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第7回 第三の進化の過程〜群れて遊ぶ

みなさまこんにちは。
生きる力の強い子にをテーマとして
脳科学的及び進化の過程から
子ども達の育ちを追いかけてきました。
第7回目からは、第三の進化の過程へと進みます。

●〝三つ子の魂百まで〟の育ち

進化の過程での3歳までは、
水中から陸へ上がり爬虫類から両生類へ、
そして二本足歩行を獲得するまででした。

3歳からは、陸上で様々な経験をし、
第三の進化が始まります。

参考:進化の過程

脳科学的に見た時、
第一の進化の過程・及び第二の進化の過程では、
動物脳の神経系の働きを活発化させる重要性や、
その中で〝真似て学ぶ〟時期であることを伝えました。

さて、第三の過程では
人間脳の神経系をたっぷり働かせる
〝群れて遊ぶ〟
をお伝えします。

この時期は、これまで真似て学んだことを
前頭葉に集約して脳神経系を働かせていきます。
そこには真似るではなく、
その子なりの工夫があり、創造力も発揮されます。
自分で考え、新しいものを作り出す、
〝やる気〟を起こす精神活動を営む脳細胞が、
活発に絡み始める
のです。

私は繰り返し「かしこい脳は身体作りから」とお伝えしていますが、
それは〝三つ子の魂百まで〟の育ちが、
この第三の進化の過程に入った時に
大切な土台となる
からです。

つまり、3歳までに育てた古い脳(動物脳)の
神経系のネットワークが、
第三の進化の過程で、大いに働く
のです。

双子や、オオカミに育てられた少女が、
それぞれ環境の違う生活を送ることで、
その育ちに違いが現れる事は証明されました。

0歳から3歳までの育ちの環境は、
その後の人生を変えてしまう
のです。

3歳までは「真似て育つ」
とお話ししましたが、
子供の姿を見ていると、
3歳までの育ちが分かるのです。

●〝テレビ・ビデオ 〟は、
 子どもにとってどうなのか?


真似て育つこの時期に、
脳神経系が飛躍的に増え、配線図を作っていく。
その時期にこそ、人に手による子育て、
また、自然の中での子育てを大事に
したい。

便利な子育てグッズの一つに、
テレビ・ビデオがありますが、
子どもにとってどうなのか? を考えたい。
これまで向き合ってきた子どもたちの中にも
テレビ・ビデオが子育ての道具になっている場合もありました。

その姿を伝えるならば、
言葉の獲得は早く、また語彙も多い。しかし、
言葉を使ってのキャッチボールが苦手である
ことです。
おそらく、2次元の世界は
一方的である事から現れる姿ですが、
これは一部の例であり、
子どもには様々な姿で現れて来ます。

やはりどんなに時代が変わろうと、
人は人によってのみ育つのだと、
声を大にして伝えたい。

●物事に向き合い、
 自身の考えで行動していく時期


3歳までの脳の配線は、与えられた環境の中と、
毎日接してくれている人によって組み立てられると、
脳科学的にも証明されています。
まさに刷り込みです。

ところが3歳を過ぎると自分を主張し、自主的に、
目的を持って行動する、創造の時期に入る
のです。
第三の進化の過程では、
3歳までの脳神経系の絡み合いを土台として、
さらに多くのネットワークを発達させることで、
物事に向き合い、自身の考えで行動していくのです。

また動物が持っている、
集団欲(特定であるが)を満たすことが、
人間としての精神活動にも、
とても大切だと考えます。

親以外、また大人以外の中で自己表現する事で、
自分と他人の区別ができ、
自分を自分として認識する事ができます。

考えを表現し、行動に表す中で、
反抗心が芽生えたり、
競争心が出てくるのもこの時期です。
人間にしかない、これらの心が、
やる気・意欲へとつながるのです。
また相手を認める心も育ち、
共に力を合わせる事も学びます。
これらの精神活動が、
やがて社会性へとつながります

ただし集団欲の第一歩は〝家庭〟です。

肌のふれあいは声なき言葉と言われるが如く、
スキンシップによる心のふれあいが大切です。
家庭での心のふれあいにより、
安心するその環境があってこそ、
自信へとつながり自由を謳歌できるのです。

常に大人の様子を見て行動する子供の姿を見ていると、
自由ではないのか、何かに縛られているのではないかと
心が痛みます。

家庭以外の集団でも、まず大切にしたい事は
〝安心できる環境を整えること〟
〝向き合い、スキンシップによる
 心の交流を大切にすること〟

から始まります。

●前頭葉を働かせるには
 子供同士〝群れて遊ぶ〟こと


ここで前頭葉について少し触れます。
赤ちゃんに向き合う中で、
おでこの変化に気が付いたことがありますか?

生まれたときは平坦なオデコが、
向き合ううちに前面に突き出てきます
(笑顔、喃語が出るころ)。
これが前頭葉という、
動物にはない働きの脳の座
です。

3歳まではあまり多くの働きは見られませんが、
前頭葉は、3歳過ぎると活躍します。

3歳を過ぎ、視野も広がり社会性も見られるこの頃、
親はつい子供に、何かを学ばせてあげたい(~教室に通う)
などと考えるものですが、前頭葉の働きは、
すりこぎ(教室などで結果ありきの環境)では働かない
ことを知って欲しい。

自分で考えて、
自分で作り上げる環境が大切
なのです。
出来ないときは何度でも繰り返し向き合う。
努力する。その結果、
成功した喜び、失敗した悲しみ。
また相手に対してのねたみ、そねみ。
これらが心の情操です。
よくできるためにはどうするかを決定するのも
前頭葉のはたらきです。
人間にしかない大切な感情であり、
また相手あっての働きでもあります。

そんな心のつながりのある集団の中で、
仲間とのふれあい、切磋琢磨する事で、
前頭葉が大いに育ちます。
ここに
〝群れて遊ぶ〟ことの大切さが言えるのです。

群れて遊ぶ中で子どもたち同士で育ち合います。
ただし、群れる為にはたくさんの課題があります。

心の育ち、身体の育ち、
認識力、判断力、言語力……

これらの育ちは脳神経系の80%が出来上がる、
3歳までの積み重ねである事を感じてほしい。

今日があり、明日がある、
そして未来が見えるのです。

次回は、
第三の進化の過程の育ちの様子を
写真を交えて、具体的にお伝えします。




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