東京一極集中と地方創生

地方創生の現状 ~東京一極集中~


「東京一極集中」は「地方創生」と切り離せない問題です。東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)の人口集中はすさまじく、日本人口の約4分の1が東京圏に住んでいると言われています。1960年のオイルショック以降、地方からの人口移動が生じてきました。波はあるもののいまだに継続しています。

東京一極集中の裏で起こっているのが「地方の人口減少」です。年々地方から東京圏への転入は拡大しています。2016年には東京圏の転入超過数(一年間の転入者数から転出者数を差し引いた数)はなんと117,000人。一年間で莫大な人数が東京圏に転入していることが分かります。

また転入超過数を年齢別に見てみると、20~24歳、15歳~19歳のような若者の移動が多いことがわかります。

転出年齢

(内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局)

これについては次のトピックで詳しく見ていこうと思います。

政府は「まち・ひと・しごと創生本部」を2014年に創設し、地方創生にむけての長期ビジョンと総合戦略を策定するなどして東京一極集中を是正しようとしています。


地方創生の課題 ~Uターン~


いままで述べた現状に対しての課題は数えきれないくらいあります。
私はその中でも「Uターン者がいない」ことをピックアップしようと思います。
Uターンとは、地方の人間が大学などのために一度都市へ出て生活し、のちに就職でまた地元に帰ってくることです。一度東京圏へ出た人が将来的に地元に帰るのであれば現在のような東京一極集中は起こるはずありません。それゆえUターン者がいないことは大きな課題だと言えます。

実際、Uターン希望者はどのくらいいるのでしょうか。

Uターン希望グラフ

(@人事)

Uターン希望率は今年度、過去最低値を叩き出したようです。7年前から継続的に減少しています。それではなぜUターンをしないのでしょうか。そのアンケート結果をご覧ください。

Uターンしない理由!

(@人事)

1位は「志望する企業がないから」でした。その下にも「希望する職種がないから」という理由もランクインしています。問題はまさにこれだと思います。地方の職種は限られているのです。これは私の見てきたことでもありますが、地方にある職種と言えば福祉、役場、建築、農林漁業、そして地方の中小企業・・・この中から選べと言われても選択肢が少なすぎます。若者の就職希望条件にはなかなか合わないでしょう。地方に仕事がない、だから東京圏へ行く、すると地方から人口が減る、さらに地方に仕事がなくなる。この負の連鎖があるわけです。

それではどうしたら若者はUターンしようと思えるのか、どんな支援が必要か。
Uターンするために希望する行政支援のアンケートをご覧ください。

希望する行政支援

(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)

ランクインしているもので気になったのが1位の「仕事情報の提供」、また「無料職業案内」、「自治体の相談窓口」などです。ここから予想できるのは、若者や就職活動をしている人は地元の企業を知らないのではないかということです。情報収集ができず、それが選択肢の幅をより一層狭くしているため、その支援や情報提供を望んでいるのではないでしょうか。

地方はもっと積極的に情報を発信するべきなのかもしれません。仕事や就職関係だけではなく、地方での生活自体も広めていく必要があります。その発信が若い力の収集だけでなく町の活性化にも繋がるかもしれません。

地方に仕事をつくること、地方で人が働くこと、そしてそれを発信すること。
これが地方創生の課題のひとつだと感じます。


京都府出身の私はIターン者です


これまでUターンの話をしてきましたが、実は私はIターン者です。
私の地元は京都府の一番北の市です。日本海に面しています。
大学のために愛知に引っ越してきましたが、大学に入ってからよく言われるのが、
「京都って海なし県でしょ?」
いつも怒りたくなります。海はあります!(県でもありません!)
しかも、海はとてもきれいで有名な海水浴場もたくさんあります。
夏は府外からも多くの人々が訪れ大賑わいです。
海に面していることもあって、とてもおいしい魚や牡蠣、カニを小さいころから食べてきました。私は地元を誇りに思っています。

しかし、私の地元はみなさんの想像する「京都府」ではありません。
はんなり、お抹茶、舞妓さん・・・そんなイメージとはかけ離れています。
京都駅から特急列車に乗っても片道2時間半。電車は1時間に1本。
動物は毎日見ることができます。(不審者情報よりクマ出没情報の方が圧倒的に多いです。)
街灯も少なく夜は真っ暗。古い商店街はほとんど店が閉まっていて錆びれてしまっています。みなさんが「田舎」と聞いて想像するような町です。

そして、子どもより高齢者の方が多いです。違う小学校の友達は同級生が3人だったらしいです。
「高齢社会」と言ってもいいと思います。この数年で多くの学校が合併されました。

人があたたかくて、誇りに思う大好きな故郷ですが、私は将来的に地元に戻るつもりはありません。
先ほども述べた通りやはり田舎には仕事がないのです。公共交通機関も公共施設も不十分なのです。
よく、老後は田舎でゆっくり過ごしたいという言葉を聞きますが、私は都会派です。
体が弱ってからは処方薬がすぐに手に入ったり、すぐに病院にかけこめたりする環境が必要です。老後を田舎で過ごすのは現実的には厳しいと感じています。

春には花を摘み、夏には海で泳ぎ、秋には祖父の田んぼで稲を刈り、冬には雪でかまくらを作る・・・
故郷は自然に囲まれた幸せな幼少期を私に与えてくれました。そんな故郷に戻らないのはどうかと思いますが、これが今の私の正直な気持ちです。

いつかこの思いが覆る社会になることを信じています。


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