宮道糸子

ネットにさえ繋がれれば自分の書いた文章を公表できる。夢みたいな時代。 やったことはない…

宮道糸子

ネットにさえ繋がれれば自分の書いた文章を公表できる。夢みたいな時代。 やったことはないけれど、折角だから物語を書いてみようと思う。シングルマザーの研究者を主人公にした短編集。 格差、貧困、ジェンダー、教育。私が今まで感じた小さな違和感を、この物語を通して伝えてみたい。

マガジン

  • 糸子のつぶやき

    筆者のつぶやきを集めました。

  • 『詩子物語』

    院生シングルマザーの物語。

  • 小噺

    詩子の周りの愉快な出来事。

最近の記事

noteを始めて一週間。思うこと

noteを始めて一週間が経った。noteで多く書かれる内容の傾向もなんとなく分かってきた。 noteには、私が想像していたよりハウツー、自己啓発に関連する記事が多かった。そして、そうした記事は思っていた以上に人気が高い。だが、私は苦手だ(書き手や記事、それを好む人を否定する気は毛頭ない。ただの好みの問題だ)。何についても、一旦知ってしまえば知らなかったときには戻れない。「ためになる」知識が蓄積されると、そうではない行為や考え方をする度に罪悪感に似た感情を覚える。これが大嫌い

    • 今月から生まれて初めて物語を書いている。書いていて気付いたのだけれど、この作業はまるでカウンセリングだ。 今とても書きたいことがあるのに、書こうとすると胸が痛くて進まない。書き上げるのはきっと、昔の私や今の私、嫌な私も全て含めて、自分をまるごと受け入れられた時なんだろう。

      • 【小噺】留学編:瓶ジュース

        今回の小噺は詩子が短期留学していたときの話。 詩子はアジアのある国に、大学1年生のころに短期で、23歳からは長期で留学したことがある。その国は旧社会主義国。詩子が18歳で初めて訪れたのは1990年代。市場経済が導入されてようやく10年が経とうとしている頃だった。   詩子は理学部で学んでいて、大学でその国のことについて専門的に学んだことはなかった。もちろん言葉も知らない。飛行機で「4週間で学ぶ」シリーズの学習書を読んで、文字と挨拶を覚えた。 本当に長閑な国だった。暖かい日

        • 【物語2】女性研究者の集い

          母になって15年目の春の終わり、詩子は初めてジェンダーに関する集まりに参加した。彼女がこうした会合等に参加してこなかった最大の理由は、時間がないことであった。そんな集会に行くぐらいなら、娘と時間を過ごしたいと思ってきた。娘はいつも独りぼっちだったから。   参加してこなかったのには、もう一つ小さな理由があった。詩子はジェンダーの集まりがどことなく怖かった。当時はうまく言葉にできなかったけれど、後に考えれば、参加しても孤立してしまうことを直感的に知っていたのだろう。シングルマザ

        noteを始めて一週間。思うこと

        • 今月から生まれて初めて物語を書いている。書いていて気付いたのだけれど、この作業はまるでカウンセリングだ。 今とても書きたいことがあるのに、書こうとすると胸が痛くて進まない。書き上げるのはきっと、昔の私や今の私、嫌な私も全て含めて、自分をまるごと受け入れられた時なんだろう。

        • 【小噺】留学編:瓶ジュース

        • 【物語2】女性研究者の集い

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        • 糸子のつぶやき
          3本
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          3本
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          2本

        記事

          今まで物語や小説を書いたことはない。SNSも使ってこなかった。なのに、いきなり物語を書き始めて、いきなりネットで公表している。 だから、公開後に何度か直してしまった。読んでくださった方には申し訳なくて仕方ない。 恐らく暫くはこんな感じで試行錯誤します。すみません。

          今まで物語や小説を書いたことはない。SNSも使ってこなかった。なのに、いきなり物語を書き始めて、いきなりネットで公表している。 だから、公開後に何度か直してしまった。読んでくださった方には申し訳なくて仕方ない。 恐らく暫くはこんな感じで試行錯誤します。すみません。

          【小噺】研究室編:辮髪の院生

          「小噺」枠を作った。ここでは、「物語」の本筋には到底ならないけれども、詩子の周りで起こった小さな話を載せていく。   今回は詩子のいた研究室の話をすこし。 史料講読詩子の院生時代の研究室には、多い時で院生が14人いた。詩子を除いて外は全て中国籍の学生だった。   詩子がこの研究室にきてから5年後の秋、一人の男性が入学してきた。詩子より一歳上で、既に日本国内の私立大学で修士号を取得していた。博士課程には入らず、「研究生」としてこの研究室に所属した。彼もまた中国籍の学生だった。

          【小噺】研究室編:辮髪の院生

          【物語0】院生シングルマザーの物語を書こうと決めたわけ

          筆者が本物語を執筆するのは、子どもがいても、親や家族の理解やサポートがなくても、経済的に恵まれなくても、体にハンディキャップを負っていても、またどこで生まれてもどの国籍であっても、学びたいと希望する全ての人が学び続ける機会を持てるような社会を望むからだ。 主人公・詩子は何度も挫折した。幼い我が子をたった一人で異郷で育てつつ、生活費や授業料をアルバイトで稼ぎながら、研究する時間をひねり出すことは本当に難しかった。皆の4倍の年月を掛けて博士号を取ったが、そのしわ寄せは彼女にも、

          【物語0】院生シングルマザーの物語を書こうと決めたわけ

          【物語1】主人公は女性研究者

          この物語は一人の女性研究者の話である。名前はなんでもよい。名無しは不便だから、前田詩子としよう。現在の彼女を表す言葉を並べてみた。   母。娘一人。シングルマザー。アラフォー。一人親家庭。   研究者。歴史家。ポスドク。非常勤講師。翻訳者。   ど田舎出身。地方都市在住。   両親・兄弟とは絶縁。 ちなみに、筆者はこれまで日本で、詩子以外にシングルマザーの研究者に会ったことがない。その意味で彼女は、女性研究者と言うマイノリティの中でもまた更にマイノリティかもしれない。それ

          【物語1】主人公は女性研究者