深夜徘徊②

土曜の夜。

週明けから再開する地獄が足音を立てるのを密かに感じながら、そのささやかな抵抗として外をうろついている。

私の職業?うーん、特定されるのは嫌だが、しいて言えば公務員かな。

いわゆるサービス業、第三次産業。

人とかかわりが多い仕事は疲れるZOY.

99%の良客は1%のクソ客にかき消される。

はーあ、熱海市で苦労されている住民の方々ではなくあいつらが被害を被ればいいのに

そういっている間に利根川に着きました。

まあ利根川程度なら特定されないでしょう。

流域面積は日本一の大きい川である。


ぶらぶら歩いていると、ドイツ人のおじいちゃんから話しかけられた。

私は昔ドイツで仕事をしたことはあれど、ドイツ語はからきしだったので何を話しているかわからなかった。

おそらく認知症だろう。

交番に連れていこうかと思ったが、足止めをくらうのは嫌だったので適当に相槌だけ打ってその場を離れた。


ドイツか…懐かしいな。今のドイツは8200万人が住んでいるが、私が仕事していたころはもっと少なかった気がする。

あの頃は日本はバブルだった。プラザ合意とかいう会議でてんやわんやしていたような、そうでなかったような・・・。

結局バブルがはじけ、私には2000万の借金が残った。

やむなく日本に帰り、そのころはエノコログサばかり食べていた。

(ねこじゃらしのことね)

ねこじゃらしを品種改良したものが粟なんだって知ってた?

だからねこじゃらしってたべれるんだよね。まずいけど。


持ってきた5万分の1地図をなぞる。やはり川沿いの低地は見通しが良い。

等高線もないに等しい場所だ。

(5万分の1地図は20m間隔、2万5千分の1地図は10m間隔である)

川の氾濫もなさそうだし、今日はここにテントを張ろう。


~~~~~翌日~~~~~

最寄りの図書館に行った。

受付「利根川付近の古地図がない?あーたぶんここにはないので、国会図書館に伺ってください。」

私「ふーん。あ、ちなみに『伺う』は謙譲語な。『お尋ねください』とかが正しい用法だから。言葉遣い気を付けてね」

受付「きっっっっっっしょ。はよ行けや」(大変失礼しました)


本物の老害は自分が老害であることに気づけない…哀れだ。



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