浪人時代あれこれそれどれ2
浪人時代の思い出話第2弾です。
この記事を読む際は上のリンクから前回の記事もお読みいただくことをお勧めします。
豪華な講師陣
通常予備校において、人気講師やトップ講師は上位クラスを中心に受け持つことが多く、そうでもない講師は下位クラスを受け持つことが多い、というのが一般論ではあるが、当時の河合塾福岡校はそうではなかった。私が在籍していたのは下位クラスだったのだが、講師陣が豪華だったのだ。これは文系の下位クラスも同様だったそうだが、指導力に定評のある講師や東大京大クラスを主に受け持つ講師が授業担当に入ることもあるため当時はかなり感銘を受けた。以下の先生方を一例として挙げてみよう。
古文(理系):重盛先生(難関私文向け古文やセンター対策を中心に受け持つ。授業中は常に絶叫し寝ている生徒には怒鳴るが授業自体はすごくわかりやすい。古典文法がものすごく頭に入った)
英文解釈:矢次先生(福岡校で長年東大英語を受け持つトップ講師。これまで高校の英語の授業が全部バカバカしく思えるレベルの授業で衝撃を受けた。)
英語長文総合演習:久我先生(九大英語などを当時担当。授業前に単語テストを毎回やっていた。英語の勉強の話や下線部訳の方法論などいろいろな話をしていた。私は当時よくテキストの問題を持って行って質問に行ったな。)
英語表現:望月先生(難関私大対策を受け持つ。オーマイジーザスというポエムを激励会で披露していた。肝心の授業は英文法についての体系的な話を多くされていて、個人的にこの先生の文法を受けたかったと思っている。プリントが復習しやすい仕様。)
数学②:大坪先生(九大・阪大文系を中心に受け持つ。授業スタイルは数学が得意な人よりも苦手な人に目を向けた感じで基本事項集を授業中に毎回開かせている。板書がものすごく綺麗。)
冷静に考えると、東大や医進を担当する講師を下位クラスに充てるのは狂気の沙汰だと思われるだろう。わかりやすく言えば林修が地方国立大クラスを担当するようなものである。国立文系の下位クラスであっても数学の大坪先生や現代文の土井先生、英語の杉本先生など難関大向けのクラスや現役生向けのイベントを担当する主力講師を充てているため、この一般論は正しくないなと感じた。あと、テキストはレベルが同じであれば上位クラスと下位クラスでやることは実はそこまで変わらない。(英数理のTテキストや数学理科無印テキストのアスタリスクでは変わってくるけども)
地理的思考力というマヤカシ
私の通っていた高校は地理の教師に当たりハズレがあるというのもあってハズレ教師が担当するクラスの生徒は河合塾の「スーパー・パーフェクト地理」を受講する傾向にあった。(ただ習熟クラスの連中も受講していたので基本みんな地理が苦手だった。) スーパー・パーフェクト地理を担当しているのはKADOKAWAのセンター黄色本でお馴染みのカリスマ講師、瀬川先生である。瀬川先生はよく授業内で「丸暗記ではない!」や「地理的思考力」という言葉をよく使っていた。丸暗記ではないというのは間違いないし、定期テストに出ていたケッペンの気候区分を気温推移表から区別しろというような愚かでバカな問題は入試には出題されない。ただし、苦手な連中は「地理的思考力」という言葉に大いに惑わされた。地理的思考力が必要なのは私もそう思うし丸暗記は無意味であるという言葉は5000兆回頷いたものである。しかし、地理の得点が伸び悩んでいる連中に共通して言えることは「知識がない」というのに尽きる。知識と言っても第二シベリア鉄道の終点であるコムソモリスク・ナ・アムーレを言えるかとか、カリブ海諸国の名前を全て言える、というような話ではない。参考書の赤字・青地部分や傍線部のような基本的知識がない、ということだ。そういった連中が地理的思考力と言うのはへそで茶を沸かすようなものである。地理的思考力は確固とした知識の上に成り立つものなのだから…
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最後まで諦めない
第一志望の国立大は後期まで粘ったものの、結局惨敗し滑り止めの私立大学への進学を考える状況だった。しかし、その大学に浪人して入るというのも「せっかく浪人して入るってなんだよ!」という感情もあり、乗り気にはなれなかった。二浪目に突入するか仮面浪人しようか編入試験を受けて広島大学の生物生産学部に3年次編入しようか本気で考えたものだ。そんな中Twitterの知り合いからLINEで「某国立大が二次募集やるってよ!」という話を耳にした。そこで私はその国立大の二次募集に応募することを決めた。しかし、その大学は現役時に落ちており、「こんな大学なんて死んでも受けない!」と絶叫した大学である。ここで思い出すのが以下の有名な5ちゃんねるのコピペである。
私は、2ちゃん受験生の10の法則のうち、特定の大学をバカにしていたらその大学に入るという③に該当していたのだ。こういうコピペって当たるんだなと思い、2次募集の要項を読んでいた。運命の3月29日、親の車で2次募集の出願に出発し、無事に到着したが出願を受け付ける大学の事務本館前は多くの人でごった返し、自分の整理番号は100番目に近く、これほどまでに絶望した瞬間はない。定員の多い学科が出願者が多く、最初はそっちを考えていたが親は「お前の得点だと多い方は落ちるから少ない方に出せ」と私に言い聞かせていた。これまで親の勘を信じてこなかったが、自分の勘が悉く外れたものだから今回は親の勘を信用することにした。そして3月31日、無事に合格が決まり1年間の浪人生活に終止符が打たれたのである。自分の勘がいかに外れるかというのを痛感し、更に最後まで悪あがきをすることが大切だと実感した瞬間であった。
浪人生コピペで当てはまったけどコンプは?
こういう不本意入学の学生というのは学歴コンプレックスを抱えていることがあったりするものの、私は学歴コンプレックスを抱えていない。それが幸いだった。まあコンプ抱えていたら内部で大学院まで行くなんて考えられないよね。そして、指導教員や研究室のメンバーなど人との出会いにも恵まれたのもプラスに働いたものだと思う。人生何が起きるかわからないものだ。
もし本命の大学に合格していたら?
今の大学(大学院)では作物学を専攻しているのだが、本来は農芸化学系の学科に進学して食品科学を専攻したかった。ただし私は高校時代から化学が本当に苦手でセンターの化学も点数がひどすぎて今でも思い出したくないくらいだ。農芸化学系の学科では必ず学部時代に有機化学、無機化学、生化学、物理化学、生物有機化学、分析化学など化学系の科目を履修せねばならない。そんな中で化学ゴミクズ男の私が進学していたらどうなっていたのだろうか。間違いなく破滅していたであろう。実際学部2年次に生化学を履修したが有機化学を未履修状態であったため、有機化学の反応理論である求核攻撃などが本当にわからない状態で頭に入らず見事に撃沈したことがある。農芸化学系の学科に進学していたら留年している未来が容易に想像できるであろう。結果論ではあるが、今の学科・大学院でよかったなと思う。(歴史にifなんてものはないんだけど)
浪人すべきか?
私の場合には現役時は全落ちだったため、必然的に浪人以外の選択肢はなかったのだが、もしこれを読むあなたが既に併願校に合格しているからそこに進学するか、それとも滑り止めを蹴って浪人して再チャレンジするかという選択を迫られているのなら話は簡単。前回も書いたが、浪人という選択は回避した方がいい。例えば滑り止めと本命のレベルがあまりにも乖離しすぎてこの大学に進学すると学歴コンプ爆発してヤバいみたいな場合であれば浪人してもいいと思うのだが、そうではないのなら合格した大学に行くのが最善の選択だと私は思う。理由としては、浪人するのはお金がかかる。大体私立文系の1年間の学費(約75万円くらい)が余計にかかるため、親に対し非常に金銭的に迷惑をかけるためである。あと言えることは精神的な苦痛である。浪人というのは一種の敗北者のレッテルを貼られるものであり、敗北者であるという事実を受け入れるのは非常に難しい。前回のnoteの鬱の6月の項目で書いたが、途中で終わりが見えなくなる時期が来る。その中で周りの大学に合格した友人のSNSの投稿などを見ると「自分って大学に落ちて何やっているんだろう。情けねぇよな。」という感情に打ちひしがれる。これって実はものすごく辛いものである。だってわかる人が自分以外にいないのだから。大学に進学している友人にはわからないものだしね。
浪人って甘く見られるけど、ものすごく自分が惨めに思えるよ。マジで。
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