「鉄道時計」の知られざる仕様
「鉄道時計」と言われて多くの方が思いつくのは、筐体が銀色で文字盤の白い懐中時計だろう。運転士が運転台の凹みにセットして使っているアレである。それでもピンとこない方は、「懐中時計 鉄道時計」で検索するか、今度先頭車輌に乗ってみてほしい(運転士の気が散らない程度に)。
乗務員は、乗務前点呼の際に「時計の補正」を点呼者の前で行う。毎回これをやる必要があるほど時計が狂うわけが無いのだが、けじめである。「時計の補正を行います。只今、14時37分…45秒です!」「はい。時計の正確、確認しました」というやりとりをする。
鉄道時計は、乗務員に貸与する会社と、乗務員となった際に支給する会社があるようだ。貸与する会社も、例えば勤続10年の記念品として支給したりするので、結果として乗務員は新人以外ほぼ全員が所有している、という状態だったりすることもあるらしい。
この時計、1モデルしかない。全国どこの鉄道会社へ行こうとも同じものが使われているはずだ。セイコーの完全独占である。
国鉄時代から何十年も仕様が変わっておらず、一社しかそのモデルを生産してこなかったからだ。民営化された今ならともかく、国鉄時代にどうして独禁法違反として問題視されなかったのか。それは、この時計の特殊な仕様のためだと思われる。
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