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松山市で実装!観光客はどう動く?シェアサイクルを活用した観光客の人流データ分析結果【OpenStreet株式会社|実装報告】

観光戦略を立てる際、今注目されている「人流データ」。
観光地での動態把握と活用は、観光者を増加させることにとって重要で、それらを分析することで地域経済への寄与状態を把握することができる。

交通インフラにまだまだ課題がある愛媛県松山市では、この人流データを活用し、観光客や宿泊客の増加、地域への経済効果を高めるため、昨年11月よりシェアサイクルサービス「HELLO CYCLING(ハローサイクリング)」を導入し、新しい交通インフラをスタートさせた。

▼第一回事業紹介レポートはこちら


実装報告を兼ねた勉強会

コロナ禍以降、松山市への観光来訪者は回復してきているが、その上で効率的に観光戦略を立てるためには、観光者がどこへ行き、何を目的とし、どのくらいの時間をかけて回遊しているのか、どのスポットが人気かを可視化し、把握していくことが必要だ。

シェアサイクルスタートから約3ヶ月経過した時点での、Agoop社の人流データとシェアサイクルの行動データの結果をもとに、実装報告を兼ねた勉強会が開かれた。

株式会社Agoopは、位置情報を活用したビッグデータ事業を運営し、流動人口データを活用した企業の出店戦略を支援するシステムや、人流の分析レポートを定期配信するサービスなどを運営している会社だ。

各種データを分析して分かったこと

開始当初はJR「松山駅」などを含む3箇所だった設置エリアも、現在は愛媛大学・松山大学近くの「アパマンショップ」や、祝谷にある「エスポワール愛媛文教会館 」など倍以上になっており、さらに追加で6箇所のステーションを設置予定だ。

<Agoopのデータから分かったこと>

◾️県外からの観光客は「関東」からが多い傾向
居住地別来訪者ランキングでは、関東からの観光客が多いことが分かった。関東地方でのシェアサイクル展開状況は進んでおり、既にサービスを利用しているユーザーが多いことも理由の一つと予想される。今後伸びしろの可能性がある関東地方へのアプローチは重要だ。
◾️外国では中国・台湾からの観光客が多い
アプリの使用言語を見てみると、外国語の中では中国語が全体の3%となっており、中国からのニーズが高いと読み取れる。

◾️どんな人が来てどれくらい滞在しているのか
性別・年代別比率を見てみると、男女比では男性の利用客の方が多い。
男性の年代は20~50代と幅広く、女性は20代が特に多かった。
滞在時間に関しては、5~12時間の滞在がピークで、12時間以上の滞在は減少気味だ。ビジネスか観光目的かは把握できていないが、宿泊者が観光消費の8割以上を占めることが分かった。

<行動データを見て分かったこと>

◾️郊外のエリアを含む「中長距離利用」も
松山市中心部の観光スポットでは、松山城の周りを通って道後へいくルートが人気だった。
一方で、松山市郊外の三津浜・高浜・北条方面などの海沿いのカフェへの移動も見られた。滞在エリアとなっていた「カフェトレイン」や「みきゃんパーク」は公共交通の最寄駅から歩いて移動するには距離があり、自転車の利用が適していたようだ。
また、行きと帰りでは同じ道を通っていないのが特徴で、それぞれ違ったルートを選択している。

◾️広範囲で温泉をめぐるという楽しみ方も
「道後温泉本館」、「飛鳥乃湯泉」などの道後エリアの温泉以外に、「媛彦温泉」「天山トロン温泉」など周辺の複数の温泉施設に滞在するというデータもあった。地元民がよく利用する郊外の温泉を、県外の観光客にも訪れてもらうことも可能だということが分かる。

◾️季節による利用回数の変化について
気温が下がる冬場は全国的に見ても利用が減少する傾向だが、松山市では12月・1月と同様に利用回数の減少は見られず、微増になっていた。また、曜日別の利用回数では、土日の割合が高く、12:00~14:00の利用がピークで、付随して土日の午前中から夕方までの利用が見られる。

◾️街乗りタイプが人気
自転車のタイプは街乗りタイプ(ママチャリ)の利用者が8割と圧倒的に多かった。利用時間や走行距離はスポーツタイプと比べて大差はなかった。街乗りタイプは手軽さや利用料金の安さが人気の理由だと見られる。

利用者からのアンケート

また、今回はシェアサイクルを利用した人へアンケート調査も実施した。
「シェアサイクルの利用理由を教えてください」というアンケートで、様々な目的で利用されていることが分かった。

・電車やバスの路線に縛られない移動をしたかったため
・既存交通の営業時間外に移動をしたかったため
・電車やバスでは移動できない目的地に行くため
・シェアサイクルで街の景色や雰囲気を感じたかった

など、既存交通の空白地帯への移動に利用したいという理由が多かった。

また、「メインの目的地はどこですか?」というアンケートでは
定番の道後温泉をはじめ、坊っちゃんスタジアム、好きなアーティストのライブ、遠方ではしまなみ海道のサイクリングと答えた人もいた。

アプリの機能を活用した回遊促進アイデア

「HELLO CYCLING」のアプリは、自転車をレンタルして返却するだけではなく、アプリ上で、より多くの観光スポットをめぐってもらうために、様々な促進施策例がある。

・長く滞在して欲しいエリアや立ち寄って欲しい場所にスタンプラリー機能をつけ、チェックイン成功で近辺施設のクーポンを付与
・アプリで事前に観光案内を見ることができる
・現地でステーションをタップするとおすすめスポットの広告が出る
・自治体からの配布物や広告物と連動して、観光名所への誘導する

など、利用者にモデルコースを提案したり、お得な情報を提供することがポイントとなっている。例えば道後では、温泉めぐりのクーポン、郷土料理のクーポン、着物レンタルのクーポンなど需要があるかもしれないという意見も飛び交った。

プロジェクトリーダーの声

OpenStreet株式会社 亀田 真隆さん

◾️OpenStreet株式会社 亀田 真隆さん
松山市でのシェアサイクル開始当日から、既存のユーザー含め多くの方に利用していただきました。
利用頻度の落ちる冬季でも、松山市の観光のポテンシャルが高いこともあり、利用頻度が落ちず、データのサンプルを得られたこと、広範囲での移動を創出できたことに安心しています。
まだデータのサンプルは少ないので、今後はより多くの移動データを集めて活用していくことが目標です。

OpenStreet株式会社 吉良 貴宏さん

◾️OpenStreet株式会社 吉良 貴宏さん
弊社のシェアサイクルサービスは会員300万人を超えますが、その中で道後という魅力的なエリアで観光していただいた事はこの3ヶ月で実証できており、手応えは感じております。
愛媛県・松山市との連携に加え、三福様が積極的にステーションの用地開拓を進めていただいているので、より利便性の高いエリアへ展開していけると思います。会員様が道後を回遊する移動手段としてどう利用を伸ばしていけるかがポイントであり、様々なデータを掛け合わせながら、利用者の行動パターンを深掘りできればと思います。

実装パートナーの声

株式会社三福快適生活 代表取締役 岡崎 雄太さん

◾️株式会社三福快適生活 代表取締役 岡崎 雄太さん
愛媛県の観光DXに対して、Open Street様を通じて弊社が観光事業の更なる拡大に貢献できるよう、期待に答えながら尽力していきたいと思います。
このプロジェクトが、愛媛県・松山市の魅力をより県内外・外国からのお客様に知っていただく材料になればと思います。どのようなデータをとり戦略を立てていくかで、新たな構想を生み出していきたいと思っています。観光のデジタル化は、今の時代に即した取り組みだと感じています。

今後更なるデータを集めることによって、私たちがまだ知らない愛媛県の観光資源が発見されるかもしれない。人流データを分析していくことは、地域の発見が生まれ、新しい施策の発展へとつながる可能性を秘めている。

写真右からOpenStreet株式会社 見城 紳さん、原田 幸治さん、吉良 貴宏さん、亀田 真隆さん、株式会社三福快適生活 代表取締役 岡崎 雄太さん、専務取締役 岡本 佳之さん

▼「HELLO CYCLING」アプリの無料ダウンロードはこちらから▼

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