No.2 情報科は実技教科か?【情報科教育についてVol.1】
○情報科は実技教科か
情報科が実技教科として位置づけられている場合がある。
はたしてそう言えるだろうか。現状から考えてみる。また,この位置づけが現在の大学入試における教科「情報」の扱いに表れているのではないだろうか。
私自身すべての学校を見ているわけではないので,一概には言えないが,学校によっては,タイピング練習やWordやExcelなどのOffice系ソフトの使い方の習得などを,情報科の授業で多くの時間を割き行われている事実がある。たしかに必要だし,内容は悪いことではないと思う。しかし,これが中心になってしまうと問題であろう。情報科の目標である,情報活用能力を育成するためには,「情報活用の実践力」「情報の科学的理解」「情報社会に参画する態度」の3観点をバランスよく身に着けさせることが必要だからである。実技の内容が中心の授業で,情報活用能力が身につくだろうか。また,そのような実技に時間を割いて良いのだろうか。このような背景から情報は実技教科と位置づけられてしまっているのと考える。
情報の授業において実習は大切なことであるが,内容や仕組みを科学的に理解するためのものでなくてはならないのではないだろうか。
○なぜ実技中心になってしまうのか
なぜ実技中心の授業が起きているか考えてみる。
教科「情報」が必履修となった時にできた科目である,「情報A」「情報B」「情報C」では,実習に充てる時間が学習指導要領に記述されていた。多くの学校で選択されていた「情報A 」では総授業時数の2分の1以上とされていた。またこのとき担当していた教員の多くは情報が専門でない他教科の教員がほとんど行っており,担当の教員が情報の授業を実際に受けてきていない先生が多かった。自分の専門でない科目の授業を行わなければならず,さらに実習をやらなければならない。ならば,タイピングをやろう。ソフトの使い方をやろう。となってしまう。そして,この時に計画された内容を現在までずるずると引き継がれているのではないだろうか。
情報の授業を展開するために学校に設置された部屋がある。授業を受ける生徒の目の前にパソコンがある部屋だ。学校によっては,授業の際に普通教室にPCを持ち込む学校もあるだろう。この状況で授業すると考えるとどうしても駅前やショッピングセンター内にあるパソコン教室を想像してしまう管理職や教員もいたのではないだろうか。結果としてパソコンの操作中心の授業計画がされてしまったのではないだろうか。そのため,どのようにしてパソコンを活用するのかではなく,パソコンを使って何をするかの考えになってしまう。
つづく
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