見出し画像

海を渡る

橋を渡る君の後ろ姿を見た気がした
後悔や未練といった類のものは何処にあるのか、それともそんなものは端から持ち合わせていなかったのか

ガラスに映る君を見ても驚きはしない
何も通じ合うことのなかった僕らの過去も未来も、元々は何も存在しない
宇宙のエネルギーにすらなりえない

それなら僕らを何と呼べばいいのか

今も過去も未来もない
どれほど小さな粒子なのか知りようもなく、そして粒子にさえ成し得ない感情

夕陽の彼岸に向かって歩くと、歩いた分だけ遠のいていく

生きるとは此岸の際を歩き続けること
僕らを繋ぎ止める海は凪いでいて、僕らを阻む海は荒れている

そこに映る君と、目で会話する刹那

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?