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際立つ

スタート。
足を前に。
腕も振る。
全力で走る。
心臓が苦しい。
息が上がっていく。
徐々にスピードも上がる。
いつしか風と一体になったような気分になる。
体は辛いのに、気持ちは軽くて、達成感もあった。

しかし、ふと立ち止まる。周りを見渡してみる。
前を走っている人もおらず、どこにも人がいない。
知らない場所に進んでいたようで、ここがどこかもわからない。
いや、そもそも、進んでいたのかもわからない。急な不安が襲う。

「自分は何をしていたんだろう?」
ふと、そんな言葉が口から溢れる。


社会人3年目、自分は今、そんな心境だ。
ここまで常に全力で走ってきたつもりで、仕事にやりがいも感じていた。
しかし、ふと不安になってしまった。

だから、少し外の空気を吸いたくなった。
・自分がどこにいるのか?
・どこを目指したらいいのか?
・そもそも、それを考えた方がいいのか?
それが知りたかった。


歩いていると、ある言葉に出会った。

斜に構えている場合ではない。
他人を受け入れろ。
自分が際立つ

この「際立つ」という単語が妙に胸に刺さってしまった。


Q. 「際立つ」とは、どういうことだろうか?

そもそも、その単語の意味はなんだろうか?

際立つ
・・・他との区別がはっきりとして目立つ。顕著である。


・・・
①物事のきわまったところ・つきるところ。かぎり。はて。
②物の他と接する境目。また、そのすれすれのところ。はし。かたわら。ほとり。
③重大な時期。時。折。
④身の位置する程度。身分。階級。分際。…

立つ
・・・
①事物が上方に運動を起こしてはっきりと姿を現す。
②物事があらわになる。はっきり現れる。
③作用が激しくなる
④ある場所にあったものがそこから目立って動く。…

広辞苑

「際」…
形声文字です(阝+祭)。「段のついた土山」の象形 と「いけにえの肉と神にいけにえを捧げる台と右手の象形」から、丘と丘とが入り組む「さかいめ」を意味する「際」という漢字が成り立ちました。

「立」…
「1線の上に立つ人」の象形から「たつ」を意味する「立」という漢字が成り立ちました。

漢字・漢和辞典-OK辞典

なんとなくのイメージが掴めてきた。
「際立つ」には、「目立つ」という意味がある。
「境目をはっきりとすることで、その物自体が明確に現れる」
という解釈だろうか。

この解釈をもう少し応用してみる。
「境目をはっきりとする。」
そのためには、2つ以上の何かが必要だ。その間に境目ができるから。
つまり、境目とは、シンプルに言い表すと、「違い」と表現できないだろうか。

そして、この何かに「ヒト」を当てはめてみると、
2つ以上の何かとは、チームであり、組織と言えるかもしれない。

そういえば、企画メシ2024のテーマは「チーム」であった気がする。
チームというと、「仲良く協力して1つの方向性に向かう」というイメージがあるが、僕らはまず、それぞれを評価し合った。

そして、その中で自分と向き合った。
「どうして、自分はそれを選ぶのか?」ということ。

選ぶためには、判断軸が必要で、自分との、周りとの「違い」を見つける必要がある。それは自分という人間の理解にも繋がる。



「違い」

昨年まで、時価総額ランキング1位であったiPhoneで有名な「Apple」。
1997年、創業者の故スティーブ・ジョブズ氏が作ったCMに「Think different.」という詩があった。直訳すると、「違いを考える」ということで、それをAppleの使命と定義していた。

そもそも「違い」とは?

「違」…
会意兼形声文字です(辶(辵)+韋)。「立ち止まる足・十字路の象形」と「ステップの方向が違う足の象形と場所を示す文字」から、「そむき離れる」、「ちがう」を意味する「違」という漢字が成り立ちました。

漢字・漢和辞典-OK辞典

立ち止まる…


今、自分は立ち止まっている。
それをマイナスに捉えていた。
立ち止まることは不安で、どこを目指したらいいかもわからなくなる。
しかし、それは、もしかしたら、「企画メシというチームで『違い』を見つけ出し、自分を知る時期なんだよ」と誰かが言ってくれているのかもしれない。


「際に立つ。」
それは山の頂上で出っ張った石の上に立つようなことだと思う。
凄くリスクがあるし、怖いし、わざわざそんなことしなくてもいい。
普通に登って、普通に下山したら、登山は終わる。
でもそこから見える景色は、きっとそれまでのものとは異なる。
「ここに来て良かった」
そんな言葉が口から溢れるのは、そんな瞬間だから。

その瞬間を楽しみにしながら、これから、際に立っていきたいと思う。

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