学を選んだ理由は、高校時代に通っていた塾が公開している偏差値で決めたからです。自分は高2の夏ぐらいに偏差値40位で、早稲田に合格できるような偏差値帯ではなかったので、まずは中央大学を目指して受験勉強をしていました。しかし勉強を進めるうちに、成績がかなり上昇したので、より高偏差値の早稲田大学を目指すようになりました。
 あと法学部を選んだ理由は、自分の元々の夢が国家公務員だったため、法律をどうしても学ばなければならななかったからです。でも大学に入学して、法律を学ぶうちに、法律が嫌いになってきたので、国家公務員は諦めて、民間就職で頑張ろうかなと思っています。(笑)受験期は1日13時間ぐらい勉強して、偏差値は40いくつくらいから、最後は67くらいになりました。上がった要因は、勉強する中でPDCAを繰り返し、自分はどういう勉強方法が合っているか仮説を立て、実行に移す中で自分にその方法が合っていれば続けるという方法を採ったからだと思います。勉強方法が合っていなければ、他の勉強を試してのように勉強方法の試行錯誤に取り組んでいました。大学入学後はあまり勉強してないので活きていないです。(笑)
ー早稲田大学・慶應大学に対する印象について教えてください。
C:早稲田大学はオープンキャンパスで高校1年生の時に来て、そこで本当に(大学周辺が)街みたいな点に感動して憧れてました。あとは慶應を受けなかった理由なんですけど、自分の父が慶應の法学部だったんですけど、父に「慶應は絶対受けるな」って言われて。理由はやっぱりチャラいからだと。父に「自分が慶應生だったとき、周りが勉強を全然していなかったから慶應は駄目だ」って言われて、慶應は諦めました。(笑)
A:俺は早稲田や慶應に何かしらイメージを抱いたことがなかったんで、わりかしあれなんだけど、慶應の方がチャラいとかはあるよね。
B:私は慶應の方がチャラいっていうイメージがあったんですけど、何か慶應の方が裕福な人が多いみたいなイメージで、早稲田は自分で頑張って奨学金とか貰って、自力で来る人が多いイメージ。1年生の時に「基礎演習」っていう、ホームルームみたいな授業があって、そこで話していた子の中に「上京してバイトで生活費を稼いでいたのに、クビになってもうどうしようもない…」みたいな子が何人かいたので、自分で稼ぎながら頑張って早稲田で学んでいるっていう子は一定数いる、という印象はあります。

よくテレビなどで映されることが多い建物。早稲田大学早稲田キャンパスにある大隈講堂
慶應大学三田キャンパスの東門

◉個性的な人が集まる大学、早稲田

ー早稲田大学での大学生活とか早稲田生の魅力を教えてください。
B:早稲田生の魅力みたいなところはさっきのところと繋がるんですけど、 たたき上げというか、自分の力でどうにかしていこうっていう気概がある人が多いかなっていうイメージがあって…。さっき言ったみたいに自分で稼ぎ、頑張って生活してる人も勿論います。あと去年、あるサークルの立ち上げに私は関わったのですが、サークルの立ち上げに協力した理由として、「早稲田に問題意識を持って、その問題点を変えようとして動いた(サークルを立ち上げた)」という点に共感したから、という点があります。あと授業などの観点で行くと、他の大学の授業はあまり見たことがないので何とも言えないんですけど、私は政経の大人数で行われる授業が好きです。なぜなら授業中、あまり教授に当てられずにただ授業を聞いてるだけでいいから。(笑)
A:一つは単純に人が多いから、サークルが大規模になることで束縛が少なくて、俺1人いなくても問題ないよね、みたいな感じで緩い人間関係がある。もう一つは人が多い故に、層が広いっていうのかな。ぶっ飛んだ人はいくらでもいるし、それこそ早稲田に受かって、俺みたいに遊び暮らしてきた人も、浪人して入学した人もいて、さらに推薦で受かって何も考えずにいる人もいる。俺なんて男子校中高一貫の自称進学校の純粋培養だったら、世の中にはこんな人間もいるんだっていうのを思い知らされた。
C:早稲田大学の人ってメリハリがしっかりついてる人が多いかなって思います。一部極端な人たちがいるけど、大体の人は、めっちゃ遊びも楽しみつつ、やるところはしっかりやる。例えば就活とかも他の大学の人って全然今(大学2年生の3月ごろ)は遊び惚けてるんですけど、早稲田の人は今の時期から就活をしっかり始めて、裏で頑張ってる。あとは単位の話でも、自分は春学期に落とした単位があるんですけど、「勉強してないよー」なんて言ってても、裏では意外と勉強してる人が多い気がします。
ー逆に早稲田大学の悪いところとこれまで会った人の中で面白かった人・やばい人みたいな思い出を教えてほしいです。
C:話せないレベルの人が1人いるからそこを抜いて…。自分のバイト先で早稲田の社会科学部所属の人がいるんですけど、最近高田馬場のある居酒屋のガラスが、めっちゃ割れてると思うんですけど、誰か割ったのかなって思ったら、そいつでした。(笑)
B:私が聞いたやばい人は、サークルの二つ上の先輩なんですけど、当時その3年生の先輩方達と私達一年生で、「夜に集まって、歩いて山手線を1周しよう!」という謎の企画を始めた先輩方がいて…。補導はされなかったものの、「補導されるかと思ってハラハラしたよね」みたいな話を笑顔で先輩が話してきたときに「やべえな」って思ったことがあります。
A:二つあって、1つは陽キャの奴と1つは陰キャの奴。陽キャの奴は毎晩のように高田馬場のロータリーで女をナンパしてて、その欲はどこから出てくるんだ、っていう。(笑)陰キャの方は、1年の頃に「早稲田祭で仮面ライダー展をやるから来てね」って俺が彼から言われて…。俺は行かなかったんですけど、後日友達から聞いたら、「あいつ1人で仮面ライダー展のブースを作って1人でやってたよ」って言ってて。まじでその熱意はどこから来たんだって。(笑)

◉学部毎の講義の違い

ー大学での勉強は難しいですか。
C:自分は難しいと思います。特に法律はもう嫌なぐらい…。(笑)法学部ってテスト勉強で忙しいっていうイメージがあると思いますが、実際、テストが全部論述試験なのできつい。あと、法学部の8号館に入ると湿気がちょっと多くて、その雰囲気が好きじゃないんですよね。
B:政経だと、私は数学が得意なので経済学の分野だったらあまり難しくないのですが、経済学科なのに政治学科の単位を取らなきゃいけなくて…。しかも一年生のときの必修授業に「公共哲学(政治)」っていう授業があって、それは政治である上に哲学でもあるんで、教授が何を言ってるのか全く理解できなかった。結局、その授業はコロナのせいでオンデマンド授業だったからこそ、単位を取れたみたいな授業がありますね。
A:文学部系はあそぶんがく(遊ぶ文学)、あそぶんこう(遊ぶ文構)って言われてる程楽だけど、自分の専門ってなると流石に全然知らないことばっかりで難しかった。あと、適当な授業は2000字とか4000字とかのレポートさえ出せば終わりだからだいぶ楽。ただ、専門分野だと知らないこともあるし、漢文で和訳をミスしたら教授がチクチク言ってくる。(笑)今の専門は東洋哲学だけど、なぜ東洋哲学を選んだのかというと、かっこいいから。(笑)あと文学部は最初の1年で2外(第2外国語)を週4で受けるんだけど、出席もテストもぎりぎりだった。先輩は教えてくれないから自分で勉強して何とか試験を乗り越えたけど、周りの人間もみんな単位を落としたりしてて、1年の2外が一番きついと思う。
ー過去問集めはどのように行っていたのですか。
C:過去問はネット上に載っています。早稲田大学の一部の学部では公式ウェブサイトに定期試験の過去問が掲載されているので(掲載されていない科目もある)、少なくとも法学部の学生は過去問集めには全然困ってないですね。単位を落とすやつは落とすっていう感じです。
ー科目登録はどういう基準でやってますか。
C:今期はめっちゃ楽単(単位を取得するのが楽である、とされている授業)を取っています。法律科目に関してはもう学ぶ意欲がないので、とにかくめっちゃ楽単なやつを。それ以外は商学部とか他学部の面白そうな科目を自由選択で取っています。他学部にプルデンシャル生命保険株式会社が寄附している「営業学」という授業と株式会社日本M&Aセンターホールディングスが寄附している「起業家養成講座」という講義があって、それを今友達と取っています。というのも将来何か事業を立ち上げたいな、って考えていて、授業の内容に起業と絡み合うところが多少あると思い、受講しています。これまで塾でチューターとして働く中で、校舎の運営に関わっているのですが、その経験から未来のリーダーとして働きたいかなって考えるようになり、起業に意欲が出てきました。
B:これまでは卒業に必要な経済学の単位とか政治学の単位とか、分析系の単位とかを取り切ることを目標にやってきたんですけど、去年で取り終わったので本当に取りたい体育科目などを何個か取りました
A:1年の頃は本当に2外(第2外国語、英語以外に学ばなければならない外国語。どの言語を学ぶかは自分で選択可能。)がきつかったから、楽単だけ取っていたけど、2年になると自分の興味に応じて取るようになった。文学部だから欧米に関する授業とか政治経済とか公共福祉とか自分が好きなものを乱雑に取ったって感じ。4年生では2単位だけ取って、もう卒業に必要な単位を取れました。4年間で落とした単位は8単位だけ。
C:私は2年間で8単位です。なので僕と同じですね。(笑)
B:私は2科目を落としたので4単位です。どちらも政治関連の授業でした。

◉入学年度毎のコロナの弊害

ーコロナ禍前後での大学生活の変化はありましたか。
A:1年生の頃はコロナ前と言うことで普通だったけど、2年になってコロナ禍となり、授業が全部オンデマンド(自宅や図書館など、受講生の好きな場所でで動画を見ながら学習する授業スタイル)になって、バイトもせず、飲みにも行けなくなった。だからマジで暇で、結構苦しかった。けど国から給付金として30万円ぐらい貰えたのは良かったな。(笑)コロナ禍の際は科目登録でレポート1本だけとかの楽そうな授業を選択的に取るようにした。あとは1限とか2限の授業を取って半分寝ながら授業聞くとかそんな感じ。あとは授業がオンデマンドになったのに何でこんな高い授業料を取るんだろうとは思った。(笑)
ーBさんはコロナ禍での大学生活が長かったと思いますが、入学前に思い描いていた学生生活は送れましたか。
B:大学に高校の先輩がいたので、その先輩から聞いた話で入学前にイメージしていた大学生活は、まず新歓(4月に各サークルが、新1年生を勧誘するべく行うイベント)期間に、めちゃめちゃ大量のビラをもらって、それで先輩からたくさんご飯に誘ってもらったり、そういうキャンパスライフを描いていましたね。けれど、実際は1年生のときはコロナ禍で新歓も全部オンラインで、しかも何かビラとかもらえるわけでもなく、自分からネット上で情報を探して、「新歓に参加したいです」って言わないといけないぐらいだったので、「なかなか想像と違うな」っていうところはありました。なので友達作りも大変な点があったんですけど、対面で多くの方と会わない分、必要最低限の友達で済んだところはありましたね。仲良くなった子たちと遊びに行ったりもできましたし。”人脈を広げる力”みたいなものはコロナ禍を通して培われたと思います。他の大学も授業がオンライン化され、キャンパスにすら入れなかったと聞き、むしろ早稲田は結構対応が早い方だった、みたいな話も聞いたので、その点は早稲田で良かったなという思いです。
ー入学式が遅くなった弊害はありましたか?
B:入学式が遅かったことは特に不満はないんですけど、多分1、2年生合同で入学式を行ったせいで、大隈銅像での記念写真の列が長くなったのはちょっと辛かったです。

入学式や卒業式、早稲田祭の時は大隈銅像周辺で記念写真を撮る人が多い

ーCさんはコロナ禍での大学受験でしたが、大学受験に当たって、各大学のコロナに対する対応とかは見ていましたか。
C:見ていないです。そこまで気にしてなかったです。先輩からはちょくちょく話は聞いていましたが、私の入学する頃にはそろそろ回復するかな、どうせ裏では皆で飲みをやってるんだろうな、とは思ってました。新歓に関しては一つ上の学年よりは対面で参加できました。けれどビラ配りとかはなかったですね。思ってたよりはまだまだ制限が厳しかったです。
ーAさんはコロナ禍前の入学ですが、本来(コロナ禍前)の新歓はどんな感じでしたか。
A:騒がしかった。先輩がタダで飯を食わせてくれるから、先輩にノコノコついて行って、結局奢ってもらった。サークルの多くには入会しなかったけど、楽しかった思い出がある。2ヶ月間分ぐらいの食費は浮いたかな。先輩が1年生にご飯を奢る文化は1年生に対する福祉と言えると思う。新歓を通して友達もある程度はできたけど、それは新歓に行ってできるというよりもサークルに入会してできるって訳。だから新歓そのものにそんなに意味はないのかな、とは思う。とにかく手当たり次第に先輩からご飯に誘われたら、行ってた。(笑)大隈講堂辺りをスーツで歩いていると1年だとわかるから数多くのサークルから両手いっぱいにビラを貰ってた。(笑)

今年の新歓の風景。これでもコロナ禍前よりは比較にならないほどおとなしめなんだとか。

◉早稲田生には努力家が多い

―早稲田大学にはどのような人が多いと思いますか?
B:学部によって違いがありますが、全体的に「自力で何とかしてやろう」という気概がある人が多いと思います。
A:早稲田大学全体で、実学系の学問を好む人が多い気がする。それが転じて、周囲を見渡してみても2年生の春休みから就職活動を始める人が多かった。俺はもう少し遊んでいたかったと思っていたので、そこは不満だったけど。(笑)
 あと、Bさんが言うように「自分の力で頑張るぞ」という人も多い気がする。俺が思うにこれは親が成り上がり世代だったからかな。親が一代で身を起こして、子どもを早稲田に入学させて。そして子どももそんな親を見ているからこそ、「自分も頑張るぞ」と考えて行動する人が多いんだと思う。
C:私も頑張れる人が多いと思います。例えば見た目では頑張らずに遊んでいそうだけど、裏ではしっかり努力していて、結果単位も取るし就職活動も何とかなるみたいな。これは先輩達を見ていても伝わりますね。

◉同じ「早稲田生」、でも学部によって色が違う

―早稲田には多くの学部があると思いますが、各学部のイメージなどはありますか?
A:政治経済学部の学生は賢いらしい、とは入学前に聞いていた。私は日程の関係で政経の入試を受けられなかったんだけど、入学後もかっこよさそうに見えるし、うらやましいな、と思う。

3号館(政治経済学部棟)

C:政経は私の代から入試に数学が必須となったため、数学ができる印象が強いです。あと、生産性を求めている人が多いイメージがあります。あとはシャツをインして、ジャケットを着ている人が多いイメージも。(笑)
B:私は政経所属ですが、政経は良くも悪くも真面目で、要領が良い一方、プライドが高めな人が多いです。これまで努力してきた人が多いからですかね。
C:私の所属する法学部は、おとなしい人が多いイメージがあります。ただたまに意識が高すぎて、授業中に空回りしているような人もいますが。(笑)

8号館(法学部)

B:国際教養学部は留学を経験している学生が多いからか、外国人に近い日本人が多くいるイメージがあります。例えば革ジャンを着ている、髪をかき上げているなど、海外に寄せたファッションの人が多いイメージです。

11号館(商学部・国際教養学部棟)

C:国際教養学部は1年生の春学期に勉強をとにかく頑張る人が多いイメージです。というのも1年春学期の成績で留学先が決まるらしいため、みんな人気の留学先へ行くために良い成績を取ろうと必死になるみたいです。
A:教育学部は全員教職課程を取るイメージだったけど、実際は必ずしもそうではないみたいだね。実際に教職課程を取るのは難しいとか。

16号館(教育学部棟)

C:あと学部棟の遠さには同情します。(笑)とにかく早稲田駅から遠いので、法学部の自分より一本速い電車に乗らなければ授業に間に合わないって友人が言ってました。あとエスカレーターも無いですし。(笑)
B:商学部は明るい人が多い気がします。早稲田生が多いインカレサークルに所属していたことがあるのですが、そのサークルで出会った商学部の人はオンライン上でも積極的に話していました。常に何か話しているな、って思う人が多いです。
C:社会科学部はマイペースな人が多い気がします。去年法学部の私は週4回対面授業があったのですが、社会科学部の友人は週1回しか対面授業がなかったって言ってたし、二回授業に出ただけで単位取得が確定したってメールが来たって言ってた友人もいたし…羨ましい(笑)。


14号館(社会科学部棟)

A:俺は文学部所属だったけど、女子が8割いるイメージがある。(笑)実際に女子の比率が多いことに加えて、男子は不真面目な奴が多いのかも…。(笑)

戸山キャンパス(文学部・文化構想学部)

―大学内の好きな場所はありますか?
A:図書館だね。俺は文学部なので戸山キャンパスの図書館にいることが多いかな。意外と人が少ないのでおすすめ。ただ本の量が少なくて、本当に読みたい本は中央図書館にしかないことも多いから、もう少し本の数を増やしてほしい。特に文学部はレポートや卒論を書く際に文献を多用するのでなおさら。

図書館(中央図書館)

B:3号館の談話スペースですかね。特に高層階の窓際は光も差し込んできていて明るく、落ち着いているのでよく利用しています。

三号館の談話スペース

C:学生会館のラウンジですかね。よく利用しています。法学部棟は建物内の湿度が全体的に高くて、日差しも入ってこないので、風通しが良くなるように改装して欲しいです。


学生会館のラウンジ

◉溢れる「早稲田推し」の想い

―もし自分が受験生に戻ったとして、もう一度早稲田大学に入学したいと思いますか?
C:法学部はもうイヤです。(笑)私は数学が苦手なので、入れれば政経が良いですけど、商学部か社会科学部ですかね…
B:私は今と同じく政経に入ると思います。受験生の時、自分で早稲田の政経が良いと考えて入学しましたし、コロナ禍ではあったもののこれまで後悔無い学生生活を送ることができたので、今と同じ道を歩みたいと思います。
A:受験日程が合えば政経を受けたいと思うかな、何だか面白そうだから。
―親戚や兄弟がいたとして、早稲田大学への入学を勧めますか?
C:勧めると思います。就職活動でも早慶であれば有利に進められるイメージがあります。国公立大学となると、勉強する環境はあっても遊ぶことがあまりできないイメージがあります。楽しい雰囲気で学びつつ、将来を真剣に考えるなら早稲田が良いと思います。慶應にはあまり良いイメージがありません。(笑)
B:その子の適性にもよると思います。真面目な子なら早稲田が良いでしょう。自由人な方なら慶應が良いと思います。
A:来たいなら来れば、って感じかな。(笑)
―早稲田大学に馴染めそうな人ってどんな人ですかね?
A:そこそこ明るい子で、ある程度の学力があれば馴染めると思います。
C:反対に超真面目で、あまり学力がない人は馴染めないかもしれません。
A:この中で私だけが地方出身だけど、地方の人も多く、馴染めるイメージがある。ただ最初は方言で少しだけいじられるかもしれないけど、すぐにそれもなくなるよ。
―慶應へのライバル意識って、ぶっちゃけありますか?
C:ライバル意識はありませんが、早稲田の方が少し上だと考えています。(笑)
B:私も同じです。インターンなどに慶應の学生がいると少し身構えますが、私の方が上でありたいな、って思います。(笑)ただ早慶戦で負けるととても悔しいですね。
A:ライバル意識はないけど、ツッコんできたら戦う。「自分、慶應なんだよね」とか言われたら、「そうかそうか。」と言いながら戦う。(笑)

◉新入生の頃は先輩にご飯を奢られつつ、免許を早く取るべき!

―これまでの大学生活に満足していますか?100点満点で評価するとしたら何点ですか?
C:新入生の時にもっと遊んでいればな、とは思っています。先輩とのご飯やドライブを今になって楽しみ始めたので、就活に影響しないか心配です。まあ70点くらいですかね。単位を落としたことでマイナス15点、もっと遊べば良かったってことでマイナス15点。
B:満足しています。高校時代に「大学生になってしたい」と考えていた、先輩とのご飯やドライブに行くこと、彼氏を作ること、友達と旅行すること、これらが全部できました。ただコロナ禍で新歓を楽しめなかったので90点ですかね。もし1年生に戻れて、かつコロナ渦が無かったら、新歓で先輩からたくさんご飯を奢ってもらったり、車の免許をもっと早く取得したりしたいな、とは思います。
A:4年間、友達は少なかったけど割と満足した大学生活だった。酒を飲んだり、麻雀をしたり、およそ多くの大学生が経験することは経験できたと思う。ただ免許をもっと早く取れればもっと遊べたな、とは思うので80点かな。
―Aさんは今春より大学院へ進学されるとのことですが、院進を決めた理由はありますか?
A:働きたくないから…とかいう冗談はさておいて、行ける能力と財力があったからかな。1年生の頃からうっすら「俺は院進するのかな」なんて思っていた。皆さんが「俺は就職するんだろうな」と思っていたのと同じように。ただ周りはほぼ就職している。
―学生生活で後悔したことはありますか
C:一年次にとあるスキーサークルに入ったことですかね。当時そのサークルでは冬に泊まり込みで働きながら合宿を行っていたのですが、夜の一時か二時くらいまで自分の滑りを分析して就寝、そして5時に起きて働く、というきつい合宿を経験して…。そのサークルにさえ入っていなかったら完璧でしたかね。
A:俺も一年次に入ったサークルで一年間無駄に過ごしてしまった。結局最後は追放された。(笑)
B:コロナ禍だったからというのもあるのですが、サークルやゼミの合宿にもっと行きたかったです。ゼミの合宿は昨年もコロナで中止になってしまいました。サークルの合宿には昨年初めて行けたのですが、幹部学年になって初めて行けたということは心残りです。1年生や2年生の時、先輩について行ける学年だった際に行きたかったな、と思います。
―サークルに入った決め手はありましたか
C:スキーをやりたかったから探して、最も良いと思ったスキーサークルに入会したのですが、実際の活動は全く違いましたね。
B:私はコロナ禍だったこともあって、政経の友達を作りたかったので、政経生が多くてかつオンラインで活動を行っているところを探して入会しました。
A:特に決め手はなかったけど、今入っているサークルはTwitterで喧嘩している様子をみて、気に入って入会した。(笑)

◉意識は高いが酒癖は改善の余地あり

―早稲田生で良かったこと、反対にあまり良くないなと思ったことはありますか
B:私は就活をしていたのですが、インターンシップなどで良くも悪くも注目されやすいとは思いました。
C:私もまだ就活を始めて間もないのですが、まだESで落ちたことはありません。周りにも就活を始めている人が少しずつ増えていて、周囲の意識の高さに引っ張られる点は良いと思います。
A:俺は早稲田大学の大学院へ進学するけど、入試の面接が全員知り合いの教授だったので気持ちが楽だった。ただ正直、早稲田大学へ進学すると決めた際、親からの受けは良くなかったな…。地方から東京へ、しかも私立で早稲田となるとお金もかさむと…。
C:法学部所属ですが、卒業単位数が他よりも多いことがイヤです。確か130単位必要なので、4年次に楽したいという夢は潰えました。あと高田馬場駅から地下鉄に乗ることがめんどくさいので、高田馬場に移転して欲しいです。(笑)
B:政経学部所属ですが、4年まで授業を取らないと卒業必要単位数を満たさないことは不満です。一橋に進学した同級生は三年次に既に卒業単位を取りきっていると聞いて、羨ましいと思いました。
A:あと、酒癖が悪くて他大学の人から愚痴られることが多い。全く関係ない他大学の別サークルの人から「早稲田の人からめちゃくちゃ飲まされる」って愚痴られたことがあった。ロタ飲みもありますし。みんなロタ飲みする?
C:私はしないです。倫理観高く生きています。(笑)
B:数回飲んだことあります。ただタバコの匂いが苦手であまり行きません。
A:俺は割と。(笑)馬場で飲んだ後、ロータリーへ行って解散することがしばしば。

高田馬場のロータリーの様子。夜になるとお酒を片手に談笑している人も多くいる。 

◉将来の目標とメッセージ

―将来に向けての目標はありますか
C:将来、年を老いても常に挑戦と成長を目指し続けたい人間でありたいです。大学生活では留学をしたいですかね。ヨーロッパあたりを留学や旅行したいです。
B:生涯ずっと同じ会社で働くことを目標としたいです、生活のために必要な最低限のお金を稼ぎつつ、家庭を持って結婚し、子を持ち、子に対して投資できるお金を持てるだけの働く女性になりたいです。残り1年の大学生活では海外旅行に行きたいです。高校時代に「大学に入学したらしたいこと」を決めていて、その中で唯一できなかった事なので、ひとまず韓国にでも行きたいです。
A:強い力を持ちたい。それは知識でも、権力でも、財力でも、何か一つでも良いので、強い力を持ちたい。それでいいかなと思う。院進後は海外旅行に行く予定。本当はシベリア鉄道横断の旅をしたかったけど情勢的に困難となってしまって…。ただ東ヨーロッパを訪れたいと思う。皆さん西ヨーロッパに行きがちだけど、東ヨーロッパも良いところだと思っているよ。
―最後にこの記事を読まれている方へ一言頂けますか。
C:早稲田に来るのなら、またはもし今在学中なら、パッチテスト(自らのお酒への耐性を簡単に確認可能なツール。入学時に配布される。)をして自分が酒に強いのか否かだけは把握しといた方が良いです。(笑)
B:素敵な大学でおすすめだと思います。ただ、良い意味でも悪い意味でもそこまで尖ってない人に向いていると思います。自由さを尖らせたいなら慶應へ、知力を尖らせたいなら東大へ行くことをおすすめします。
A:入学後もしっかり勉強しないと大変だよ!

◉感想 

今回の座談会を通して、私自身が感じてはいたものの、なかなか言語化できなかった「早稲田生の特徴」を数多く言語化することができたと思います。その一方で、多くの早稲田生がコロナ禍で100%満足いく大学生活を送れなかった事実を知ることができました。私自身、「コロナ禍で無ければ…」と考える機会は数多くありましたが、同じ想いを他の早稲田生が抱えていた事実を知ること、記事で公表することができたことも、この記事の意義の一つになるのではないかと考えました。この記事を通してあなたの知らない早稲田生の一面を知っていただき、少しでも「もっと知りたい」「もっと周りの早稲田生と話したい」「自分以外の早稲田生はこんな考えを持っていたんだ」と、早稲田生の実態に興味を持っていただくことができたならば何よりです。

文責:高橋徹、土屋純