【古文】音便と已然形

穏便に音便を語るために、とんちんかんなことはしないでおこうと思いつつ、配信では、連濁のことから話し始めました。

連濁は、語が結合することによって、後ろに接続する語の最初の音が濁音化することですが、音便は、前の言葉が変化するという現象なのです。というわけで、音の変化は音便だけではないよというところから始まります。

さて、音便は4種類。

・イ音便
・ウ音便
・撥音便
・促音便

こうやって並べるだけならば、撥音が「ん」で、促音が「っ」と覚えるだけのことですが、無表記という残酷なものがあります。

「ん」が書けなかったから「あなり」「ななり」と書いて、「アンナリ」「ナンナリ」と読むという、最初に古文をやめたくなったアレです。

まあ、細かい理屈も大事ですが、まずはたくさん撥音便無表記に触れて慣れることにしましょう。

あ、助動詞を学習し終わった人は、こんな生ぬるいことではダメですね。

次に、已然形。

「已に」を「すでに」と読むのが、第一関門

確定条件しかないとあきらめるのが、第二関門

「已然形+ば」をマスターすると、卒業試験を受験

係り結びor逆接を認識できて、もうすぐ卒業

てな感じでしょうか。

さて、「已然形+ば」は、順接の確定条件にプラスして、次の3つの意味が選べる景品として、ついてきます。

1.原因・理由
2.偶然条件
3.恒常条件

例文を使って考えましょう。

柿食へば 鐘が鳴るなり 法隆寺

有名なアレです。
さあ、まず大間違いの「仮定形+ば」ではなく、「未然形+ば」と考えたら?
もし、法隆寺に行くことがあったら、近くの茶店で柿を食べてごらん。当たるから。ではなく、鐘が鳴るから。

馬鹿ですね。妄想たくましすぎです。では、次に「原因・理由」

やったよ! 鐘が鳴ったよ! なぜって? 柿を食べたからだよ。

馬鹿2号誕生! 仮定形と勘違いして解釈した人の話を真に受けたのですね。残念すぎます。では、恒常条件。

法隆寺には、「柿番」という過酷な仕事があるんだ。昔は、近所の茶店を寝ずに見張るという者だったから、どんなに天候が悪くても三日三晩寝ずに鐘楼にいたんだ。今は、テクノロジーの進歩でモニターを監視するだけでいいんだけど、やはり鐘楼の近くには誰かが一人常にいなければならないんだよ。なぜって? 柿を食べたとわかったら、必ず鐘を鳴らさなければならないからだよ。

長いけど、こういう切ない話だと苦にならないですね。ん、偶然条件の時の解釈? 健全だから、書きませんよ!

ZOOMでした話から、かなり改編しましたが、大筋には変更無いはず。

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