【つばきの人の輪】知る人ぞ知る「刃物研ぎ」職人 田中屋金物店　田中重治さん

椿峰の「人」を紹介するこのコーナー。
今回は、下山口の「刃物研ぎ」職人
田中屋金物店　田中重治さんさんにインタビューしました。
（「つばきのわ」2023年あき号紙面に掲載）

下山口に著名な料理人が包丁研ぎを依頼する店があります。ベルクの向かいにある「田中屋金物店」です。

田中屋金物店はベルク山口店の向かいにある。

創業は48年前、建設現場で使われるボルトや釘などのパーツや道具を扱う店としてこの地に店を構えました。刃物研ぎの依頼を受けるようになったのは20年前。創業者の息子・田中重治さんが「職人としてやっていくには10年はかかるだろう」との覚悟のもと「独学」で始めました。

生来手先が器用な重治さん。子どもの頃、工作作品はクラスでお手本として採用されました。大人になり、一度は会社員としてマーケティング分野で働きましたが「自分の"センス"を生かして世の中に貢献したい」と現職に。その理由は「刃物を見ただけで切れるか切れないかが分かったから」。

現在では包丁だけでなく、食品加工工場や自動車関連メーカーの工場で使われる刃物などを研ぎます。メーカーに刃物を納品する企業のなかには、必ず事前に重治さんの研ぎを通してから納品するという会社もあるほど。料理人や魚屋など日々長時間包丁を使う職人さんからは「ここで研いでもらうと楽に切れるから疲れが溜まらない」と言われるそうです。重治さんは依頼者から使い方を細かくヒアリングした上で研ぐ角度を緻密に計算します。機械で研ぐ業者も多い中「人の手にはかなわないものがある」というのが重治さんのポリシーです。「この地で親が培ったこの店を守りたい」という気持ちから、今年５月には店舗を新しく建てました。

今年5月、刃物研ぎ専門の店舗を構えた。

「街の研ぎ屋さん」として家庭用包丁も千円から研ぎを受け付けているとのこと。読者の皆さんも気軽に利用してみてはいかがでしょうか？

■information
埼玉県所沢市山口1468-8
080-3093-8002
営業時間：8:00～18:00
定休日： 日曜日、祝祭日