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愛媛県で妊娠・出産・子育てで孤立する人をゼロに! 続く挑戦【株式会社 Kids Public|実装報告】

子育て中のパパママの困り事や悩みを、小児科医や産婦人科医等の専門家にいつでも相談できるオンラインサービス「産婦人科オンライン」と「小児科オンライン」。運営する「株式会社 Kids Public」は、2022年度から愛媛県内で子育てサポートを行なっている「株式会社エルパティオ」と提携し、「えひめ! みんなでこどもまんなかチーム」として県内でのサービス普及と地域の頼れる味方づくりに注力してきた。
2023年度は、さらなるサービスの周知と登録団体の拡大、そしてスポンサー料を負担してくれる登録団体へのインセンティブといったマネタイズ検証など、「デジタル+リアル子育て支援策」として実装の定着に挑戦した。


「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」とは

妊娠中や子育て中は、病院へ行くべきか家で安静にしているべきか…と判断に迷う体調不良や、体調不良というほどでもない小さな悩み事が頻出する。さらに、子どもの体調不良は、かかりつけ医の診療時間を過ぎた夕方から夜間に起きてしまうことも多々ある。そういったとき、いつでも気軽に医師に相談できればどれほど心強いか。夜間の受診を安全に回避できれば、子ども自身にも働く保護者にも負担軽減になる。

これらの不安を解消してくれるサービス「産婦人科オンライン」(https://obstetrics.jp/)、「小児科オンライン」(https://syounika.jp/)は、それぞれ産婦人科医や助産師、そして小児科医にスマートフォンから悩み事や困ったことを相談できる。24時間365日いつでも気になったその時に相談を送り、原則24時間以内に専門家から回答をもらえる「いつでも相談」と、平日18~22時に10分間の予約制で、LINEのメッセージや通話などで直接専門家に相談できる「夜間相談」といった2つの相談形態を柱にしている。また、メディアや定期配信などで医療記事を提供し、登録者の医療リテラシーを向上させることで事前に不安を解消したり、産後のユーザーに対して産後うつの問診票をメールで送り、リスクの高いユーザーにはメッセージを送るなどより手厚いフォローをしたりもしている。

サービス設立の思い

「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」には、総勢190名以上の専門家が参加している。これは日本で展開されている医療相談サービスの中でも随一の規模だ。それぞれの経歴を見ながら相談する専門家を選ぶことができるため、より専門的で具体的なアドバイスを得られる。
また、20~40代といった若い年齢層がボリュームゾーンとなる子育て世代は、やはりスマートフォンでのコミュニケーションが主。電話や対面ではなく、写真や動画も交えてオンラインで相談できるのも利点のひとつだ。

そしてこれらは、利用料無料で提供されている。なるべく相談に至るまでのハードルを下げて、普段の悩みを気軽に打ち明けてほしいとの思いからだ。

もともと小児科医師であるKids Public代表の橋本直也氏は、医師として虐待を受けて運ばれてくる子どもや、虐待をしてしまった保護者を何人も見てきた。なぜこのような事態が起きてしまうのか、それは身近に子育て中の不安を相談できる人がいない保護者の孤立した環境にあるのではないか、と考えたという。このような悲しい事態に至る前に家庭の問題を解決したいと、オンラインでのサービスを考案した。「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」の様々な工夫は、保護者の孤立をなくしたいという思いから生まれているのだ。

企業の福利厚生や団体のサービスとしての活用

「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」のサービスを無料で提供できているのは、登録している企業や団体から受け取るスポンサー料で運営しているからだ。企業の福利厚生や自治体の住民サービス、企業・団体等の会員へのサービスとして、従業員・住民・会員に無料で使ってもらい、登録企業・団体から料金を徴収するという仕組みだ。
産業医は多くの企業が設置しているものの、産婦人科医につながる相談窓口があるところはまだまだ少ない。つまり、総合的な健康に関する相談はできても、女性特有の悩みや症状に関する相談にはなかなか具体的な答えが得にくいのだ。
しかし、女性特有の悩みは女性だけのものではなく、サポートする男性の悩みにも通じる。男性上司として、職場で困っている女性社員にどう対応していいか。夫として、家族の健康問題を解決してやりたい。多くの企業で重要視されている「健康経営」において、女性特有の健康問題対策は非常に関心が高い。そこで、福利厚生として女性の悩みを相談できるサービスを活用してもらうのだ。全国に支店があるような企業だと、各拠点に産業医をおいても対応にばらつきが出ることが気になるが、オンラインだとどこでも平等なサービスを提供できるのも利点だ。

オンラインで橋本医師に相談している実際の様子。

また、自治体の施策は電話や対面での相談が多い。現在の子育て世代はスマートフォンの利用が日常的なものであり、やはりインターネットでのコミュニケーションが好まれる傾向にある。ちょっとした不安も、オンラインでいつでも気軽に相談してもらうことで、より手厚いサポートに繋がることが期待できる。実際、両オンラインサービスは、190ほどの企業・自治体で採用されている。

愛媛県での反響

2022年度の実装では、新聞やテレビなど各種メディアで取り上げられ、勉強会においても活発な意見交換が行われるなど注目は大きかった。
2023年度に「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」を利用した愛媛県民の登録・利用状況は以下の通り。

また、登録中の愛媛県民にオンラインアンケートを実施。2023年8月1日~10日に回収し、22名の回答を得られた。

妊娠、出産、子育てにおける不安を解消する施策として、望ましい機能や要件を尋ねたところ、第1位は「産婦人科医、小児科医、助産師という専門家に相談ができること」(100%)という結果に。「24時間365日相談を受け付けること」(95%)、「利用までの手続きが簡単であること」(86%)、「LINEから相談できること」(77%)なども重視されていた。


「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」に登録して以降のこれらオンラインサービス、併せて地域の子育て支援施策の利用については、「オンラインのみ利用」が90.9%と高い割合を占めており、両オンラインサービスのほうが利用しやすいと答えた回答者も半数以上となった。
その理由としては、
・気軽にスマホで質問できるのがいい
・オンラインでいつでも利用できるのがとても良かったから
・地域だと狭くて、個人が特定されてしまいそうだから
・時間帯にとらわれず相談したいときに相談できるから心強い
・回答者の明示があり、どの立場の人から回答があるか安心感がある
・自宅から相談できるため、子どもが一緒にいても安心
・夜間休日でも答えてもらえるから
・LINEで聞けるのが助かる
など、「普段利用しているデバイスから相談できる気軽さ」「曜日・時間帯を気にせず利用できる利便性」「オンラインならではの匿名性」に魅力を感じていることがわかった。
一方、「オンラインで相談することに慣れていないから」として地域の施策のほうが使いやすいという声もあった。

「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」を利用してみて、「不安感や孤立感が減った」と答えた回答者は86.4%だった。専門家によるオンラインでの子育て相談サービスは、子育てで孤立する人を減らす一助となると言えるだろう。

サービス利用者の声

実際にサービスを利用した人の声として、以下のものが挙げられる。

・病院で受診まではしなくても、小さな不安から聞けるので不安解消、精神的にも楽に生活できて私は助かりました。また利用したいし、知り合いにも紹介したいです。

・24時間受付可能だったので、育児家事の手が空いたちょっとした時間に利用できるので助かりました。通知もLINEで受け取れるので見逃すことなく確認できました。また利用させていただきます。

・普段仕事と子育てで、なかなか受診することが難しいので、専門の先生に相談ができるのはすごくありがたいです。

・助産師さんに聞くのが一番だと思い的確なアドバイスをくれたので助かりました。今日から実践していきたいと思います。

・初めての育児でわからない不安なことを聞くことができて本当に助かっています。

・小さいことでも不安や疑問に思ったそのときに簡単に相談ができるため、重宝しています。

確実に、「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」が利用者の心の支えになっているのがわかった。

今年度プロジェクトを実装してみて

株式会社Kids Public 代表 橋本直也さん

今回、愛媛県のデジタル実装加速化プロジェクト「トライアングルエヒメ」において、愛媛県での「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」のサービス提供の機会をいただけたことに感謝しています。実証実験を行え、愛媛県民の生の声を集めることができたので、それを基にさらにサービスをブラッシュアップしたり周知を進めたりすることで、県内のより多くの企業団体様に実装され、たくさんの県民の方にサービスを活用していただければ嬉しいです。

株式会社エルパティオ 代表取締役社長 川﨑暁子さん

子育て情報も多々溢れている昨今、1:1でサポートしてくれて「いつでも・どこでも専門家につながる」という安心感は、子育て中において本当に心強いサービスです。特に0歳児のママたちは、初めての育児に不安を抱えがち。弊社も子育てを共有したり、不安を解消できる場所創りに挑戦したりしていますが、「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」は私たちだけではサポートしきれない部分を補ってくださるサービス。これからも愛媛県の子育てになくてはならないサービスとして広がっていくことを願っています。


「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」は妊娠・出産・子育てにおいて誰も孤立しない社会の実現を目指している。今後も実証実験結果やアンケートの内容を基に、さらに多くの人に活用してもらえるよう周知を進めていく。

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