補助金には、要件に合致して申請すれば合格するもの(助成金とも言う)とコンテストのように審査をされて上位から合格するもの(言い換えると、上位に入らなかった場合は不合格となる)があります。ここではコンテストのように審査をされるタイプの補助金で全般的に言えることをお話させて頂きます。

この、コンテストのように審査されるタイプの補助金ですが、申請自体に使用する申請書や事業計画書はそれぞれ違いますが、合格するためにはある程度共通しているルールがあります。


1、職場、会社の雰囲気が分かる写真を入れる

これは、補助金を審査する方へこれからこういう人物が、こういう事業をやりますよということをアピールします。私たちがどういう方が審査しているのかわからないのと同じで、審査する方も事業者がどういう人物が事業をやっているのかはわかりません。合格するためには審査員に具体的なイメージを持ってもらうことが非常に重要です。そのため、申請をされる場合は人が移っている職場の雰囲気が分かる写真を入れてください。決してフォトスタジオや専門のカメラマンに写真を撮って頂く必要はございません。また、特別な衣装を用意する又は撮影のために特別なメイク等をする必要もございません。今はスマートフォンにカメラが内蔵されておりますので、スタッフやご家族の方に自然な感じで撮影してもらってください。

2、職場の内観や外観の写真を入れる

理由は1で述べたのと同じ内容です。こちらも審査員へ具体的なイメージを持ってもらうために載せる必要があります。審査員の方も人間ですので文字の羅列だけの申請書よりも写真が載っていた方がイメージしやすいです。画像優位性効果というものがあり、人間には「文字や言葉だけで伝えるよりも、同時に画像を含んで伝えた方が記憶に残りやすく理解しやすい現象」のことを言います。文字と言葉だけの伝達では、72時間後、そのうちの10%しか記憶に残りませんが、これに写真や画像を加えた場合、65%が記憶に残るという研究結果もあります。そのため1同様にこちらも写真を入れた方がよいです。

3、自社の強みを把握し申請書に記載する

申請書には自社の強み(得意分野、専門業務等)を必ず記載してください。私もよく経営者の方にヒアリングをさせて頂きますが、その際に「ウチには強みがない」と言われる方がよくおられます。しかし、会社の存続率というのは各種のデータがありますが、2006(平成18)年版での企業存続率(生存率)は、1年後が約73%、5年後で約42%、10年後で約26%とのことです。(製造業に限られ、従業員規模4人以上の事業所が対象)つまり、創業して5年以上経過した会社というのは、探せば何かしらの強みを持っており、それを活かして生き残ってきたとも言えます。
実際に経営者の方に更にお話をお伺いするとお話の中で「社長、それが御社の強みですよ」というものが多々あります。ご自身が気づかれていないだけで、他者が聞くと「それは、すごいな」ということはたくさんありますので、強みがよくわからないという方は一度、社外の方(出来れば他業種の方)とゆっくり色々とお話してみることをお薦め致します。
補助金に合格するには審査員に「当社はこのような強みがあります、そのため当社に資金を出してください」というアピールが重要になります。

4、数値のデータを載せる時は文章と一緒に図やグラフを添付する

理由は2で述べました画像優位性効果です。人間は文字同様に数字の羅列された文章を読んで比較することがあまり出来ません。これは審査員の方にも同じことが言えます。そのため客観的なデータを申請書の中に記載しなければならない時は、必ず説明と一緒に図やグラフを載せるようにしてください。

5、雇用の増加、地域発展への貢献、社会問題の解決等に結び付ける

国や地方公共団体が補助金を交付する最大の理由は補助金が求める目的を達成することですが、それよりも大きな考えとして「雇用の増加」、「地域発展への貢献」、「社会問題の解決」というものが根底にあります。補助金自体がダイレクトに求めていること(例えば、生産性の向上を目的としている補助金であれば生産性の向上を示すためのデータ提出)を達成することは合格するための最低限必要なことになりますが、さらに一歩踏み込んで、社会問題の解決にも取り組む内容であれば、審査のポイントで有利に働くことが多いです。
そのため、補助金が求める目的を達成するということにプラスして社会問題の解決等に資するような申請書の内容にしてください。

補助金申請の基本として加点項目(補助金ごとに定められた合格しやすくなるための要件)を押さえることは必須ですが、それ以外にも上記の点を考慮して申請書を作成して頂くと合格に近づくと思います。

6、まとめ

補助金は事業者が主体となり、活用するものであり専門家はそれをサポートする立場におります。
中長期的な視点で事業の事を考え、事業者自身が現在の事業を考えるきっかけとして補助金が活用出来たらよいなと思います。


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