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大洲市の夜間経済を活性化!「迂回ラジオ」を通して生まれた地域主体の夜間イベント【ソニーデザインコンサルティング株式会社|実装報告】

観光の文脈において、地域経済をさらに活性化させるために注目されている「ナイトタイムエコノミー」。今回はこのナイトタイムエコノミーに着目し、大洲市で開催された、新感覚エンターテインメント「愛媛ナイトウォーク 迂回ラジオ2023 in大洲」の成果についてレポートする。

プロジェクトのリーダーを担うのが「ソニーデザインコンサルティング株式会社」。そして、プロジェクトパートナーとして現地のDMO「一般社団法人キタ・マネジメント」が協力した。


ナイトタイムエコノミーを活性化させるための3つのポイント

(1)夜間経済(夜のまち歩き)を活性化させるエンタメ造成
⇨来訪するインセンティブをどうやって作るか

(2)住民生活と観光を両立させる仕組みづくり
⇨居住地域で行うイベントのため、生活の妨げにならないように仕組みを考える必要がある

(3)データ収集(属性把握)により大洲来訪顧客把握と今後の観光戦略のベースとする
⇨収集したデータを元に現地の事業者にシェアし、マーケティングに活用できるようにする

この3つのポイントをクリアするために活用したソリューションが

■プロジェクションマッピング

・旧街道内にプロジェクションマッピングを設置
・自動化により現地オペレーションを省力化


■Sound AR™「Locatone™」

・住民生活を担保する無音イベント化
・参加者の属性把握のデータベース化による来訪者の見える化
・まち全体を面的にカバー

「Locatone™」ソニー株式会社が開発したSound AR™ (現実世界に仮想世界の音が混ざり合う新感覚の音響体験)を楽しむためのサービス。「迂回ラジオ2023 in大洲」では、このアプリをダウンロードし、ツアー開始ボタンをクリック。マップに表示された特定のスポットを訪れると、自動的にその場に応じた音声や音楽が聴こえてくる。音声を聴きながらまちめぐりを楽しむことができる、新しい観光体験を提供している。

このアプリ内に、愛媛ナイトウォークのチャンネルを開設し、「迂回ラジオ」ツアーをオープンした。

寄り道エンタメ「愛媛ナイトウォーク 迂回ラジオ2023 in大洲」

■イベント詳細
『「鵜」になって、大洲のまちをナイトクルーズ』
Sound AR™ を用いて再現された、「鵜飼」の船頭に導かれながら、“鵜”になった気持ちで大洲のまちを自由に「迂回(散策)」。音とプロジェクションマッピングと共に、大洲の様々なSOUL SOUND(方言)や裏話に出会いながら、夜の大洲のまちをめぐろう。全てのスポットをめぐった後はお楽しみも…!

■開催期間(終了)
2023年11月3日(金)~2024年1月上旬
※プロジェクションマッピングは日没後(18時頃)から22時頃まで

■参加費
無料

■場所
愛媛県 大洲市 肱南地区周辺(大洲まちの駅 あさもやに案内看板あり)

大洲旧市街に11カ所のプロジェクションマッピングと、13カ所に音声ARポイントを配置し、夜間の周遊を促した。 音声データは地元で活動されている人々にインタビューを行い、まちの裏話を採取。

地域の人と文化の価値をコンテンツ化しようと、その声自体をコンテンツの素材として活用した。また、 地元の「技」を活用し、イベント用の提灯も制作。

イベントは75日間と長期的に開催された。イベント期間中はInstagramのフォロワー数が数万人を抱えるインフルエンサーが実際に体験し紹介するなど、SNS上でも注目を集めた。

数値としてもわかる成果

【実装前】
■夜間営業店舗数
当該エリアにおける定期的な夜間営業の飲食店はごく少数事業者のみ。

■夜間来訪者数
夜間エンタメが不足しているため大洲旧市街に足を運ぶ理由がなく 夜間来訪者はごく少数。

【実装後】
■夜間経済効果(大洲)
金額:150万円(概算)

■夜間来訪イ ンセンティブ造成
来訪者数:2,500人(理論値)
ロケトーンツアー再生回数:1,300回
アプリダウンロード数:640人

データ分析で見えた新たなポテンシャル

集計したデータについては、「Locatone™」のアプリだけではなく、AIカメラ、Instagram、体験者へのアンケートなど複数のデータから「マーケット」と「ターゲット」を類推した。

そこで見えてきたのが以下の属性だ。

・金曜18-20時のポテンシャルが明確化
・愛媛県在住の30-40代の女性

さらに、初期のアンケートの中で多く挙がった声が、「イベントは楽しかったけれど、夜の時間にお店が開いていない」というものだった。そこで、データとアンケート結果を地元の事業者に共有したところ、金曜18-20時の時間を対象に、定期ポップアップイベント「迂回バル」の実施に至った。

毎月第三金曜の夜に「迂回バル」を開催

大洲城下町の個性豊かな店主たちがタッグを組み、町全体がオシャレなバルに。各店舗の「推し酒」やおつまみセットがワンコイン500円で楽しむことができる。

▼迂回バルの公式Instagram

https://www.instagram.com/ozu_ukai_bal/

迂回ラジオをきっかけに定期開催のポップアップイベントが誕生した。

今年度実装してみて・今後の展望

これまで大洲市の来訪者は「高齢者」且つ夜間は集客不可能という固定概念があったものを、「迂回ラジオ」で収集したデータを元にマーケットやターゲットの明確化ができた。今後は、「迂回バル」の開催に至った事業者との連携を継続してサポートし、恒常的なイベントにすることで新しい夜間飲食業者の参入を促す。さらに、来年度は南予の他の地域への横展開も検討。大洲市と同様の課題を感じている南予各地域の問題・課題を明確化。そこにフィットするソリューションを実装することにより大洲同様のナイトエコノミーの不在問題の解決を目指す。

■一般社団法人キタ・マネジメント企画課係長  井上 陽祐さんコメント

今回の迂回バルでは法令を遵守しながら、路上などにマッピングをするという全国でも類を見ないプロジェクションマッピングを実行することができました。またサウンドARを利用した体験を提供することにより、プロジェクションマッピングでは「大音量」と「光」の演出で観光客を楽しませるものという既成概念を壊し、住宅街でもナイトタイムエコノミーの創出のためのプロジェクションマッピングが可能であるという新しい概念を生み出せたことは全国に先駆けて行われた事例と言えます。今後はさらなるDX化に向けてこの事業により生み出された迂回バルをさらに進化させ、開いている店舗の見える化によるさらなる経済波及向上などを目指していきたいです。 

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