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脱炭素情報#9 クリーンエネルギー戦略②(アンモニア)

前回の投稿では日本のクリーンエネルギー戦略の概要について記述をさせていただきました。

今回は本委員会資料内のアンモニアの記述内容を見ていきたいと思います。

脱炭素情報#9 クリーンエネルギー戦略②(アンモニア)

委員会資料の資料2において、P42-50にアンモニアの記述があります。

前提条件として、アンモニアの製造方法はハーバー・ボッシュ法が有名であり、化学式は以下になります。

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N2+3H2⇆2NH3
$$

資料内で気になったのは、工業的製法は反応率の面からハーバー・ボッシュ法一択であることは知っていましたが、海外ライセンサーの技術に頼っている状態という業界構造についてはあまり存じておりませんでした。

従来のハーバー・ボッシュ法でのアンモニア合成の弱点である「高温・高圧下」という部分に対し、日本の大学発ベンチャー企業であるつばめBHB社が低温・低圧での生産を目指しており、「製造」という面でのイノベーションが期待できそうであり、日本人として応援したい気持ちになりました。

出典:内閣官房 気候変動対策推進のための有識者会議(第5回)
資料4 つばめBHB㈱紹介資料 P4
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kikouhendoutaisaku/dai5/siryou4.pdf

一方で、今後日本で重要になってくるのはいかに安価なアンモニアを「輸送」してくることができるかになると考えております。(これには水素も大きく関わってきます)

出典:経済産業省 第1回 産業構造審議会 産業技術環境分科会 グリーントランスフォーメーション推進小委員会/総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 2050年カーボンニュートラルを見据えた次世代エネルギー需給構造検討小委員会 合同会合 資料2 クリーンエネルギー戦略の策定に向けた検討 P48 (https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/green_transformation/pdf/001_02_00.pdf)

委員会資料のP48にはアンモニアの道筋がわかりやすく記載されています。別途P44にも船舶用燃料、工業炉、燃料電池などへのアンモニアの活用に係る記載はありますが、まずは火力発電への専焼・混焼をいかに進めていくかが重要となっております。

このあたりについては2030年に300万トン/年で20%混焼というところを足掛かりに、いかに専焼のフェーズに進めるかが論点になってきそうです。(現在の立ち位置としては、2021年NEDO事業においてJERA社とIHI社にて100万kW級石炭火力へのアンモニア20%混焼の実証実験が実施されています)

今回はここまでです。アンモニア、水素、洋上風力でまとめて書こうと思いましたが、意外に話が膨らみました。(まだアンモニアは書けそうですし、そもそも今後を考えると「アンモニア」という単独の項目分けをしてもいいかもしれない気がしました)

次回は水素について記述したいと思います。引き続きチェック頂けますと幸いです。

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