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お爺さんの涙
環八を歩いていた時の話。
正面からお爺さんが自転車に乗って来た。しかも話しかけられた。
爺「今日は何月何日何曜日ですか?」
「今日は7月17日、日曜日ですよ」
爺「ああ、今日は施設に行く日だった。おれ、こう見えて88歳で独り身だから、もう日にちがわからないんだよ」
そんな話をしながら5分ほど話を聞かされた(ほとんど内容は覚えてない)
早く立ち去りたかった。ドンキに行きたかった。お香を買いに行く途中だった。
爺「ほんとにね、もう88歳だから…。」
何回自分の年齢言ってくるんだ。その年齢も本当に合ってんのか?
その瞬間
爺「88歳になるともう覚えが悪くて…」
そう言いながら無表情のお爺さんは右目から一筋涙を流した。
涙を
流した。
すんごい鳥肌が止まらなかった。思わず後退りしてしまうほどテンパった。
爺「今日は、何月何日何曜日ですか?」
なんでまた聞くねん。怖いねん。
テンパった私は
「今日は7月17日、月曜日です。」
間違った情報教えちゃったけど、もうそんなことよりも早くこの人から離れたかった。
爺「ああ、よかった。今日は施設に行かなくてよかったんだ。」
そう言ってお爺さんは、目線を私から遠くに移動させて、そのまま何も言わずに自転車で帰っていった。
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