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第17回いわて銀河100kmマラソン「投了戦」

とうとう「この」話題を書かねばならない時がやってきてしまいました。
今回はそんなお話しを。

私が初めて「マラソン大会」に参戦したのは2008年10月のこと。早いもので、それから15年になります。
ここまで長短合わせて150本以上の大会に参加してきた訳ですが、今回初めて「リタイア」というものを体験してしまいました。

大会は「第17回いわて銀河100kmマラソン」。自身4回目の参戦です。
前回までの3回で突破できなかった11時間切りを目指して、
6月11日(日)午前4時、定刻通り「北上総合運動公園」をスタート。
曇天。風もほぼなし。
この時期、太陽が出るといきなり夏の様相になりますので、長距離には申し分ない天候でした。
(そう言えばこの運動公園は、ネーミングライツで「ウエスタンデジタルスタジアムきたかみ」となるそうですね。よき「愛称」となりますよう!)

期待に胸をふくらませ、颯爽と運動公園を後にしたわけですが、なんと早くも20㎞過ぎ辺りから身体が重くなってきたのです。こんなことは過去3回とも無かったこと。
「オーバーペース?フォーム?ん!」と、いろいろ頭によぎったものの、この先まだ80㎞もあるわけですから、とにかく何とかせねばなりませんが、対策も見つからないまま、距離だけは進んでいきました。

この大会では、応援の同行者用にバスを準備してくださっていて、一人1500円で、35㎞、66㎞、90㎞~ゴール(雫石運動公園)の各応援所地点(給水・給食所)に連れて行ってくれます。私の家族もこのバスで一緒に100kmの旅路です。

1つ目の給水・給食所兼、家族応援地点である35㎞地点に到着した時には既にヘロヘロ。。。
ここに至っても、何がどうなってこうも疲れているのか、どうにも分からない状態。家族に「今回、ちょっとヤバイ!既に疲れてる。。。」と言い残しながら、補給物を取り、残り65㎞へ、思いを新たにとにかく再スタート。

が、しかし、思いに反して体はどんどん重くなるばかり。
例えると、足の裏と地球が磁石でくっついていて、足を踏み出す度に身体に余計な負荷がかかる、とでもいうような感覚なのです。
そしてとうとう、40㎞手前からは、歩いて、走ってを交互に繰り返す状態に。
この辺りから「リタイア」の4文字が頭をかすみ始めました。が、もちろんここで歩みを止めるわけには行きません。

前半の難所「なめとこライン」は、ほぼ歩き。中間の50㎞地点を過ぎたあたりで、フォームの修正点に気が付き、何とか改善を図ったものの、既に身体に大きくダメージを負ってしまった後ではさして修正できず。

頭の中ではいよいよ「リタイア」の文字が大きくなってきました。
家族が待っていてくれる66㎞の給水所までには何とかたどり着き、そこでリタイア、収容バスに乗せてもらうことにしよう、と、今回は66kmを「ゴール」にして向かう事にしました。

歩き、走りを繰り返し、何とかたどり着いた66㎞の地点。
家族にも無事会え、リタイアの話をすると「えー!リタイアするの!! もうちょっと頑張りなよ」と一喝の声が!!
一瞬「鬼!」と思ったものの、確かにまだ制限時間まであと5時間くらいあるし、もうちょっと何とかなるんじゃないか、という思いもこみ上げてきて、しばしの休憩のあと、給食の豚汁をお替りして再スタート!

気持ちというのは何かを動かすようで、再スタート後、ゆっくりではあるもののまた走れたのです。

諦めなくて良かった!
家族に感謝だなーと思いながら、
もう、ここは「本当に行けるところまで」行こう、と肚を括りました。

この後、走れたのはおよそ2kmほど。
その後はやはり身体が固まってきて、走るどころか歩くのもままならず。
70kmあたりから左脚ふくらはぎに筋系の痛みが強く走ってきたことで万事休すでした。これ以上歩くと、回復に相当時間がかかる怪我を負う可能性が高くなると判断し、とうとう73.3kmの給水所でリタイア宣告。
給水所担当のお母さま方に「なに、リタイアするの!来年必ず来なさいよ!!」と大激励をもらい、来期を固く誓って、ゴール地点まで送迎してもらえるワンボックスに乗りこみました。

ゴールまでの道のりは、本当は走るはずだった残りの27kmです。
道すがら、必死に歩みを進めるランナーさんの脇を進む訳です。
自身で決めたリタイアであったものの、やはりもうちょっと何とかならなかったのか、掴めるようでつかめない思いが胸の中で現れては消えての繰り返しでした。

ゴール地点に着いて車から降りた時、痛めた左脚は更に固まっていて、びっこを引く状態。今回は仕方なかったと改めて思い聞かせる側で、次々にゴールするランナーが、完走メダルと完走証を手にされているのを見たとき、「あー、今回、俺はもらえないんだ」と、リタイアしたことを初めて実感したのでした。

これまで、先月の奥州マラソンのように、止まったり歩いたり、とにかく自力でゴールにたどり着いても「やっぱりマラソンはしっかり走ってゴールするもの!」と自分に言いきかせてきましたが、いやいや「マラソン」は、とにかく「完走する」ことが尊いことなんじゃないか、今更、本当に今更感たっぷりですが思ったのです。初めて心に沸き立つ気持ちです。
これが「42.195km走」という競技ではなく「マラソン」という競技というものなのか、その入り口に立つことができたのかも知れないと、今、清々しい気持ちにさえなっています。

ゴール地点で再び家族に会い、リタイアの報告をすると、今度は「頑張ったさ」と。先の「鬼」から、今度は「神」に見えるものです。
「60kmでやめたのと70kmとでは違うよ」とも。
確かに自分でもそんな感覚があります。
そして、もうだめだ、と思ってから、もう一回挑戦してみたことも良かった。背中を押してくれた家族に感謝です。

ゴール後のお振舞い。

参加料が上ってもいいので、今後も続けてほしい!

2杯目のビールは家族用に有料で買ったものですが、それ以外の4点はなんと大会のお振舞い!!
こんな大会、初めてです!
そして何と!ビールは盛岡の「ベアレン」ですよ!!
完走してなくても美味しいものは美味しい!


給水所担当のお母様に書いていただいた一枚のメモが、今回の公式記録「証」です。

73.3km、9h39mでした。

このメモ、とっても大事なものだったと、今振り返ると本当に思います。
完走は出来なかったけど、確かに9時間39分、自身と向き合い、格闘した証です。そして、あと27km足りなかった証でもあります。
何が足りなかったのか。それを振り返り、来期に誓う。
今、このメモは来年も確実に目にする日記に貼ってあります。


さてその後、フォーム改善に取り組む日々を送る中、何と7/3(月)にギックリ腰。。。
そんな不安を抱えながらではありますが、奇跡的?!にも回復が早かったので、
明日7/9(日)に開催される第1回月山山麓ウルトラマラソン(75km)に参戦してきます。
雨の一本になりそうですが、これを越えられたら自信になることは間違いない、と思って行って来たいと思います。


出走は7:00。
「完走」したい!

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