飛沫の覇権争い

飛沫

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↑何て読んだ?
「ひまつ」??


そう…正解だ。


でも足を止めてゆっくり思い出してくれ。
そこにはかつてもうひとり、確かに誰かがいなかったか。

ああ、そうだよ「しぶき」だよ。「しぶき」はどうした??
実は私も忘れかけていたんだ。危ないところだった。
だが、うろ覚えではあるがなんとか記憶を留めることができた。
以前は頭の中にごく自然に「ひまつ」と「しぶき」が揃って出てきていなかったか。

B.C.xxx年、世界はかつて飛沫(ひまつ)と飛沫(しぶき)の勢力が拮抗し、絶妙なバランスを保っていたことを覚えているだろうか。(※B.C.=Before Corona)

しかし、コロナで状況は一変した。
テレビやラジオから流れてくるニュース、
日常会話の中でも常に飛び交う「飛沫」という言葉。どれも純度100%のひまつだ。
こうしてしぶきの知名度は急激に低下していった。

知名度では圧倒的な差をつけて
飛沫(ひまつ)≫飛沫(しぶき)
という結果になったわけだが、同時に別の問題が発生した。

好感度だ。

かつて飛沫(ひまつ)と飛沫(しぶき)の間にイメージの差はなく、
頭に浮かぶ映像は
「飛び散っている細かい水滴」
ただそれだけだった。それ以上でもそれ以下でもない、ただの水滴。
そこには善も悪も、光も闇も、何も存在しなかった。

でも今は

飛沫(ひまつ)

絶対的にこれなのよ。
飛んでるものがろくなもんじゃないのよ。
飛沫(ひまつ)という単語はもはや
憎悪や嫌悪感とは切り離せないものになっていると言っても過言ではないだろう。

それに対して

飛沫(しぶき)

これよ。

美しい…。
こっちはマイナスイオン飛んでるから。

好感度では圧倒的な差をつけて
飛沫(ひまつ)≪飛沫(しぶき)
である。

結果的に現在も飛沫(ひまつ)と飛沫(しぶき)の勢力は拮抗し、世界は絶妙なバランスを保っているのであった。

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