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特定技能労働者支援アプリで、外国人材の定着率と就労環境を改善!【KUROFUNE株式会社|事業紹介】

愛媛県では、「特定技能」と呼ばれるビザで働く外国人が急増している。人口あたりの特定技能労働者の割合は、全国でも高水準だ。そんななか、「人材が定着しない」「受け入れのためのコストが高すぎる」など、多くの課題が浮き彫りになっている。これらの課題を解決すべく、KUROFUNE株式会社が開発した特定技能労働者支援アプリ「KUROFUNE PASSPORT」の導入が県内でスタートしている。

特定技能とは

みなさんは「特定技能」という言葉を聞いたことがあるだろうか?外国人が日本で就労するための在留資格(ビザ)の一つで、2019年4月に新設されたものだ。介護、建設、造船・船舶工業など16職種を対象に、最長5年間働くことができ、条件を満たした場合には永住権も獲得できる。また、それまで一般的だった「技能実習生」と違い、同業種の中で転職も可能となっている。

受け入れ枠の拡大に伴い、特定技能で就業する人は全国で毎日300人ほど増えていると言われる。2023年12月時点では約21万人が保有しており、政府は2028年までに82万人を受け入れる予定だ。

そして愛媛県は、人口に対する特定技能労働者の割合が全国でも高い地域の一つである。2023年12月時点で、約3,300人を受け入れている。そのうちの3分の1を造船業が占める。

【出典】出入国在留管理庁/特定技能在留外国人数の公表等

https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri07_00215.html

KUROFUNE株式会社とは

KUROFUNE株式会社は、「日本の労働市場を開国し、外国人が活躍できる社会を実現する」というビジョンを掲げる愛知県のスタートアップ企業である。社名の由来となった「黒船」のように、日本を開国し、外国人が住みやすい、働きやすい社会をつくることを目指している。

代表の倉片稜氏は、かつてアジア諸国を旅するなかで、日本が就労先として魅力的に映っていないという現実に衝撃を受けた。「日本は旅行には行ってみたいが、働きたくない。」という声を多く耳にし、この現実を変えるべく起業を決意した。

日本の労働力不足という課題に対して、外国人労働者の雇用は避けられない選択肢となっている。しかし、単に「労働力」を補完するだけでなく、外国人労働者が日本社会で活躍し、キャリアを築いていけるような仕組みづくりが必要だと倉片氏は考える。そのため、まずは外国人労働者の働く環境を整えることに尽力している。

アプリを活用した課題解決法

今回、KUROFUNEは愛媛県内の企業約10社で、同社の特定技能労働者支援アプリ「KUROFUNE PASSPORT」を導入し、課題解決をはかる。

【KUROFUNE PASSPORT】

このアプリは特定技能労働者自身が使用するもので、雇用主が担うべき登録支援業務を補完できる仕様だ。

<主な機能>
◎在留カードの表示
◎生活オリエンテーション、日本語教育
◎職場における苦情や相談の受付
◎住んでいる地域のニュースや観光情報 など

それでは、このアプリでどのように課題を解決するのかについて紹介しよう。

一人あたりのコストダウンが見込める

KUROFUNE PASSPORTで登録支援業務を実行することができ、月額9,800円という低価格である。

昇給や環境整備・教育に予算を割けるため定着率が上がる

KUROFUNE PASSPORTを使えば、コストダウン分を特定技能労働者の昇給に充てることができる。月額1万円昇給すれば、時給を70円上げることに繋がる。そうすれば、近隣県で最も高額な広島県の最低賃金(1,020円)の水準に届く。また、特定技能労働者の働く環境の整備や教育に予算を割くこともできるようになる。仕事を通じてスキルアップし、昇進することができれば、仕事にやりがいを感じられ「この会社で、働き続けたい」という思いの醸成にも繋がる。そうすることで、生産性がアップするだけでなく、人員補充のための採用コストを抑えることも可能となる。


賃金以外にも、人材の定着のためにできることがある。例えば、これまでは言語の問題で雇用主と特定技能労働者のコミュニケーションが取りづらいという課題もあった。それを解決するため、KUROFUNE PASSPORTに24時間アプリ上で相談を受け付ける機能が盛り込まれた。特定技能労働者の意見をアプリで集約し、KUROFUNE側で解釈してから「従業員の声」として会社に届け、具体的な対策についてのアドバイスをする。逆に、会社側から特定技能労働者に対して「遅刻が多い」などの要望を届ける役割も果たす。

利用切り替え準備中の案件も含めると、既に愛知県では30社で導入が進められており、特定技能労働者150名が活用している。愛知県西尾市で実施された実証実験では、アプリを活用することで特定技能労働者の職場満足度が向上することが分かった。

実装先企業の期待感

実証実験の対象となる企業からは、高い期待が寄せられている。有限会社大西塗装(今治市)も、その一つだ。同社は大手造船業の下請けであり、労働力の確保が課題となっていた。

これまでにも特定技能労働者を多数雇用していたが、近隣県への人材流出に悩まされていた。実際に、何年も同社で働き続けていた特定技能労働者が「賃金が高いから」と突然退職し、香川県の同業他社へ転職した。このままでは、他県にどんどん人が奪われてしまうという危機感を感じていた。

同社の中倉浩明社長は、コストカットできた資金を特定技能労働者の待遇改善や労働環境改善に活用し、人材の定着に繋げたいと語っている。

KUROFUNEの意気込み

KUROFUNEは2024年9月に今治拠点を開設し、アプリを県内企業約10社に導入する。3ヶ年計画で、最終的には導入企業数100社、特定技能労働者の1年定着率90%、経済効果1億5,600万円を見込んでいる。

同社は、コストカットや人材の定着だけでなく、この実証実験を通じて、外国人労働者受け入れの在り方そのものを変革したいと考えている。具体的には、以下のようなビジョンを持っている。

1. 企業のマインドセット変革:外国人を単なる労働力ではなく、育成すべき人材として捉える意識を広める
2. 外国人労働者の満足度向上:キャリアアップや生活の質の向上を通じ、働きがいのある環境を創出する
3. 地域への愛着形成:イベントなどを通じて、外国人労働者が第二の故郷として愛媛を愛せるような取り組みを行う

外国人労働者に定着してもらうためには、まず彼らが何に不満を持っているのかをしっかり把握することが大事である。その上で、彼らの働きやすい環境を整えるとともに、どのように教育すればキャリアアップできるか、また昇給の仕組みなども併せて、企業と一緒に形にしていきたいと考えている。

また、多くの特定技能労働者は「休日を充実させたい」と考えていることも分かってきた。彼らにとっては、日本の中でどこに住むかにこだわりは無く、レジャーなどの多い都会が選ばれがちだ。そのためKUROFUNEでは現在、「地元愛」を作る活動を構想中だという。例えば、地元サッカーチームと一緒にイベントを開催するなどし、縁もゆかりもない外国人に「ここに住みたい」と思ってもらえるような仕掛けを考えている。

このようにさまざまな取り組みを進め、最終的には日本で外国人が活躍できる場を作り、その地位を向上させることを目指している。それを叶えるために、KUROFUNEは外国人支援の業界で日本一の企業となることを目指している。

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