【漢文】返読は変。特定の人向け

さて、研究レベルの難しいことはさておき、学校で通常教える範囲かなと思うレベルで、返読をひもといてみよう。

① 来たる有りて反る無く、得難くして失ひ易し。(8字)
② 常に恍惚として失ふ所有るがごとし。(7字)
③ 士は己を知る者の為に死す。(6字)
④ 少年老い易く学成り難し(7字)
⑤ 楚人に盾と矛とを鬻ぐ者有り(8字)

これは、実際に出題した復文の問題。順番に考えよう。

① 来たる有りて反る無く、得難くして失ひ易し。(8字)

何も考えずに、順番に漢字にすると、こうなる。

、得

だがしかし、「有無」「難易」は返読をするので、本当はこう。

反、失。

「有無」「難易」「多少」については、覚えておいてほしいな。

② 常に恍惚として失ふ所有るがごとし。(7字)

再び、単純に並べる

常恍惚失所有若

3字連続で、返読文字がある! 全部が返読するようにするためには、もうこうするしかない!

常恍惚若有所失。

修飾語→被修飾語、要するに連用修飾、連体修飾する語は前に来る。
「所」は、後接する語を巻き込んで名詞句を作る。
「有」は、be動詞的用法、後ろに補足語を必要としている。
「若」は、連用修飾。
ついでに、「常」も副詞的に文修飾をしているから、一番前。

③ 士は己を知る者の為に死す。(6字)

Let's繰り返し!

士己知者死。

返読は1字だけど・・・
「己」は「知」の補足語だから、後ろへ移動させよう。
「為」は「己を知る者」に前置して、動作の目的を作っている。「為」は「ためニ」以外に動詞の用法を持っているから、動詞的な使われ方で前に来ていると考えていい。なんなら、「ためニス」という読みだってあるくらいだ。

知己者死。

④ 少年老い易く学成り難し(7字)

あ、説明簡単な文。4回目の単純に並べる作業。

少年老学成

「少年」「学」は主語。「老い易く」「成り難し」で述部。「難易」は返読。

少年老学成。

⑤ 楚人に盾と矛とを鬻ぐ者有り(8字)

ちょっと説明順を変えてみよう。
「楚人~有り」ということは、「楚人がいた」という文だ、ということ。
どんな人か?
「盾と矛とを鬻ぐ者」ですよね。ここはどうなるの?
盾矛鬻者? あれ? これに「楚人有」を足しても7字だ。
ん~、「と」が「与」だ。
「与」は「AB」で、「AトB」。太字が「与」の分。
「盾与矛」は「鬻」の補足語だから「鬻盾与矛」。
で、これが連体修飾で「者」を修飾しているから「鬻盾与矛者」。
んで、「有」の補足語になっているから、結論はこう。

楚人鬻盾矛者。

途中で、ダレたが、まあ気にするな。

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