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米海軍・空軍病院①

ご無沙汰しておりました。多くの方にフォローいただいたのに放ったらかしにしていてすみません。久々に投稿させていただきますね。今回は米海空軍病院について記載しようかと思います。自分が海軍出身なので結構バイアスあるかもしれませんがお許しください。


米軍病院とは

渡米を志す医学部や医師の方ならどこかで小耳に挟んだこともあるかと思いますが、私も当時、実際に行くまでは謎のベールに包まれ何か分かっておりませんでした。最近ではフェロー卒業生の方のブログやyoutubeを介して米軍での勤務に関する記事も出てきておりますのでイメージしやすくなったかもしれませんが、一応最初から説明しようと思います。

米軍病院とは、アメリカのMilitary関連の人が通う米軍基地内にある病院のことです。普通に生活していたら気付かないですが実は日本国内には結構な数の米軍基地があります(正式には日本国内ではなく米軍領土ですが)。日本の米軍基地に勤務する軍人、その家族や子ども、リタイアした人などが米軍基地内の病院に訪れ、アメリカ人医療スタッフが彼らをケアをします。そしてその病院のうちいくつかが、1年間契約で毎年日本人医師を正式に数名雇っており、採用されれば米軍基地内でアメリカ人に囲まれながら医療スタッフと一緒に働くことができます。これがフェローシップと呼ばれるものになります。


フェローシッププログラムの種類と応募

現在では、横須賀米海軍病院、沖縄米海軍病院、横田米空軍病院、三沢米空軍病院の4つが毎年フェローシップを募集しています。募集時期は大体6-7月で、4つとも大体8-9月にかけて面接を行います(2020年度はコロナによりonline面接でしたが今年は分かりません)。毎年、海軍病院は各6人、空軍病院は各3人募集しており任期は4月から翌3月末までです。毎年要項が変更されるので絶対に公式ホームページで確認することを勧めますが、現時点で海軍においては研修医を終えていないと勤務できません。(つまり研修医2年目の間に応募すれば勤務は3年目からなのでokです。)

Googleで検索かけてもやや探しづらく簡単に応募ページに辿りつかなかった記憶があるので、サービスで横須賀米海軍病院のリンクを貼っておきますね。英語でus base fellowshipで検索すると見つけやすいですよ。

横須賀基地の提出期限は要項を見る限り2021年は7月20日のようですが、他の基地も大体それくらいの時期が期限だと思います。書類を揃えるのが結構大変なので、少しでも考えている方は今すぐにでも準備に取り掛かることをお勧めします。採用合格発表は全ての病院で例年8月末−9月頃です。応募時期に研修医2年目であれば専攻医登録の前には結果が分かるので、翌年の進路選択にも支障を来さずに済み有難いかもしれません。倍率はプログラム毎に異なりますが、例年それなりには高いです。


フェローシップではなにするの

フェローシップの1年間は、基本的には我々日本人がやりたいことをサポートしてくださる環境があります。ですので、USMLEに力を注ぎたい、英語力をあげたい、アメリカの臨床に触れたい、マッチングの準備をしたい、などといった個々の希望を結構考慮してもらえます。勤務時間は平日の7:00-16:00です。日中は大体各科のローテーションを行いながら問診や身体診察等に参加しつつ、定期的に英語の症例プレゼンテーションやアメリカ医師によるレクチャーの機会もあるので、日常で医療英語に触れる貴重な機会です。例えばアメリカレジデンシー採用においてはUSCE(US clinical experienceの期間)と推薦状が選考の際の大きなファクターになるのですが、米軍で勤務をすることでUSCEが1年得られ、アメリカ人医師に推薦状の依頼もできます。純日本人にとっては渡米の登竜門と言っても良いのかもしれません。実際アメリカで働かれていらっしゃる日本人の先生方はフェローシップ出身者が本当に多いです。病院毎にプログラム内容が異なりますが、横須賀のものであれば上記リンクに詳細があるかと思いますので参考にしてみてください。

我々にとってメリットしかないが、、、ではなぜわざわざ給料を払ってまで日本人を雇ってくれるのか?そう疑問を抱いた方は鋭いです。理由はちゃんとあります。それは、我々日本人医師には米軍基地病院と日本の医療とのリエゾンとなることが求められているからです。基地病院は規模が小さく専門が全てあるわけではないので(沖縄はそれなりに大きいです)重症者や治療困難な患者が米軍病院に来た場合、日本の医療機関への搬送や入院治療が必要になるケースがあります。しかしアメリカ人は日本の言語や医療事情は分かりません。そんな時に我々が呼ばれ、コーディネートをしてアメリカ人患者を日本の病院に搬送したり、フォローアップをしたりしながら、米軍病院と日本の病院の橋渡しをします。こちらはオンコール業務なのですが、プログラム毎に呼ばれる頻度や業務内容は結構異なるようですので、詳しくはプログラムのホームページを見たり、面接の際に直接聞くと良いかと思います。

以下はただの体験談です。横須賀基地はオンコールで呼ばれる事がそれなりにあります。ただ、その分アメリカ人医師と密に関われ、我々にも敬意を持って接していただけたので結果的に良い推薦状や強いサポートに繋がったように感じました。ちなみに横須賀では基地内の1人部屋が1年間なんと無償で全員に提供されます。1人暮らしであれば費用面でも助かりますし基地内に住めて楽しかったです。


米軍病院を実習、見学する機会はあるの

あります。海軍病院(横須賀、沖縄)は毎年エクスターンシップ(病院実習)を募集しており、大体は6-8月の期間内に1週間希望科をローテーション出来ます。通常であれば日本人が米軍基地に入ることは許されないので中に入れるだけでもワクワクしますが、実際にアメリカの医療を見られるまたとないチャンスだと思います。過去にはガンガンコミュニケーションをとっていき1週間の実習期間内に推薦状をいただけた勇者も何人かいらっしゃいました。エクスターンは医師のみでなく医学生も申し込み出来ます。募集期間は例年5-6月くらいで今まさに募集期間ではあるのですが、残念ながら横須賀、沖縄とも今年はあっという間に全て枠が埋まってしまったようです。エクスターンシップに参加出来なくともフェローシップには問題なく応募できますし選考に不利になることは無いようなので安心してください。

過去には横田基地、三沢基地も1日見学や数日実習の受け入れをしてくださっていましたがコロナの影響で今年は分からないので、直接ホームページから担当者に問い合わせるのが確実かもしれません。横須賀ではOpen Houseという1日見学の機会が6-7月にエクスターン実習枠とは別で設けてあり、今まさに募集中のようです。エクスターン応募は間に合わなかった方も含めて検討してみても良いかもしれません。こちらも貼り付けた上記のリンクから飛べると思います。


需要があれば②も書きますが今回はここまでにしておきます。ではまた!



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