『~ らしい』=✖『~ みたいだ』=△ 『~ っぽい』=〇
『~~ らしい』 『~~ みたいだ』 『~~ っぽい』
どのフレーズも日常会話に登場するが、人によっての基準がバラバラで、日本語特有の“曖昧”表現のひとつだろう。
先般、タレントの紅蘭さんのInstagram投稿をめぐって “母親らしい服装” 論争がネットでは行われていた。
そもそも“母親らしい”母親とは、どんな人なのだろうか?
“母親らしい”という感覚は、人それぞれ違うだろうし、“服装”の趣味嗜好も人それぞれだ。
私は、この“母親らしい服装”というものを全くイメージできない。
ある飲み会での話
A:「彼、電話で、こんな話してた“らしい”ですよ。」
B:「悪いことを言ったとは思ってない“みたい”だった“らしい”です。」
C:「いかにも、彼“っぽい”ね。」
いずれの会話も、それぞれの人の【主観的な判断】で【客観的な基準】もない“曖昧”なものだ。
私はこの 『~~ らしい』 『~~ っぽい』 『~~ みたいだ』 という表現で何度も痛い目にあわされた経験がある。
上司:「この会社“らしい”服装で出勤してくれ。 チンピラ“っぽい”。 まるで反社会的勢力“みたいだ”。」
小生:「では、会社“らしい”服装というものをご教示願います。課長のようなダサい服装なのですか?」
上司:「(怒)常識的で社会通念に照らし合わせて考えればわかるだろう!!!」
小生:「は?常識的?社会通念? 課長の服装が常識なんですか?」
上司:「(怒)(怒)とにかく明日から、ちゃんとした服装で出勤すること。」
小生:「はぁ? “ちゃんとした”服装?」
これでは出世するどころか、干されるのが当たり前だろう(笑)
日本語というものは難しい。私なりに整理してみた。
『~~ らしい』
<典型的>・・・いかにもそれらしいときに使われる
(例)女性らしい振舞い
<伝言>・・・人から聞いたことを伝える時の表現
(例)雨が降るらしい
<推量>・・・おそらくそうだろうと予測すること
(例)聞こえたらしい
『~~ みたいだ』
<比喩>・・・実際はそうではないけどそのように感じる場合。
(例)春みたいに心地良い天気
<推量>・・・その場の状況から話し手が判断。自分の五感から主観的に判断し、推測する場合
(例)彼は帰ってしまったみたいだ。
<例示>・・・具体的例をだして示す場合
(例)デビッド・ボウイみたいにカッコよくなりたい。
『~~ っぽい』
実際はそうではないけどそう感じる時に使う。
(例)女性っぽい男性
性格を表す時に使う(その傾向がある)
(例)怒りっぽい
食べたり 見たり した時に感じる気持ちや状態
(例)このカレーは水っぽい
日本語には、同じ意味をもっている表現がたくさん存在する。
おそらく、世界でもこれほど紛らわしい言葉はないのではないか?
主語がない形でも会話が成立する。
“誰が”を明言しないことによって、語尾も断言しないで、話し手が責任の一手を避けることができる。
『空気を読んで察する』
ことが会話やコミュニケーションの重要な役割なので【曖昧表現】が多い。
この【曖昧表現】は、双方の“解釈次第”なので、“誤解”を生みやすく、認識に差異がでて当然だ。
全てを語らないことに尊さを感じる“奥ゆかしい”古くからの日本の文化が関連しているので、
「日本人は自己表現が苦手な国民」という見方をされているのだろう。
ビジネスシーンでの【判断】が必要な場面では
「~~らしい」という報告は不要。
根拠が示されなければ意味がない。
「~~みたいだ」という表現の場合は、<比喩><例示>で使用するのはいいが、<推量>での表現は不要。
これも根拠が示されなければならない。
「~~っぽい」いう表現は、他社との商品比較検討の場合には分かりやすい表現として活用できる。
あくまでも個人的見解に過ぎないが、私は、
『~~ らしい』=✖ 『~~ みたいだ』=△ 『~~ っぽい』=〇 としている。
先日、セレクトショップで若い店員さんに声をかけられた。
「お客さん!今風ファッションみたいで、すげぇーいけてる感じっぽいです。」
「このお洒落“っぽい” ジャケット流行りらしいので、絶対似合うはずです。羽織ってみませんか?」
褒められているのか?けなされているのか?バカのされているのか?からかわれているのか?
私は理解できないまま笑顔でその店を出た。