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家電のあたり、はずれってホントにある?

手づくりだから同じものは二つとないよ、とよく聞きますが、量産されて売っているその辺のモノも実は同じものはないんです。

同じように見えるものですが、大体の製品はいくつかのパーツが組み合わさって出来ています。パーツひとつひとつが実は全く同じではないので、パーツが組み合わさって出来ている製品はさらに色々な違いのあるものになってしまいます。
とは言っても皆微妙な違いですが、色々な違いを見てみましょう。

時計のギアなど金属の板から上下にある型で穴をあけたり、曲げたり、絞ったりする板金加工品は型で形を切り取ったりするので一見同じものが出来るじゃんと思うかもしれません。
しかし、同じ型を使っても型を動かすスピードや力によってサイズが微妙に変わります。また方は金属なので、金属で金属を何度も打ち抜いたりしていると、型の方がだんだん削れてきますので、作れば作るほどそのパーツは大きくなってきます。

環境問題で敵視されるプラスチック製品ですが、私たちの身の回りには沢山あります。その加工方法の代表で細かい樹脂(ペレット)を溶かして型に流して作る、射出成形がありますが、型に流し込んで作るから全く同じものが出来ているだろうと思うかもしれません。
しかし、沢山作っているパーツの中にはひとつの型に同じパーツを何個も作り一度に沢山作る事も珍しくはありません。その同じように作っている型ひとつひとつには個別に切ったり、削ったりしていますので、それぞれ同じようで微妙な違いがあります。よく型番1、型番2などと番号がふっていて、パーツとしては問題ないくらいの違いがあります。また更に沢山の生産数あるとその何個かいっぺんに出来る型を2個3個と造ったりしてパーツによってはかなりの数の”兄弟”が出来るわけです。
射出成形にはそれだけでなく、溶かした樹脂の量だとか、温度、入れる時のスピード、圧力、など成形条件でサイズが違ったり、キズの様なものが出来たりして成形する日で違うものが出来てしまいます。元の樹脂(ペレット)は最初によく乾燥して使用するのですが、その乾燥が不十分だったりしても違いが出来たりします。この様に射出成形で作られているプラスチック製品は同じ形でも全く同じものを作るのが難しい事なのです。

一部のパーツの作成方法しか紹介していませんが、他の加工方法でも何かしら機械を使って加工しますので、色々な違いを生みます。
そして最初に言った通り、その微妙な違いを持ったパーツどうしがとんでもない組み合わせパターンが出来てしまい、中には結構大きな違いを生む場合もあります。

設計はその組み合わせで問題が無いようなパーツの寸法を±何㎜までと指定して組みあがった製品に問題が無い違いまでしか出来ない様にしますが、それでも微妙な寿命の違いが出たり、小さな積み重なりが一見ちゃんとした製品でも早く壊れてしまったりします。もちろん使い方で丁度壊れやすかったりもしますが、同じ製品がないので、家電製品、すべての製造されたものには「あたりはずれ」があるんです。
本当に設計や製造の不良もなくはないので、その場合は、その製品自体がはずれですが、、、
でもこんな背景をちょっと知ると思いがけず壊れたものでも仕方ない、はずれを引いてしまったかと怒りを少しは抑えらないでしょうか。

宜しくお願い致します。