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テレビ

一人暮らしの私はテレビを全く観ない。観たとしても、お笑い賞レースや、正月付近のお笑い特番くらいだ。

そんな私が正月に実家に帰った時の話。


実家で家族親戚が全員で集まったら、大概テレビが流れている。卒論で忙しいながらも、あんまり焦りを家族の前で見せたくない私は、当たり前みたいな顔でコタツに入ってテレビを観ていた。

懐かしいな〜。昔、くりぃむしちゅーさんのクイズ番組『ミラクル9』に出てたローラさんに一目惚れして、家族全員にローラさんのことを触れ回った。

「ローラって言うとんでもなく美人な人がテレビに出てる!!」

「可愛すぎる!何この人!しかもおバカなんだ!めっちゃ可愛い!」

思えばローラさんは、私の初恋の相手だったのかもしれない。海外の女性が好きになったルーツも、今思えばローラさんだ…。

ローラ
1990年3月30日、東京都に生まれる
2007年、Popteenでデビュー
父はバングラデシュ人。母は日本人の血を4分の3、ロシア人の血を4分の1受け継ぐ、いわゆるクォーター。

舌を出したりほっぺを膨らませたり、「オッケー👌」ってポーズしたり、大御所にタメ口使ったり、一挙手一投足が全て私の心を掴んで離さない。

それからはローラさんが出演している番組は全て録画して暇さえあれば観ていた。家族のみんなも、私がローラ大好きな事を認知していて、ローラがテレビに出るたびに、
「鶴!!ローラ出てるよ!」

「待ってー!見る見るー!!」
今思えば小学生の頃の僕はミーハーだったかもしれない。実際当時のローラさんは、いわばブレイクタレントだったし、超人気者だった。あの頃のローラはすごかった…。今も好きだけどね。

リビングには父親、母親、妹①がいた。
母親「今もローラは好きなの?」

「うん…。まあインスタとかは観てるかな〜」
私は家族の前でカッコつける癖がある。
未だにローラの大ファンだなんて、家族に悟られるわけにはいかないのだ。

テレビではなんかのバラエティが流れている。

その時、母親が突然叫んだ。

「カコ(妹)!めるる出てるよー!!!」

めるる

妹②の声「待ってー!見るから!チャンネル変えないでねー!!!」

何事かと思った。妹が遠くの自分の部屋からリビングのテレビまで走ってきた。

妹②「いやー!!!めるるかわいい〜!!!!!!!!😍😍😍😍😍😍😍😍😍😍😍😍😍😍😍😍😍😍😍」

知らない可愛い女性タレントがMCに振られて喋ってる。ウケてる。ハネてる。

父「まーためるる出てるよ〜。可愛いけどさ」

母「カコはほんとにめるる好きだね〜。」

カコ「メルルが世界一可愛いから!めるるしか!勝たんだから!!!」

めるる(本名: 生見 愛瑠)
2002年3月6日、愛知県に生まれる
2015年、Popternでデビュー
2019年、「東京ガールズコレクション」に出演
2020年、「めるるのはっぴーsu るーむ」でラジオパーソナリティ就任
2021年3月より、「CanCam」の専属モデルを務める
同年7月、アクセサリーブランド「mememe」をプロデュース

「誰これ?」

私以外の家族全員が「え。」て表情をしてた。犬もしてたかな

妹「え、お前、めるる知らんの?キモ。」
妹は、私のことをうんこを見るような目で一瞥した。

めるるは、今をときめく大人気女性タレントらしい。テレビを見ない、Twitterも、インスタも、全部お笑いと音楽の事しか出てこないタイムラインで生きている私にとって、誰だかわからない女性がテレビに出て、それに発狂する家族は狂気そのもので、どこか別の世界線に飛ばされたようなアウェイ感があった。

ローラ一強時代が、もう完全に終わっていることを実感した。もう僕の知っているテレビは戻ってこない。今ある現状に満足感を見出すしかないのだ。

私のローラ熱は、妹のめるる熱という形で、我が家に今も受け継がれているみたいだ。 








実家から東京に帰る際、新宿乗り換えなんだけど、京王線のホームで、家の鍵を取り出すためにスーツケースを開いてガサガサしてたら、知らないおばさんにすれ違い様に、完全に私と顔を合わせて

「ばーーーーか」

って言われた。東京ガールズはほんとに恐ろしい。

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