見出し画像

鶏胸肉を愛してやまない男の四年目

 明けましておめでとうございます。ざきです。昨年は贔屓チーム(福岡ソフトバンクホークス)は4位に終わる非常に残念なシーズンでした。まあ、その、これまでのツケがまわってきたのかな〜と思ったり思わなかったり。。。今年は指揮官も変わったことですし心機一転、心を入れ替えてV奪還目指して頑張って欲しいですね。

 今回は、久しぶりにちゃんとしたnoteを書いてみようと思います。ご本人様にも許可を頂いての執筆になるので本当に真面目に書いてみます。その主役は「杉山一樹」投手です。


1、これまでの三年間

 今季で4年目となる杉山投手ですが、昨年までの3年間では怪我や投げたくても投げられる機会がなかったり、機会があっても結果を残しきれないと言ったようななんだかもどかしい3年間を過ごしてきたように私には写っていました。「本当はこんなもんじゃない」と言ったような感想は誰しもが抱いていることでしょうし、それは当の本人が一番感じているのではないでしょうか。一年目は即戦力として期待されながら入団しキャンプではアピールに成功していましたが怪我で戦線離脱、一軍デビューは9月にまでずれ込むことに。2年目はキャンプで胃腸炎を発症するも、新型ウイルスの影響で開幕はずれ込みシーズンへの影響は無く「投げられる」状況だったが中々機会に恵まれませんでした。それでも少ないチャンスを物にし最終的には日本シリーズでの登板も果たし、その名を全国へと知らしめることとなりました。この流れで行けば「3年目は一軍定着!」といきたいところですが、そう甘くないのがプロ野球です。3年目となった昨年は、外国人投手やエース千賀投手に実績十分の東浜投手の出遅れもあって開幕ローテーション入りを目指すことになりまう。最終的に首脳陣は「先発ではなく中継ぎ」と言う決断をしますが、3年目は中継ぎとしてですが初の開幕一軍入りを果たします。開幕一軍入りはもちろん素晴らしいことなのですが、先発ローテーションを争っていた立場の杉山さんからすると悔しさはあったと思います。実際に伺ってみたところ「中継ぎと言う立場でもチームに貢献できるのは非常に嬉しかったが、ローテを外れてしまったことは本当に悔しかった」と言う風に仰っていました。このことからも「先発」と言うポジションへのこだわりは強いようですね。

2、苦しみの一年

 前述した通り、昨年は初の開幕一軍入りを果たします。先発ローテーション入りは叶いませんでしたが、球の強さや三振奪取が見込めるので勝ちパターンとしての役割を期待されての中継ぎスタートとなります。155km/hを有に超える真っ直ぐに今年は手応えを感じていたと言うフォークボール130km/hぐらいのスライダー、そして新たにカットボールと言う球種が加わりました。杉山投手はお世辞にも制球が良いとは言えませんが、カウントを整えやすいカットボールが加わったことでピッチングに幅が出ると期待していましたし「苦労することは少ないのではないか」と私は思っていました。しかし、実際は投球の大半を真っ直ぐが占める事となり、私の想像していたピッチング像とはかけ離れた物で、正直なところ「あ〜カットは使わないのか〜」と感じていました。ですが、先発ではなく短いイニングを抑える中継ぎなので「極端な話カットは使わずにフォークボールと真っ直ぐのツーピッチでも良いのでは?」とも考えていました。それも「真っ直ぐが速いだけにフォークを決め球だけではなくカウント球でも使うべきだ」とその時にツイートしたのを覚えています。


 これはあくまで自論ですが、中継ぎは「試合の流れを断ち切り支配するピッチングが必要とされる」と私は考えています。カットボールを使わないのなら「フォークもカウント球で使いながら真っ直ぐを見せつけ試合を支配するようなピッチング」を見たかったのですが、そう簡単にはいきませんでした。私には「制球に苦労する真っ直ぐを続け、変化球はスライダーを少し投げるぐらい」と言うようなピッチングに写り、自分を苦しめ、そしていつしか”四球渦”に取り込まれてしまっていたのです。ですが制球に苦労する真っ直ぐを続けての自滅、即ち、何かを変えたわけはなく同じことを続けての自滅、だったので「最低限は配球でカバーできるのでは?」と思ったのが正直なところでした。ですがプロ野球はそう簡単なモノではなくバッテリーの間の兼ね合いだったりフォームのずれなどもあったので難しい部分だなと実感させられましたね。その後はビハインド展開での登板が増え、6月に入り一軍抹消となった時は「もっとこうできなかったかな?」と私自身もどかしい気持ちになりました。

3、二軍での努力

中継ぎでの登板も数試合ありましたが、二軍では主に先発を任されます。私も見ることのできる試合は観戦していましたが、先発した試合は大崩れすることはなくしっかりと試合を作ることができていました。何より「与四球の数が減って、試合を制しているな」と感じていました。その要因としては、打者のレベルなども考えられますが、私は「ピッチングをし始めたから」だと考えます。これまでの一軍での登板は上記でも述べたように「同じことの繰り返しで自滅」が続いていました(その中でも押さえていたのは凄いと思います。)ですが二軍で先発をしたことで「今一度ピッチングを再考し、何が必要なのかを考え始めた」からこそ四球に囚われることが無くなったのではないでしょうか。実際に杉山投手は「二軍では、一軍で先発として通用するために変化球のコントロールを身につけること、全体の変化球割合やストライク率などを重視しました。」と話してくれました。二軍降格後は自らの課題が「カウントを稼げる変化球の精度向上」「真っ直ぐに頼りすぎない」事だと自覚し、その改善に取り組んでいたのです。そのアプローチが”四球”から意識を逸らすことになり、そしてその積み重ねが上記の二軍成績に繋がっていったのだと思います。しかし二軍で圧倒的な成績を残せた要因はそれだけではありませんでした。杉山投手と同い年でバッテリーを組む機会が多かった「海野隆司捕手」の存在が大きな影響を与えていたようです。話を聞いてみると、海野捕手と杉山投手は互いの考えを理解しどうしていきたいかも腹を割って話し合える関係だそうで、そうしてくれる海野捕手のためにも頑張っていきたいと杉山投手は思っていたそうです。配球面などでも偏った考え方もなく、コミュニケーションも十分に図れる関係を築けていたからこそ、杉山投手も満足して課題克服に取り組むことができていたのでしょう。こうしたことからも、成績が良くなっていったその背景には、考え方・アプローチを変えることとその考えを理解してくれる海野捕手の存在があったからだと言えますね。

 先発として十分すぎる成績を残し、9月にはプロ初先発のマウンドに上がりましたが、この試合では真っ直ぐの割合が70%ほどあったと分かった時は「二軍では変化球の精度向上に取り組んでいたのに」と少し残念だったのを覚えています。

引用:悟@野球とデータ(bb-satoru)

4、今季のピッチング像

 今年の自主トレでは「速い真っ直ぐを最大限生かすために球速帯の近いカットやツーシーム、速いスプリットの習得を目指す」と言う記事が出ていましたね。先発として勝負するならフォークやスライダーだけじゃ厳しいと思うので、至って合理的な考えでしょう。何より「速い真っ直ぐ」のイメージがある杉山投手なら、速い真っ直ぐの軌道から左右に曲げる変化球下に速く落とせる変化球があれば十分勝負できるのではないでしょうか。さらに従来のフォークにスライダーもあるので、左に二段回・右に三段回のグラデーションを描くことになり余計に球種を絞ることが難しくなると予想できます。私個人としては、無理に四隅を狙う必要は無くなりある程度ゾーン内での勝負も見込め、三振奪取や球数を減らすピッチングも期待できるのではないかと考えます。杉山投手は「打者は速い球速帯をケアするので、新球習得の発想になった」と仰っていました。新球をどこまで身につけられるかは杉山投手自身の努力次第ですが、非常に楽しみな挑戦になると思います。


5、終わりに

 今回は杉山投手にお話を伺いながらの執筆になりました。実は昨年のシーズン中も色々お話させていただきました。一見天然そうに見えますが野球に対する姿勢は真剣で常にどうしたら上手くなるのかを考えていることが伝わってきました。何より私のような野球未経験の素人の話にすら耳を傾けてくれました。役に立ったかどうかは不明です(おそらくなってない)が、そうやって真摯に野球に向き合う杉山投手を心の底から応援しています。今年はこれまでの3年間で溜まった鬱憤を晴らし、チームの原動力となることを祈っています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?