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畜産業界の生産性を高めるシステムを自社農場で構築!【株式会社ゆうぼく】

牛の事故死の削減・⽣産者の労⼒負担軽減・管理の質の向上という3つの観点から、畜産業界の生産性を高める「カメラを用いた牛の異常状態の検知システム」の構築を進める株式会社ゆうぼく。同社は、必要最低限の機能を低コストで実装することを目指し、プロジェクト開始の昨年10月から今年2月にかけて、自社農場を試験導入農場としたシステムの実装展開・検証を行ってきた。

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カメラを用いて検出する牛の「姿勢」異常


同社は今回、牛の行動を自動監視するカメラを牧場全体に50台以上設置し、記録した画像を定期保存する仕組みを構築した。収集した画像データから得るのは、体調不良時や異常時の牛の行動パターンだ。

⾃分で起き上がれず腹部にたまったガスを排出できない状態が3時間程度続くと死に⾄ってしまう「起立困難事故」を防ぐため、システムに⽜の物体認識を学習させ、牛の「姿勢」に異常がないかを監視する。

WEBアプリの画面のイメージ

異常姿勢を検出した際に、クラウドデータベース(kintone)にデータ転送される仕組みも構築し、それらを管理するWEBアプリ管理画面の作成も実施。スマートフォンやWEBアプリにアラートが発信されるようにすることで、監視という労力を削減しながら、夜間や休日も異常をすぐに検知できるようにするものである。

今回のプロジェクト期間中は、「起立困難事故」が発生しなかったため、疑似起立困難の画像を用いての学習となった他、異常に関しては未だ誤検知が多く、チューニングの最中である。経済的メリットの有無は、起立困難による死亡頭数(損失額)の過去実績対比や、起立困難での死亡を防いだ頭数の測定などが必要である。精度に関しては現状実用レベルに達していないが、牛の検知の仕組みは構築できているため、改善の方向性は明確となっている。
また、牧場内に設置したカメラで2分毎のデータ取得を継続した結果、⽜の夜間の⾏動特性や体調不良の⽜の⾏動特性等、当初想定していなかったデータ収集ができていることは大きな成果だ。牛の物体識別と姿勢検知の技術を発展させることで、起立困難のみならず、体調不良の牛の早期発見も可能だと考えられる。

生産者のニーズを把握する勉強会を実施!

同社は、生産者のニーズ把握や実験協力農場の募集を目的とした勉強会を実施。開発中のシステムについての説明や質疑応答、アンケートによるニーズ調査と協力者募集を行った。
アンケートの結果では、「起立困難検知システム」の導入を検討する来場者が多く、参加した5農場が実験協力に前向きなデータが取れた。さらに、勉強会には愛媛県やJAなども参加したため、幅広い分野への周知ができたことで、取り組みの認知度上昇と今後の利用者候補を獲得できたといえる。

今回の勉強会では、起立困難に対する解決ニーズは非常に高く、本取り組みの意義は十分にあることが明らかとなり、また他農場の生産者に実験協力を仰ぐことができた。未だ検証段階であるため、データを元にした協議は進められていないものの、防ぐことのできる損失額を他農場との協力も含めて算出できれば、本サービスの価値も向上するといえる。

試験展開による検知精度の向上に期待!

現状はニーズを満たすまでの精度に達していないことや、プロジェクト期間中に起⽴困難事故が発⽣していないことで、損失額の算定がまだできていない現状がある。ただ、一般市場にはまだ存在しないカメラ監視による牛の異常検知が、今回の検証の結果によって実用化する可能性が十分に見込める。 

今後は、3月に発生した起立困難事故のデータを用いた分析・学習や、疑似起立困難でデータを用いた分析を継続することで、⾃社農場での検知制度の向上を目指す。さらに、既に内定している、起⽴困難が発⽣しやすい和⽜を育てる他農場で試験を行い、α版として運用し、実際の農家へのヒアリングを通して改善を図る。その後仕様が固まれば、β版として複数農場(5農場程度)での試験展開も可能となるだろう。
⾃社農場のみならず協⼒農場でのデータを収集することで、精度向上のスピードを加速させている本取り組みの今後に期待したい。

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