【漢文】以てを以て

「以」は質問が出やすいですよ。モテモテですよ。
だって、意味が多いもの。「為」くらい多いよ。

さて、「以」は「もちヰル」を原義と考えるのがよさそうです。
「~を使う」ということですね。
「~を使ってする」だと「もっテス」という動詞になりますね。

道之徳(之を道くに徳を以てす)『論語』為政
上の文だと、「人々を導くのに徳を用いる」だから、ぴったりです。
では、前置詞的に使う場合はどうか。

杖叩其脛(杖を以て其の脛を叩く)『論語』
「杖を使って、その脛を叩いた」→「杖その脛を叩いた」
このような用法が「手段」と名付けられました

勇気聞於諸侯(勇気を以て諸侯に聞こゆ)『史記』
「勇気を使って、諸侯に知られていた」→「勇気を理由に、諸侯に知られていた」
勇気を使ったから、諸侯に知られることができた(少し強引ですが)、という表現でこの用法が「理由」と名付けられました。

などという形で、無理矢理感はありますが、「~を使って」で解釈できるけれども、スムーズに理解するための日本語は他にあるよね。という外国語学習のあるあるが、「以」にもあるのでした。

今回はここまでで、公開します。このままだと塩漬けになりそうだったので。

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