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ユーロチャレンジ最終戦は日韓戦inハンガリー

2-5と差を付けられて敗れる

ユーロアイスホッケーチャレンジ、A組2位となった日本は最終戦でB組2位の韓国との対戦となりました。
現在の世界ランクは韓国17位、日本23位。10年前まではまったく逆で日本が常にアジアをリードする存在でしたが、ピョンチャン五輪開催国として継続的な強化を果たした韓国は今や日本を追い抜きアジアの盟主の座に就いています。日本が国際舞台でより上のステージに浮上するためにはいまや避けて通れないライバルとして韓国は立ちはだかっています。

そんな経緯のある日本と韓国が今回はハンガリーの地で対決しました。

攻撃力がさらに磨かれた韓国に押し込まれる展開

日本のGKは福藤豊が先発。いっぽう韓国はファン・ヒョンホ(アニャンハルラ)の先発で試合がスタート。

序盤は一進一退の攻防のなか、先制したのは韓国でした。

日本はペナルティーで1人少ない状況のなか、韓国に外側でパスを回され、最後は正面からのシュートをゴール前で張っていたシン・サンフン(アニャンハルラ)が合わせてゴール。パス回しから放たれた強く速いシュートに日本DFは対応できずあっさりゴールを許します。

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↑先制し喜ぶ韓国のメンバー

いっぽう日本もすぐさま反撃。14分に自陣ゴール裏からの組み立てで見事なパスワークを見せ、大津晃介(ひがし北海道クレインズ)と鈴木健斗(日光アイスバックス)がカウンター気味に抜け出すと、最後はゴール前で横パス大津が鈴木健斗へ通しGKを橫に揺さぶってのゴール。これで1-1の同点に追いつきます。

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↑大津晃介からのバスで鈴木健斗が決めた

しかし、第1ピリオド残り2分、日本陣内のフェイスオフで韓国はパックを奪うと、フェイスオフサークル後端で待ち構えていたアン・ジンフィ(アニャンハルラ)がシュートを一閃。速く重いシュートがゴール左ポストを直撃しパックはゴールに吸い込まれました。GKも反応が難しい非常に質の高いシュートでした。このゴールに対しては、フェイスオフをあっさり奪われ、そこからの展開も韓国に狙い通りのデザインプレーをさせてしまったという点で悔いが残る失点でした。

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↑完璧な形を許してしまったアン・ジンフィのゴール

先に失点を重ねて、主導権を韓国に握られる

第2ピリオドも韓国が主導権を握ります。
9分にはアン・ジンフィがゴール前に持ち込みGKを引きつけてから左サイドにいたカン・ミンワン(京義高卒/所属チーム不明)にパス。バックドアががら空きになったところをきっちりとゴールされます。また、15分過ぎにはカウンターで逆襲されてDFが崩され、ゴール前で横パスを通されて最後はシン・ヒョンユン(アニャンハルラ)に決められます。全体的にシュートのスピードと正確性、崩しの形、1対1のバトルでも韓国の方が上回り、日本は失点を重ねざるを得ませんでした。

総合力で韓国が勝ることを認めざるを得ない内容に

第3ピリオドも9分過ぎにシン・サンフンがこの日2得点目を決め5-1。日本は11分過ぎに髙木健太(王子イーグルス)が1点を返し、残り2分半からは6人攻撃に出てゴールを奪ったかというシーンもありましたが、レフェリーはノーゴールの判定。最終的には5-2で韓国が日本を大差で下しました。

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↑髙木のパワープレーゴールで追いすがるも届かず

試合内容を見るに、残念ながらここ数年日本と韓国の差はさらに広がっていると感じざるを得ません。世界選手権に向けての強化試合として今年4月に苫小牧で行われた日韓戦では2戦して初戦が日本の1-2、2戦目は0-0(PS1-0)という僅差の結果でした。

ところが今大会での韓国はB組で格上のベラルーシ(世界14位)を第3ピリオド残り5分まで2点リードするという大健闘。最終的に延長シュートアウトのすえ5-6で敗れましたが、その攻撃力の高さを格上相手にも見せつけました。さらに特筆すべきは今回の韓国代表は帰化選手(北米や欧州の出身で韓国籍を取得した選手)を使わずに純韓国人のメンバーで臨んでいるということ。アジアリーグにも参戦し、現在リーグ1位のアニャンハルラ所属のGKマット・ダルトンは韓国代表としてピョンチャン五輪に出場したカナダからの帰化選手で、彼の存在無くては韓国代表は崩れてしまう、と言われるくらいの守りの要でしたが、今大会は不参加。しかし、韓国代表の弱点と言われていたGKも今回ファン・ヒョンホ(アニャンハルラ)が上々の守りを披露しています。

近くのライバルの力を借りて強化の礎を築くべし

このまま差を付けられないために、何らかの対応策を取ることは間違いなく必要でしょう。特に気になったのは日本が得意とするスケーティングスピードでもついに韓国に上回られていたのではないかという点。シュートのスピード、ボディコンタクトのパワーなどいろいろなファクターで少しずつ韓国に上回られ、総合力として結構な差がついてしまっていると感じる内容でした。

現在行われているアジアリーグアイスホッケーでも、リーグの首位を走るのは韓国のアニャンハルラ。そして、今回の代表にもハルラから多くの選手が韓国代表に選ばれています。そういう意味では非常に手合わせも多くできる相手だけに、アジアリーグの韓国2チーム(アニャンハルラ、デミョンキラーホエールズ)との対戦を大事にすれば学べることは多々あると思います。

また、そろそろお互いの強化のために、日韓アイスホッケー定期戦を復活させるのも1つの手なのではないでしょうか?

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↑アイスホッケーでは良好な関係を築いているだけに、両国間の連携をより活かしたい

もともとアジアリーグは、日中韓が手を携えてお互いの強化をし、極東アジアのアイスホッケーの底上げを図るという意図で立ち上がったリーグでもあるはずです。韓国は日本のチームと戦うことで学びを得、実力を伸ばして日本を追い抜きました。逆に今、日本が韓国から学ぶことが必要な時期にきていると言うことでしょう。
(※アジアリーグ創設には別の理由もあることは多くのファンがご存じでしょうが、この記事ではこの程度に触れるにとどめます)

今大会は1勝2敗という結果で日本代表は帰国の途に就きます。ハンガリー戦では良い内容の試合を見せてくれ、進化を証明してくれましたが世界ランキングが上の相手には勝利を掴めなかったことは事実です。
ぜひ、来年2月に迫っている五輪3次予選に向けて、関係各所が一体となって、できうる限りの準備をして日本代表がそれに臨めるようなサポート体制を作り上げて欲しいと願います。

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※写真はPCに映したhttps://m4sport.hu/の映像を当方のカメラで撮影したものです

ポタやんです。基本的にはライター&編集者ですが、最近は映像制作も精力的に行っています。現在アイスホッケー&アイスクロス情報サイト「IcePressJapan」を運営中。冬スポーツ色々を盛り上げるべく頑張ります!