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早大生ボランティア×オリパラVol.2 エームサービス編

 Vol.1では江川さんにインタビューを行い、オリンピック・パラリンピック推進室におけるイベント業務についてのお話をお伺いしました。Vol.2ではオリンピック・パラリンピックにおける選手村でのボランティア活動に参加された早大生Nさんにインタビューを行います。

早大生 Nさん 選手村におけるボランティア活動


Nさん
早稲田大学文学部3年(大学2年時にボランティア活動に従事)
近畿地方出身。大学1年時(2020年)にはコロナウイルスの影響で上京が叶わず、実家で講義を受けていた。大学2年時から上京している。

※インタビュー日:5月30日@早稲田大学3号館

ボランティアへの関心・参加のきっかけ


――最初に、オリンピックのボランティア活動に興味を持った経緯についてお伺いします。高校生の頃からボランティアに興味を持っていたのでしょうか。

Nさん:高校生の時から、ボランティアに参加してみたいなという気持ちはあったのですが、きちんと進学できるのかということもあまり分かっていなかったので、現実的には考えていませんでした。

――では、大学入学を機にボランティアの参加を決意されたのですね。

Nさん:そうですね。コロナの影響で1年生時には上京も出来ず実家にいた際に、たまたまmy waseda(オンデマンド授業の受講やメールの利用など、早稲田大学が提供する各種サービスの入り口となるポータルサイト)を見て、ボランティアを意識し始めたという感じです。元々オリンピックが好きだったので、関わりたいなと思っていたところに有償バイトという形でのボランティア募集がありました。

――なるほど。ボランティア・コミュニティは幾つかあると思いますが、なぜエームサービスを選ばれたのですか?

Nさん:まず、my wasedaに載っている事で絞られていて、それから、自分自身に一番あったボランティア内容がエームサービスだったので選択しました。エームサービスの他に、ボランティアの選択肢は何個かあったのですが、自分に合ってそうなものを選びました。他のものは少しレベルが高いかなあと感じてしまって。

――他のボランティアは英語を使ったりしますもんね。

Nさん:そうなんです。あとは、選手村の中で作業を行えるというのが一番の魅力でした。

――やはり選手村に入れるのは魅力的ですね。

Nさん:そうですね。実は、エームサービスのボランティアは1年生の時に目星をつけていて。でも、応募する勇気が無くて申し込めなかったんですよ。2020年3月末の申込期限に。

――2020年の3月末ですと、Nさんが1年生の際の3月末ですね。

Nさん:そうです。2020年の2月、3月あたりにずっと応募するか迷っていて。結局申し込めずに終わったんですが、2年生の4月に上京してからもう一度見てみたら「4月末まで申し込みを延長します」と変更されていたので何かのご縁かな、と思いました。それと、大学からの紹介のボランティアだったので不信感が無く申し込むことが出来ました。

エームサービス株式会社とは?


 1976年に三井グループと米国アラマーク社の合弁による給食事業会社。現在の事業内容としては、病院・高齢者向け施設、学校、会議・研修施設、スタジアム・エンターテインメント施設におけるフード&サポートサービスやリフレッシュメントサービスを中心としている。東京オリンピック・パラリンピックにおいては宿泊施設における食事・栄養管理サービス、フロント業務、客室・清掃業務と、屋内トレーニング施設の受付業務を受託していた。

エームサービス株式会社ホームぺージ
(https://www.aimservices.co.jp/ 2022年6月12日閲覧)
東京オリンピック選手村で提供された食事
(フェンシング 太田雄貴選手Twitterより)
(https://twitter.com/yuking1125/status/1419985237019291654?s=21) 2022年7月9日閲覧


ボランティア活動参加への周囲の反応


――当時、コロナウイルスの影響でオリンピック開催の是非が議論されていたと思います。そのような中、Nさんがボランティアとしてオリンピックに参加すると知った周囲の方々の反応はどのようなものでしたか?

Nさん:族も好きだったので、自慢する事が出来ました。2年生になってから、ようやく対面で授業を受ける友達が出来た際にも、ボランティア活動を行うという話をする事が出来ました。その中でも、「オリンピックのボランティアを夏休みにやるんだ」と言ったら、「良いなあ」という声を複数人から頂いたのが印象的でした。

――なるほど。ニュース等では、オリンピックのボランティアの辞退が相次いでいると報道されていましたが、Nさんご自身が参加を迷われたり、周囲の方からボランティア参加に対してネガティブな反応を受けたりした事はなかったのでしょうか。

Nさん:僕は参加を決めていたので迷いませんでしたし、周りからもネガティブな反応はありませんでした。直接言いづらいというのもあったと思うのですが、自分自身が参加して、周囲もボランティアに参加した人が多かったので、そのような反応はありませんでした。

エームサービスでのボランティア活動


――エームサービスの学生ボランティアは74名で構成されていたと思うのですが、その中でNさんが担当された役割はどのようなものだったのでしょうか。

Nさん:僕は、食堂内で働く方々が使う更衣室の清掃・管理の担当でした。例えば料理担当、提供担当によって作業時に着用するユニフォームが決められているんですが、担当ごとの人数分、それぞれのサイズを用意するようなユニフォームの管理をしていました。使用済みユニフォームを洗濯業者さんにお渡しする業務や、洗い終わった綺麗なユニフォームを設置したり、更衣室内のロッカーの清掃などを行っていました。

――では、選手村での食事提供される方の後方支援のような認識でしょうか?

Nさん:そうです。食堂で働かれる方のサポート業務を行っていました。

――業務は何人で行われていたのでしょうか。

Nさん:一度のシフトに社員さんが2、3名とアルバイトボランティアが2、3名くらいでした。全体でも数十人くらいの規模感でした。

――ボランティアの頻度はどのくらいだったのでしょうか。

Nさん:僕は夏休み中、このボランティアアルバイトしかしていなくて、週に3,4回は入っていました。ほぼほぼ毎日ですね。(笑)

――なるほど。様々な担当があった中で、どのように担当される役職が決まったのでしょうか。

Nさん:調理担当や提供担当などの4つの部門から、第1希望、第2希望と選択していきました。その中で、裏方である更衣室清掃・管理担当を選びました。配膳担当も魅力的だったのですが、「少し英語力があった方が良い」という文言があって。(笑)

――英語力が必要なのか、と少し恐れてしまいますね。(笑)

Nさん:そうなんです。

やりがいを感じたエピソード


――ボランティア活動の中で楽しさや、やりがいを感じたことはありましたか?

Nさん:去年のこの活動についての記憶は、本当に楽しかった記憶があって。単純に選手村に行けたのでそれが楽しかったというのと、自分がシフトに沢山入っていたということもあって、アルバイトとはいえ比較的裁量権を持って任せてもらえたことにやりがいを感じていました。例えば、社員さんが更衣室から離れられない時間帯にユニフォームの返却作業がある際には、自分に返却作業を任せて貰えたという経験や、他のボランティアアルバイトの方からも頼って貰えたという経験がありました。

――なるほど。先程、選手村のお話をされていましたが、思い出に残っている事はありますか?

Nさん:自分が選手村内を歩く際に選手の方々の元気な姿を見る事が出来たり、選手の皆さんがSNSで食堂の食事について発信してくださっている様子が印象に残っています。

――実際に選手の方が選手村の食事がとてもおいしいというツイートしているのを拝見しました。そのような反応が間近で感じられるのはとてもやりがいを感じられそうですね。

Nさん:そうですね。それこそ、退勤した調理担当や配膳担当の方も楽しんで働いている様子を見て、とても良い場所で活動出来ているのだなと感じました。

――学生ボランティアとして参加して良かったと感じた点やボランティア活動の魅力についてお伺いしたいです。

Nさん:まず、参加出来て良かったと感じたことは、自国開催のオリンピックのボランティアという、一生のうちに一回あるかないかという貴重な経験が出来た事です。
 また、色々な人に出会えたという事ですね。学生だけでなく主婦層の方などの様々な年齢層の方や、エームサービスの社員さんと関わることが出来ました。早稲田にいるだけでは出来ない出会いだったり、体験をすることが出来た点がボランティア活動の魅力であったと感じています。

――ボランティアにおける様々な出会いを通して学ぶ事があったのですね。

学生のボランティア活動について


――私自身、ボランティア活動に参加したことが無く、同様の学生も多いのではないかと思います。このような現状の学生ボランティアの参加率が低いという課題にどのように対処するべきだとお考えでしょうか。

Nさん:僕はオリンピックという魅力的なきっかけでボランティアをしようと考えたのですが、普通の学生にはボランティアとの接点がないことが課題だと考えます。
 アルバイトだとお金が貰えるという利点があると思うのですが、完全な無償ボランティアだと何が得られるのかというのが体験するまで分からない状況であるのが学生にとって少しハードルが高いように感じます。僕の場合のオリンピックというきっかけのように、今後はボランティアに触れるきっかけが多くなれば良いと考えています。
 まずはボランティアを数時間体験してみて、その後により長期的な1日、1週間などの長期的なボランティア活動に繋がるようなボランティアのハードルを下げる事ができるような取り組みがあれば良いと考えます。

――なるほど。確かに、学生が参加しやすいきっかけが何かしらあればボランティア参加に繋がるかもしれませんね。貴重なお話をありがとうございます。

インタビューを終えて


選手村でのボランティア活動の具体的な様子や活動のやりがいについてインタビューすることで、ボランティア活動とは一体どのようなものであるのかという活動に対する漠然としたイメージを明確にすることが出来たと感じています。

インタビューの中で印象的だったことは、学生のボランティア活動への参加率が低い一つの要因として「学生とボランティアの接点がないこと」とお話されていた点でした。今後、学生のボランティア活動参加への敷居を下げる為には、学生側と企業・NPO側の双方が互いに歩み寄り、「学生とボランティアの接点」を作り出す事が必要であると思います。学生側は自分自身が興味のある分野においてボランティア活動が募集されているのかを積極的に調べること、企業側としては様々なボランティアを募集することが必要とされ、双方の取り組みによって学生ボランティアの参加率が増加していくと考えます。
また、大学生のボランティア参加について記録した本記事が誰かの目に留まる事によって、「ボランティアをやってみようかな」と考えるきっかけに、ボランティアへの接点を創り出す事になれたらと考えます。

文責:土屋ゼミ9期生 千坂美寿希