【続2】我が子の心臓が止まった

時間が経った今

先週の金曜日の午前9:40。
私のお腹にいる命が生きていないということが分かった。
医師からそう伝えられる前からエコーの赤ちゃんの心臓が姿を見せていないという事実で、私はすぐに察してしまった。
夫はエコーを初めて見たから最初はこんなもんだと思ったらしい。

綺麗な診察室で、淡々と事実を伝えてくれる医師、隣で遅れて状況を理解した夫、そしてショックで意識が飛びそうになっている私。
初めての妊娠で、病院に行くまで生きているかわからない状況にいつも肝を冷やしていた。
つわりがなかったから赤ちゃんがどうなっているのかもわからずに、毎回エコーで育っている赤ちゃんを見て安心していた。とうとう安心できなかった。

その日は気が狂うほど泣いた。
泣きすぎて泣いている理由もわからなくなるほど泣いた。
午後に予約していた美容院に行く時も当日キャンセルが可能だったらしていた。
夫も遅参で仕事に行った後、本当に全く仕事にならなかったらしい。

不思議なことに、職場に流産したことを伝えるときは涙が出てこなかった。
何も知らない美容師さんが私の髪を丁寧に施術してくれていることにとても心が安らいだ。

初期流産はよくあること。
保育関係の仕事をやっていたらある程度わかっている。
染色体に異常があっただけだし、生きていても短命で知的障害などを抱えて生まれてくるリスクがあること。そしてそういった子は多くの場合自立した大人に育つことが極めて難しいこと。

全部わかっていても、生きていないことがこんなにも辛いとは。これは経験した人にしかわからない感情だ。
感情がぐちゃぐちゃになりながらも、冷静に分析する自分がいたことは確かだった。

金曜日の妊婦健診のあと、土曜日は仕事だった。
事務的な仕事をしている間は心が落ち着いた。
決して乗り越えたわけではないけど、自然と切り替えができている自分にすごく驚いた。
日曜日は休みだった。昼間に義実家の皆と一緒にしばらく食べることを控えていたお寿司を食べた。

土曜日曜は、気にせず好きなものを食べた。
お腹の春ちゃんが天国に帰る時に、美味しいものを食べた記憶があればきっとまた戻ってきてくれるはずだという願掛け。

ここに戻ってくれば、君はまた美味しいものをたくさん食べられるよ。
優しいお父さんと、面白いおじいちゃんおばあちゃん、いろんな人が君を待ち望んでいるよ。
きっといい人生が送れるはずだから、待っていますよ。

なんて。


月曜日には、心が落ち着いて仕事をできた。
後2日で私たちの春ちゃんは天国に帰る。
それまで一緒に過ごそうね。春ちゃん。

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