public healthは「公衆衛生」なのか?「みんなの健康」ではないのか?

一般的にpublic healthを日本語にしたものは公衆衛生と訳されがちである。

個人的には、public=みんなの、health=健康、なんだから、みんなの健康なんじゃねーの、と長年思っている。

「衛生」ってどこからでてくるんだよ、と思う(っていた)。

この「衛生」の由来は以下といわれている。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/mededjapan/43/3/43_147/_pdf


「衛生」は明治初年に内務省の初代医務局長と
なった長与専斎(1838︲1902)が,Hygiene に相
当する言葉を探して「荘子」から採った,と彼の
自伝である「松香私志」に書いている
.養生とか
保健とかいう言葉はすでに使い古されていたの
で,新しい思いを込めて,衛生をつかい始めたと
いうことである.このように明治期に新しい意味
を込めて作られた言葉であった「衛生」は,今で
はまったく古めかしい用語となっている.

まぁしかし私としては、「公衆衛生」は消し去りたい。

なんせ世間の理解がめちゃくちゃである。公衆衛生はまず理解されない。

一般人に「こうしゅうえいせい」といえば、「口臭の衛生やってるの?歯医者なの???」と言われることもある。

公衆衛生を漢字で見てもらっても、「下水道ですか?ワクチン大切ですよね」などなどイメージの偏りが大きい。

業界の人でも「学生時代は関係ないことたくさん暗記させれられたから嫌い」「産業医でしょ?臨床できない人たち」「国際保健って違う世界の話でちょっと・・・」など、その科目を教える教員のキャラ立ちにより大きく変化する。

こまったものだ。

世間の理解もめちゃくちゃなので、名前変えたらいいのに・・・と思うが、、、、しかし「公衆衛生」を軽んじてはいけない。

なんせ憲法25条にも明記されているのである。


https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000003xfq-img/2r98520000003z9o.pdf

日本国憲法(昭和二十一年憲法)第25条
第1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。


「公衆衛生の向上」といえば、医師はピーンときます(よね?)。

医師法

第一章 総則
第一条 医師は、医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。

医師の1丁目1番地は「公衆衛生の向上」ですよね。

ちなみに歯科医師法も同じような感じです。

第一条 歯科医師は、歯科医療及び保健指導を掌ることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。

薬剤師法も同じような感じ。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000146

第一条 薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。


にも明記。

ということでいわゆる三師会(医師・歯科医師・薬剤師)は、公衆衛生の向上を明記していることが分かります。公衆衛生を意識していない人はプロではない(暴言)。


次に気になるのは看護師などは?

保健師助産師看護師法(いわゆる保助看法)

第一条 この法律は、保健師、助産師及び看護師の資質を向上し、もつて医療及び公衆衛生の普及向上を図ることを目的とする。

明記されているけど微妙に表現が違いますね。

さて、リハビリと栄養士はどうなんでしょう?答えを先に書いてしまうと明記無しです。

理学療法士及び作業療法士法

第一条 この法律は、理学療法士及び作業療法士の資格を定めるとともに、その業務が、適正に運用されるように規律し、もつて医療の普及及び向上に寄与することを目的とする。

○言語聴覚士法

第一条 この法律は、言語聴覚士の資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるように規律し、もって医療の普及及び向上に寄与することを目的とする。

栄養士法

第一条 この法律で栄養士とは、都道府県知事の免許を受けて、栄養士の名称を用いて栄養の指導に従事することを業とする者をいう。

社会福祉士及び介護福祉士法

第一条 この法律は、社会福祉士及び介護福祉士の資格を定めて、その業務の適正を図り、もつて社会福祉の増進に寄与することを目的とする。

精神保健福祉士法

第一条 この法律は、精神保健福祉士の資格を定めて、その業務の適正を図り、もって精神保健の向上及び精神障害者の福祉の増進に寄与することを目的とする。

歯科衛生士法

第一条 この法律は、歯科衛生士の資格を定め、もつて歯科疾患の予防及び口 くう衛生の向上を図ることを目的とする。

こちらは、公衆衛生ではなく、お口の健康だ。

視能訓練士法

第一条 この法律は、視能訓練士の資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるように規律し、もつて医療の普及及び向上に寄与することを目的とする。


ということで調べた限りでは、三師会+ナース、では明記あるけど、他では書いていない、というのが現状のようです。

医療を離れますが、他の有名な資格と言えば、、


弁護士法

第一条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。

公認会計士法

第一条 公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。

司法書士法

第一条 司法書士は、この法律の定めるところによりその業務とする登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もつて自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする。

おもしろいなぁ。

他に「公衆衛生」について気にしている何か職種あるかしらん?

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