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脱炭素情報#7 カーボンプライシングとは(その2)

前回はカーボンプライシングの概要について記事を書かせていただきました。

今回は前回書ききれなかったカーボンプライシングの日本の議論の現状について記述をしたいと思います。

カーボンプライシングとは(その2)

1.これまでの日本のカーボンプライシングの検討状況

日本のカーボンプライシングについては、環境省が主体となって議論が進んでおります。

2017~2018年に「カーボンプライシングのあり方に関する検討会」が実施されており、カーボンプライシングの活用のあり方についての検討が開始されました。

その後「カーボンプライシングの活用に関する小委員会」が2018年以降開始され、2019年夏に議論の中間的な整理を公表し一時的に休止してましたが、2021年に再度議論が開始されており、2021年11月に中間整理資料の公表がされております。(2020年10月の2050年カーボンニュートラル宣言を受けて、議論が再開したのかもしれません)

2.日本のカーボンプライシングの議論の現状

それでは日本のカーボンプライシングの議論の現状はどのような形なのでしょうか。最新の中間整理についてわかりやすい概要資料が公表されており、その内容を確認したいと思います。

出典:環境省 カーボンプライシングの活用に関する小委員会 
中間整理(概要) P2
(https://www.env.go.jp/earth/chuukanseirigaiyou.pdf)

上記資料の通り日本のカーボンプライシング政策については概念設計が続いている段階であり、来年課税が開始されるという段階ではない状況になります。導入することについては脱炭素の世間の流れとして規定路線ではあるけれど、日本の裨益や企業の競争力の観点からどのように進めればいいか議論が続いている印象があります。

それでは、大きく炭素税と排出量取引の2点についてみていきたいと思います。

3.日本の炭素税の議論の現状

出典:環境省 カーボンプライシングの活用に関する小委員会 
中間整理(概要) P3
(https://www.env.go.jp/earth/chuukanseirigaiyou.pdf)

炭素税のコンセプトは上記となっているようです。炭素税の課税については低い水準からスタートして段階的に引き上げを行っていく、その一方で企業や家庭の税負担については、排出削減に伴い2050年に向けて負担は減っていく形となっています。

政府の税収の面を考えると、中間期間となる2030-2040年にかけて増収していき、それ以降は一定の形でしょうか。ちょっと理想的な予測になりますが、炭素税として一定水準の税収を得ることが期待できそうです。

4.日本の排出量取引の議論の現状

出典:環境省 カーボンプライシングの活用に関する小委員会 
中間整理(概要) P4
(https://www.env.go.jp/earth/chuukanseirigaiyou.pdf)

排出量取引についてはどうなのでしょうか。上記資料に入る前に、無償割当と有償割当の意味合いを理解する必要があります。

無償割当は、望ましい排出原単位を基準とするベンチマーク方式、過去排出実績を基準とするグランドファザリングに分けられるようです。一方で、有償割当は排出枠をオークションにて決定し、事業者が必要な分だけ排出枠を得る方式のようです。(無償割当の言葉の「無償」の意味合いを理解しきれなかったですが、有償の逆ということなのかもしれません)

上記を基に考えてみると、最初は政府が一定の割当を実施していき、2030-2040年あたりにて事業者の排出量の有償取引がはじまり、最終的にはカーボンニュートラルに向けて市場は縮小するという形でしょうか。また、中間整理資料を読んでみると、先行している欧州のEU-ETSを結構参考にしていることが伺えました。

本日はここまでになります。カーボンプライシングをよく知っているわけではないですが、なぜか文量が多くなってしまいました。また、排出量取引の方式の違いなどははじめて知りましたが、このあたりはもっと深掘りして調査したい気になりました。見ていただいている方は、引き続きチェックいただけますと幸いです。

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