【続】我が子の心拍が止まった

流産ですね、と断定されたとき本当に頭が揺れているような感覚で、担当医の話など碌に聞けなかった。隣の夫がよく聞いてくれた。
彼だって泣きたいだろうに、人目も憚らずに情けなく泣いている妻を必死に慰めてくれた。

流産の手術のための採血を担当してくれた看護師さんも励ましてくれた。私も2回流産しちゃったの、大丈夫だよ、きっとまた来てくれるよと声をかけてくれた。

天使ママによってはこの言葉が苦しい人もいるかもしれないけど、私は少なくとも救われた。

心臓が止まったとき、この子は苦しかったのかな、痛覚がまだないなら痛くなかったらいいな。ここまで生きてくれてありがとう。妊娠がわかってからの生活は言葉では言い表せないほど幸せだった。
若くて未熟な私たち夫婦を短い間母と父にしてくれたのは、紛れもなく死んでしまった私の子。今まで生きてきたプチトマトほどの大きさの小さい命。
この子が届けてくれたものは短い間だったけど深い幸せと沢山の課題だった。

そしてこの子がやってきたとき同じタイミングで亡くなった夫のおじいちゃん、その家にいたわんちゃんがいる。
彼らから文字をもらって、この子の名前を「春」にする。冬だけど、ぽかぽかの暖かい日だからそれもちょうどいい。

私は春を忘れるわけじゃない。
だけど前に進みたい。子どもが欲しいという夫と私の夢を叶えるために、春がくれた課題をこなして次は最後まで立派な母と父であるように。次のステージに進もうと思う。

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