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Requiem for 保険募集人

私は、COVID-19の感染拡大によって、【対面営業】中心の金融機関営業モデルは、【非接触型】を大前提とした新しいビジネスモデルへ転換していかなければならないと思っている。

【外出自粛】【マスク着用】【人との接触の減少】【ソーシャルディスタンス】【テレワーク】といった多くの新しい経験は、個々人の新たな “行動パターン” “感じ方” “傾向” “癖”等を表面化させた。

感染リスク対策は各ビジネスシーンで【可視化】されている。

スーパーやディスカウントストアなどのレジに飛沫感染防止用のビニールシートと店員も客もマスクを着用している。

百貨店の出入り口に体温測定のためのサーモグラフィーを設置され、従業員がフェースシールドを着用して接客に当たる。

小池都知事が叫んでいる【夜の街】関連の店も真剣に感染対策を行っている。

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金融機関(銀行・証券等)を利用している顧客にとっては、対面営業パーソン直接説明を聞いて、“現金”や“書類”を担当者と直接“やりとり”することが“当たり前”で、それが【安心感】になっていた顧客は少なくなかったはずだ。

しかし“COVID-19”によって、【支払いはキャッシュレス】【金融取引はできるだけネット】はできるだけネットで行う方がより衛生的だという意識の変化が生まれた。

顧客側視点に立つと、直接会って飛沫を飛ばされては、たまったもんじゃない。

「必要があればネット経由で【非対面】の“やりとり”でお願いしたい。」
「直接訪問してくるような【非常識】なことはやめてほしい」

と感じる顧客が増えていくだろう。

金融機関の社員視点に立つと、感染者が来訪するかもしれない支店に出勤して、【対面】で顧客と接する業務こそ、感染リスクが高い。

組織として、このリスクに対する対応を早急に構築しなければならない。

【対面】 ⇒ 【非対面】という“トレンド”なってしまった以上、金融機関の営業スタイルは、ネットと親和性のある【非対面】ビジネスモデルに脱皮する必要がある。

社員が直接顧客と接していた金融機関(銀行・証券等)のビジネスモデル変革は、まだイメージできるが、損害保険代理店従事者や生保セールスパーソンを抱えている生保損保会社は、どんなビジネスモデル変革を打ち出すのだろうか?

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少子高齢化・自動運転・ネット保険の台頭等でマーケットが縮小していく状況で、どう考えても、損害保険代理店業の従事者・国内生保のセールスレディは多すぎる。

【生損保会社社員の“社内成績”=担当代理店・生保セールスレディの成績】なので、これが「甘えの構図」を生み、業務を自己完結できない、コンサルティングもできない募集従事者を温存する結果となってしまったのだろう。

(国内生損害保険会社“あるある”)
社 員「こんな良い保険商品が発売になりますので拡販お願いします。」
募集人「どうやって売るんでしょうか?」
社 員「それを考えて販売するのが貴方の仕事でしょ?」
募集人「バックアップ策は?」
社 員「新商品発売キャンペーンやります。10件以上成約が入賞です。」
募集人「はぁ?それが、バックアップ策?」
社 員「では、よろしくお願いします。」

COVID-19は、生損保保険会社の代理店・募集人統廃合戦略の強烈な“特効薬”となった。

顧客の中には【対面】を嫌う人も多く、これを機に【ネット系】=安い保険料(代理店手数料がない)に移行する可能性は高い。

ここで、わかってほしいのは、保険会社にとって【維持したい】ものは、今まで【甘やかしてきた】代理店主・募集人ではなく、彼ら・彼女らが扱ってきた【契約】だ。

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敢えて、保険募集人の“生き残るポイント”があるとすれば?

● 自社・自分の“ウリ”は何なのか?(他社・他者とは何が違うのか?)明確に簡潔に説明できる。

● あらゆる“ソリューション”が提供できるコンサルティング能力(取扱商品にとどまらない総合サービス提供力)

● 多様化していく社会の変化に即した分野についての知識が豊富

といった特徴・特技がないと生き残れない。

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高齢化した損害保険代理店主は、
『最近の保険会社社員は冷たい。昔はよかった。』
と“ぼやく”。

この大御所(あえてこの表現)は、
「今の自分があるのは保険会社のおかげ。」
「俺が保険会社を大きくした。」
という自負がある。

そして
『俺が言えば保険会社は動く。どうにでもなる。』
といった根拠のない自信がある。

しかしながら、次世代に向けた代理店ビジョン(後継者問題・人材育成)も希薄で、具体的アクションプランも持っていない。

名プレーヤーであっても名監督ではない。

ガバナンスは不十分。教育体制も『俺の背中を見て芸を覚えろ!』程度で体系だったものはない。

ITスキルは全く持ち合わせていないので、ガラ携での“いきなり電話”しかできない。

生保セールスレディの方々にとって、【非対面】営業への転換は極めて難しい。

GNP営業(G=義理、N=人情、P=プレゼント)は、非対面方式になったら無理。


今の段階では、まだ表面化されていないが、【対面営業】から【非対面営業】への転換というのは?

損害保険代理店従事者”と“生保セールスレディ”にとっての“死活問題”。

保険募集人にとっては、自分の道を決める【決断】の時だ。


<ご参考>

2019.12.18パネルディスカッション レポート


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