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IMG ACADEMY

今回は、IMG Academy と T-style26 のストーリーをお話しします。 

☆なぜアメリカに?

2015年12月27日にアメリカに向けて、日本のジュニアたち29名を連れて出発しました。

私はまだ、日本の福岡のテニススクールで働いているサラリーマンテニスコーチでした。幼少期テニスクラブで育った私は、それまでのテニススクールのあり方やコーチの立場や役割、スクールカリキュラムに少し疑問がありました。当時からコーチングの研究のため、国内や海外の情報を集めていました。ジュニアからプロ育成についても興味があり、アメリカ留学のことには当時から高い関心がありました。

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その頃、テニスクラブから独立の機会もあり、それまでの疑問に対する解決方法を試すチャンスだとテニスクラブをつくる決断をしました。大人からジュニア、キッズからプロ育成、アダルトからジュニア育成まで、一貫したカリキュラムで地域に根差したテニスクラブ をつくるため、数人のコーチたちと共に独立しました。

それから数年間、紆余曲折、試行錯誤の連続でした。今思えば、良い思い出ですが、当時は・・・。関わってくれた方々や、スタッフたちは思い出したくもないかも知れません・・・。色々な問題に直面し、なんとか乗り越えながらの毎日でした。

そうした中でも、我々のスクールカリキュラムの中で、テニスを楽しんでいただき、テニスクラブも成長していきました。ジュニアたちも成長を続け、そのおかげで、遠征に行き、日本中のプロ選手やプロコーチたちとのつながりもひろがり、その活動のある大会で、IMG Academy への留学エージェントの機会をいただきました。ジュニアたちに世界を感じさせてやりたい!素晴らしいワクワクするような体験をさせてあげたいという思いから、挑戦を決めました。

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☆現地では、どのように過ごしましたか?

T-style26 TENNIS CLUB.からは、4人のジュニアが参加し、日本全国からも合わせると29名のジュニアたちが参加しました。現地では、4人部屋の学生寮(日本人同士にならないようにできるだけ配慮)に入り、午前レッスン、午後セミナー、夕方より練習、18時からアクティビティのスケジュールでそれぞれのカリキュラムが進みます。

個人の技術・体力などのレベルに応じて、シンプルにコートが分けられていきます。基本1面を4人で使用します。世界中の国々の人たちが集まっている施設なので、コーチたちは言葉だけではなく、身振り手振りやラケット、ボールやipadなどでうまく伝えてくれます。

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IMG Academy では、世界のATPやWTAのトップ選手もツアーの拠点として利用します。当時も錦織圭選手をはじめ、多くのトップ選手たちが練習をしていました。ジュニアたちの中には、レッスンの合間に飛び出してサインをもらいに行く姿もみられました。非常に刺激的な環境です。

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IMG Academy には、50面以上の色々なサーフェスの世界基準のテニスコートがあります。ジュニアたちのレッスンはレベルごとに分かれ、各コートでコーチの指導のもと1面4人でカリキュラムをこなしていきます。その中で実力を示せば、上のレベルのコートに移動するようにコーチから声がかかります。このわかりやすいアップダウンシステムは、選手たちにモチベーションを与えてくれます。コーチたちも選手からの意見にしっかりと答えてくれます。日本の社会に根付いている指導(先生と生徒)の形とは、真逆に近いプレイヤーズファーストなシステムが現地にはありました。その当時、私の中には日本の多くの指導に対する疑問点があって、それを解決する環境や、システムがその場所にはありました。選手の目線では、コーチの評価基準がはっきりしていて、わかりやすく納得できモチベーションが上がります。

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ジュニアたちのレッスンをコートサイドで見ていたときに、「日本のテニスコーチですか?」と声をかけてきた方がいました。(おそらくヨーロッパあたりの方)その方々は、同じカリキュラムに参加しているジュニアのご両親で、日本のコーチには魂がある!とお褒めの言葉!?をいただくこともありました。保護者からの要望は、厳しく指導して欲しいなど、海外でも似ているのかも知れません!?

IMG Academy の様々なシステムに触れ、気づきは更に増していきます。プレイヤーファーストの施設やコーチングは、日本のものとは違い我々に解決策を示してくれました。

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ある時、IMG Academy のゴルフのコーチと話す機会があり、ディスカッションできました。(通訳:Hidez)そのコーチはとにかく情熱があり、食い気味にこう言います。「なぜ、日本人のプレイヤーは、練習時間が終わっても居残り練習をしたがるのか?」と聞いてきます。日本では褒められることも日本以外からの意見を聞いて気づきます。彼の意見は、試合の時間には制限があり、その限られた時間内に解決しなければ意味がない!と、日本人にはその時間制限に対する意識が少ないと熱く語ってくれました。私もそこで気づかされ、日本人の勤勉さや努力の示し方の良さをフォローして、その考えの素晴らしさを伝え、お互いに理解できました。こういったディスカッションも現地では多々起こります。

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自主性の高い施設・カリキュラムの中で、ジュニアたちは物凄いスピードで適応していきます。食事や生活リズム、言語も各々工夫して、海外のジュニアたちとともに楽しんでいるように見えました。レッスンの内容もジュニアたちは理解を深め、1週間も経つ頃には自信を持ってコートに立っている姿があり、環境変化による成長を目の当たりにしました。怪我や体調不良に対応する病院のような施設もあり、安心して練習ができます。

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食事は学生寮では、レストランに移動して、ビュッフェ形式で好きなものを好きなだけ注文して食べることができます。正直2、3日すると、日本食(ご飯)が欲しくなります。そんな時に現地のコーチたちが日本食レストランに連れ出してくれたり、近くのスーパーに連れて行ってくれたりして、部屋で料理をつくったりして過ごしました。本当に助かりました。

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☆アメリカ、IMGA留学を終えて

間違いなくこの体験・経験は、ジュニアたちにとって成長の糧となりました。IMGAまでの道のりは、アメリカ国内の乗り換えを含む25時間以上の長旅であったこと、これはジュニアたちに変化と辛抱を教えてくれました。IMGAの素晴らしい施設や環境に、モチベーションも自然と上がり、主体性を上げてくれました。ジュニアたちは、コーチやプレイヤー仲間たちと日本語+英語(単語)+ジェスチャーなど使えることを全て使って、コミュニケーションを取っていきました。大人たちが心配していたことも、自らが成長し乗り越えていきます。そんなジュニアたちのサポートができた2週間は私自身にとっても貴重な経験でした。とても重要な気づきを得て「楽」になれた経験でした。身体や精神は「楽」ではありませんでしたが、IMGAには選手たちの成長を主体的に導く、ある意味過酷でシンプルなシステムがありました。指導とサポート、両方の役割、タイミングの大切さを気づかせてもらえました。

今後もこの素晴らしい体験を、たくさんの子供たちや、その保護者の皆様に感じてもらいたいと思っています。

関わっていただいた全ての皆様に感謝します。

プロテニスコーチ T-style26 TENNIS CLUB.代表 中原 隆博

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