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アイスホッケー男子日本代表、冬期北京五輪への道~第1章~

2月6日からスロベニアで、北京冬季五輪3次予選スタート!

日本の男子アイスホッケーにとって、勝負の時が近づいてきた。

2月6日(木)からスロベニア・イェセニツェを会場に、北京冬季五輪3次予選Gグループの戦いが開幕する。
3次予選は、4チームが総当たりのリーグ戦を行い、1位のチームのみが今年8月に予定されている最終予選に進むことができる狭き門。
冬季五輪の出場国は全部で12。予選から出場できる国はわずか3だ。(あとは世界ランク8位までと開催国)
日本はなんとしてもその枠に滑り込まなければならない。冬季五輪出場への道はこれほどに厳しい。

この3次予選、日本(23)の試合日程はこちら↓
第1戦 2/6(水)日本時間 23:30~ 対クロアチア(29)   
第2戦 2/7(木)日本時間 23:30~ 対リトアニア(24)      
第3戦 2/10(日)日本時間 早朝3:00~ 対スロベニア(18)
 ※( )の数字は現在の世界ランク。現地時間はー8時間

最大のライバルはスロベニア。勝たねば突破はない

なんといっても、今回の3次予選で最大の難敵は開催地であるスロベニア 。

https://hokej.si/

日本としては、クロアチア、リトアニアの両国にしっかりと勝ち続け、最終日10日の日本対スロベニアの直接対決で勝った方が1位通過、という状況に持っていくこと。それが予選通過するためにはほぼ必須の条件だ。
スロベニアは、成人男子の競技人口がわずか153人(日本12,021人)ジュニア男子が903人(日本5,344人)という小国でありながら、ソチ、ピョンチャンと2大会続けて冬季五輪に出場を果たしている強豪。スロベニア代表はNHLやそれに匹敵すると言われているロシアを中心としたリーグのKHL、またヨーロッパ各国のリーグに参戦しており、各選手のレベルも高い。

こうしてみると、やはり「五輪予選は厳しいな」と思わずつぶやいてしまう状況でもあるが、いっぽう今回は日本にとって明るい材料も増えてきている。

今回のアイスホッケー男子日本代表の、期待できる点

まずは、日本代表のメンバー構成が非常にしっかりしてきていることを挙げたい。

GKは、昨年5月に行われた世界選手権(3部)をケガで出場辞退した日本の守護神、福藤豊がほぼ盤石の状況で出場することができそうだ。
ご存じの方も多いと思うが、福藤は日本人で唯一のNHL経験者。


アイスホッケーのGKは、堅守で相手のシュートを止めていくと攻撃陣にも良いリズムが出てきて、チーム全体を底上げできるという非常に重要なポジション。そこに福藤がしっかり構えることによる効果は大きい。
精神的にも福藤は日本のアイスホッケー界の中心的存在であり、若手選手も「福藤さんがいると安心感がまったく違う」と口を揃える。
37歳の彼自身、この五輪予選には並々ならぬ思いで臨んでおり、最高のパフォーマンスを見せてくれるはずだ。

攻撃陣では、現在北米のプロリーグに籍を置くFW平野裕志朗がこの予選に参加できるのも大きい。平野は現在、NHLの2つ下のプロリーグであるECHLウィーリング・ネイラーズで39試合を戦って、10ゴール19アシストと非常に好成績を挙げている。ゴールとアシストを合わせたポイントではチーム内で2位と好成績だ。北米のクラブチームは自チームの勝利を優先するあまり、代表に選手を派遣しないという場合も多いが、今回チームは快く平野を日本代表に送り出してくれた。
平野のストロングポイントは、日本人離れした体格から放たれる豪快なシュート力。それでいてゴールのスミをしっかり狙える正確性も兼ね備えており、間違いなく攻撃の中心となる存在だ。
相手のマークも厳しくなるとは思うが、それをはねのけるパワーと強いメンタルが平野にはある。


もう1人攻撃で楽しみな選手が、NCAA1部ニューハンプシャー大学(UNH)の3年生、FW佐藤航平だ。
東京生まれの彼は、小学校卒業後すぐにカナダへホッケー留学し、北米を転々としながらチームを探し、厳しい競争を勝ち抜いてきた選手。それだけにプレースタイルはアグレッシブで、常に相手のゴールに向かって突き進みスピードと動きのキレで相手を圧倒するようなプレーが信条だ。
NCAAの中でもレベルの高い東海岸の大学でしっかりレギュラーを掴んだ実力はダテではない。昨年5月の世界選手権(3部)でフル代表初招集された時も、佐藤は持ち味を発揮。劣勢からいっきにカウンターでゴールを狙うシーンが何度も見られるなど、いきなり代表にフィットして、岩本監督を大いに驚かせ、喜ばせた。
※佐藤航平選手についてはぜひこちらの記事もご参照を。↓



いっぽうアジアリーグアイスホッケーの国内4チームからなる、いわゆる「国内組」も有力選手を招集した。
昨年5月の世界選手権(3部)の時には、日本製紙クレインズの廃部直後で、新チーム発足のための募金の御願いやスポンサー回りなどチームの存続活動のため代表メンバーには入れなかったひがし北海道クレインズの選手達が今回6人選ばれた。
なかでもクレインズのキャプテン、上野拓紀(ひろき)が代表に加わったのはかなりの戦力アップ。
彼独特のスケーティングスタイル(←本当に個性的!)から隙あらばゴールを狙う姿勢に注目して欲しい。
クレインズではキャプテンとして自分を抑えてチーム優先にプレーしている感じもある上野だが、代表では背中の重石を一度下ろして、のびのびとリンクで暴れまくる姿が見たい。

また戦術面では、岩本裕司監督の指揮のもと、日本代表が昨年10月と12月に2度招集されてヨーロッパ各国に遠征し親善試合を重ねた。多少なりとも国際試合の経験を重ねたことで、選手の連携が良くなってきたこと、また監督の求める戦術に対するシステム理解度が上がってきたこともプラスの材料に挙げられる。

「FAST HOCKEY」を掲げ、強豪相手にアップセットを狙う!

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↑スーツ姿のスタッフ陣右から大北照彦コーチ、岩本裕司監督。昨年5月の世界選手権(3部)にて

岩本監督が掲げる日本代表の合い言葉は「FAST HOCKEY(ファストホッケー)」。これは単純に相手より早くスケーティングしてスピードで圧倒する、ということではない。パスなのかシュートなのか、今は攻めるときか自重すべき時か、など『判断のスピードを早く』し、しっかりした戦術理解のもとに良い形を作って相手ゴールに迫る、というスタイルを日本は目指している。
選手達が「岩本監督のシステムはかなり高度なことに取り組んでいる」と口を揃えるように、難しい挑戦だがかなり理解度は浸透して来ているように思える。

若手とベテランがバランス良くミックスされた布陣は期待大

王子イーグルスの中島彰吾越後智哉、栃木日光アイスバックスの古橋真来大津夕聖、クレインズからは大津晃介といった期待の若手も入ってきている今回の日本代表は、長年日本のアイスホッケーなどを見てきている記者の目からしても、年齢的も選手の構成的にもバランスの取れたメンバーだし、現在の日本を代表するチームとして非常に納得感がある。
個人技があり1人ででも得点の取れる選手を多くピックした印象もあり、岩本監督が勝負手を打ったな、という人選にも感じられる。

現在日本代表はスロベニア国内で1週間ほどの合宿を行い、最後の調整を行っている真っ最中。大会まで残りわずかな時間ではあるが、戦術面をしっかりブラッシュアップすることとチームの一体感を高めること。
これができれば、アウエーの地でスロベニアをあっと言わせ、3次予選を1位で通過することも充分に可能だろう。

皆さんもアイスホッケー男子日本代表の戦いぶりに、ぜひ注目していただきたい。

なお、試合速報はIIHF(国際アイスホッケー連盟)の公式サイト同大会のページ
https://www.iihf.com/en/events/2020/ogqp1g
でチェックできるが、いま現地に向かっているところなので、ネット中継等の情報が入ったらこのnoteや、
Facebookの「アイスホッケー&アイスクロス情報新Webサイト準備室」https://www.facebook.com/WebsiteoficeHockeyandIceCross/
でお伝えする予定だ。

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ポタやんです。基本的にはライター&編集者ですが、最近は映像制作も精力的に行っています。現在アイスホッケー&アイスクロス情報サイト「IcePressJapan」を運営中。冬スポーツ色々を盛り上げるべく頑張ります!