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脱炭素情報#13 ネガティブエミッションとは

新年になってなかなか更新できていない状態となってしまっております。理想形は1日に2記事くらい出していければいいですが、なかなか難しいものです…。(かなりの理想とかけ離れてます)

今回は脱炭素にて注目が高くなっているネガティブエミッションについて記述したいと思います。

ネガティブエミッション

1.ネガティブエミッションの概要

まずは語句の定義をしっかり確認したいと思います。「ネガティブエミッション」は簡単に述べるとCO2をマイナスにすることです。これに対し「カーボンニュートラル」は排出されたCO2を例えばCCSで地下に埋蔵することによりネットゼロとするものです。

わかりやすい例として、森林は光合成によりCO2を吸収することで、夜間の呼吸分を加味してもCO2量がマイナスになっています。もし森林をバイオマス発電で利用するために燃焼するとCO2が発生するため、ここで一旦カーボンニュートラルとなります。その際に発生したCO2をCCSで埋蔵することをBECCSと呼んでいますが、これを行うことでCO2計算は光合成での吸収分のみとなり、マイナス排出分のみとなります。このためにBECCSはネガティブエミッション技術に位置付けられています。

2.ネガティブエミッション技術とは

それではBECCS以外にネガティブエミッション技術としてはどのようなものがあるのでしょうか。

出典:経済産業省 第5回 グリーンイノベーション戦略推進会議ワーキンググループ
資料6 ネガティブエミッション技術の検討方針について P4
(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/green_innovation/pdf/005_06_00.pdf)

上記は昨年12月に実施された経済産業省のグリーン成長戦略関係の委員会の資料になります。

上記に記載の通りネガティブエミッション技術としてはBECCSの他に、大気中のCO2を直接吸収して地下貯留するDAC (Direct Air Capture)、微生物の分解による排出CO2よりも貯留量が多い場合に土壌への有機物が埋蔵されていると定義する土壌炭素貯留、土壌炭素貯留の親戚のような形ですが木材等を炭化して土壌に埋蔵するバイオ炭 (Biochar)、海洋中の藻類によるCO2の吸収であるブルーカーボン、植林・再生林によるCO2の吸収促進があります。

ブルーカーボンの概要については以前記事を作成しておりますので、もしよろしければご確認ください。

そしてもうひとつ「風化促進」という記載があります。全く聞いたこともなかったので、少し調べてみました。概要としては、ケイ酸塩鉱物を粉砕して土壌に撒いた後に、風化によりCO2が吸収され、それが土壌に残るという仕組みのようです。日本では、NEDO事業においてこのあたりの取組がはじまっているようです。

3.ネガティブエミッション技術の現状

上記にて参照した委員会資料の記載になりますが、ネガティブエミッション技術は今後どのように導入を行っていくかの検討が開始されたような状況になります。よって、一部の企業が取り組みを開始しており、2050年での目標達成にもしかすると有用な技術なのではないかというような形でしょうか。

一方で、植林・再生林については現状からでも取り組み可能です。現段階としてはGHG排出の直接削減とともに植林・再生林の取り組みを進めていき、CCSの商業化および水素やアンモニアの活用を経て、上記のようなネガティブエミッション技術が実用化していくような未来としていくのがやはり大きなトレンド推移になるかと個人的には感じました。

今回はここまでになります。もしよろしければ引き続きチェック頂けますと幸いです。

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