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あえて今の段階から第95回アカデミー賞を予想する勇気。(12.13)

こんにちは。
映画大好きトマトくんです。

特にnoteに投稿することがないので、暇つぶしがてらに今の段階からアカデミー賞の主要部門(作品賞・監督賞・主演男優賞・主演女優賞・助演男優賞・助演女優賞・脚本賞・脚色賞)の予想をしてみます。ガチ予想ではないので、内容は結構適当ですが悪しからず。

まだノミネートすら発表されてないのに、こんなの絶対無理ですけど、もし当たったら「かっこいい」って言ってもらいたいですね。

ちなみに今年は『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が総ナメすると勝手に思っているので、エブエブ贔屓の内容になっております。


作品賞

肝心な作品賞ですが、現段階から見ればマーティン・マクドナーの『イニシェリン島の精霊』とダニエルズの『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の一騎打ちだと思います。

『イニシェリン島の精霊』は、作品評価が高いことはもちらんのこと、数年前に『スリー・ビルボード』で受賞できなかったことへのお詫びの票が残っていることが強み。

ただし作品賞に選ぶにしては地味というか、制作費および興行収入の面でも小品すぎるので、脚本賞に票が流れていってしまう可能性が高いのが少し気がかりです。(そもそも最近の作品賞は地味な映画ばっかりですけども…)。

また、サラ・ポーリーの『ウーマン・トーキング 私たちの選択』も同様の理由で、サラ・ポーリーの監督賞や脚色賞に票が流れてしまう気がします。

一方の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』ですが、これまでオスカーに大きく貢献してきたA24の最大のヒット作であり、観客・批評家ともに評価がすこぶる高いというところがポイントです。

そしてマルチバースを扱ったSFアクションという点も、今まではマイナス要素ではありましたが、昨今の改革を求められるアカデミー賞にとってはかなり好都合な条件です。しかも作品賞らしい華もあるので、ここが固い気がします。

華やかさという点では、2022年を代表する記録的ヒットとなった『トップガン マーヴェリック』もありますが、こちらは1986年に公開された『トップガン』の続編である上に、前作は作品賞にノミネートされていない点が痛いですね。(過去に『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のような例もありますが…)。

あとトップガンは体当たり系のゴリゴリアクション映画なので、エブエブ以上に賞受けが難しそうな印象です。もしノミネートされたら、それだけで勝ち星だと思うべきかもですね。ただ懐古的な要素が強いので、老会員からは票が得られそうです。

そしてスティーヴン・スピルバーグの『フェイブルマンズ』ですが、本作はスピルバーグには珍しく興行的に若干コケており、また子供が主役の映画は作品賞受けが悪い傾向にあります(『ヒューゴの不思議な発明』や『ジョジョ・ラビット』『ベルファスト』など)。どちらかと言うと、作品賞よりも3度目の監督賞で華を持たせようとする流れがありそうです。

他にもデイミアン・チャゼルの『バビロン』や、トッド・フィールドの『TÁR』もありますが、今の盛り上がり方だけを観るとこの辺が作品賞受賞の目は低いと思います。個人的には、カンヌ国際映画祭で話題になった『Aftersun』の方が、ノミネートまで漕ぎつければ超大穴だけどワンチャンありそうです。

まぁでも、ここは『イニシェリン島の精霊』なんでしょうけど、希望も込めて『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を予想しておきます。


監督賞

まぁ今の前哨戦の結果を見る限りだと、スティーヴン・スピルバーグが優勢な感じはありますが、個人的には『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の作品パワーが凄まじいので、ここもダニエルズ(ダン・クワン&ダニエル・シャイナート)が獲りそうな雰囲気があります。

『リンカーン』しかり、『ウエスト・サイド・ストーリー』しかり、最近のスピルバーグはオスカーに近づくにつれて失速しやすいのでね…。

ただ今後の伸び次第では『イニシェリン島の精霊』のマーティン・マクドナーも全然ありえると思いますし、なんなら『スリー・ビルボード』で獲れなかった件も含めて、映画好きならば「受賞してほしい」と願ってしまう節もあります。

ただ現状からマクドナーが受賞する場合には、多くの批評家を味方に付けるか、他の脚本賞の有力作品が出てきて監督賞に票が流れるかのどちらかの展開になりそうです。

あとは非常に芸術性の高い作品と言われている『TÁR』のトッド・フィールドも後半から巻き返してきそうな気がします。

ノミネート次第では、『RRR』のS・S・ラージャマウリもありそうですね。外国語映画賞のインド代表作品に選ばれなかったことが、逆に追い風になると思います。

まあでも監督賞はダニエルズ(ダン・クワン&ダニエル・シャイナート)だと嬉しいですね。個人的に『スイス・アーミー・マン』が大好きなので。


主演男優賞

正直、ここは『イニシェリン島の精霊』のコリン・ファレルの一択だと思います。あまり作品に恵まれなかったものの、確かな演技力でスター俳優の座を確立。しかし、オスカーから見向きもされなかったことをバネにして、今年は本命として堂々たる参戦。

今年公開された『アフター・ヤン』の静かな演技や、『ザ・バットマン』のペンギンの強烈な役柄も彼にとってプラスに働きそうです。

また対抗馬と言われているブレンダン・フレイザーは、もしノミネートされれば劇的なカムバックとなるので、アカデミー会員からは盛大に歓迎されそうですが、肝心な『The Whale』の作品パワーが弱すぎるので、それがかなり足枷になってくると思います。

ただ作品賞にノミネートされれば、かなり風向きが変わってくると思います。特にブレンダン・フレイザーはこれが最初で最後のチャンスだと思うので余計にね。

また大ヒットとなった『エルヴィス』でエルヴィス・プレスリーを演じたオースティン・バトラーも居ますが、彼はまだまだ若手なので受賞の目は少ないと思います。同様に大ヒットした『トップガン マーヴェリック』のトム・クルーズの方が逆転する可能性が高いです。

全く老いを感じさせないアクションはもちろんのこと、36年間誰にも企画を渡さずに自身も製作に関わるなど、まさにトム・クルーズの集大成と言える作品です。

そして前作『トップガン』が公開された1986年のアカデミー主演男優賞は『ハスラー2』のポール・ニューマンであり、その『ハスラー2』はトム・クルーズの出世作でもあります。

しかも、ポール・ニューマンは1作目で主演男優賞を逃しており、25年振りに公開された続編で主演男優賞を受賞するという快挙も、現在のトム・クルーズと被る部分があるのが魅力的です。

また2015年にはレオナルド・ディカプリオが、2019年にはブラッド・ピットが、昨年はウィル・スミスが…。今まで無冠だった往年のスター俳優たちがオスカー像を手にしていることも、トム・クルーズにとっては追い風になるはずです。

しかし、今のところの予想はコリン・ファレルのまま変わらないです。


主演女優賞

大本命は『TÁR』のケイト・ブランシェットですが、既に『アビエイター』で助演女優賞を1回、『ブルージャスミン』で主演女優賞を1回で計2度も受賞しているので、今回は「3度目のオスカー」というのが大きな壁になりそうです。

(またハーヴェイ・ワインスタインさえ居なければ、本来は『エリザベス』で主演女優賞を受賞していたので、実質4度目みたいなところはあります)。

しかし、ケイト・ブランシェットは安定した演技力であるがゆえに、会員たちから「次もあるから」という理由で票が他の女優に奪われてしまうパターンも考えられます(裏を返せばまだ2回しか受賞してないんですけどね)。

なので今のままだとBuzzが降下してしまって、賞レース後半で息切れを起こす可能性もあります。

その場合に浮上してくるのが『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のミシェル・ヨーと、『Till』のダニエル・デッドワイラーです。

ミシェル・ヨーはマルチバースを扱った難しい役どころであること、そして作品賞の大本命であること、さらにアジア人ながらハリウッドへの貢献度が高く、アジア人初の主演女優賞となる可能性もあります。また今年で60歳とは思えないアクションを繰り広げたりと、色々とプラスな要素が多いです。

一方のダニエル・デッドワイラーはまだまだこれからという感じはしますが、予告を見る限りだと最も主演女優賞受けの良さそうな演技をしていました。集団リンチで息子を殺された母親というのも、如何にもオスカー好みな役柄ですね。ただ小品なのが気になります。

また『フェイブルマンズ』のミシェル・ウィリアムズですが、彼女は助演女優賞(脇役)で輝くタイプの役者ですし、実際のところ作中でも主人公の母親という役柄なので、助演から主演プッシュに切り替わった時点で可能性はかなり下がってしまったと思います。

この部門は予想が難しいですが、あえてのミシェル・ヨーだと思います。


助演男優賞

ここは『イニシェリン島の精霊』のブレンダン・グリーソンの一強と思わせておいて、その背後を『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のキー・ホイ・クァンが追随する形となりそうです。

そもそもキー・ホイ・クァンは、『グーニーズ』の子役時代から映画に出続けるベテラン俳優。功労賞的な意味も込めて受賞がありえます。

また『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』はアクション映画であり、エンタメ映画なわけですが、助演男優賞は主演に比べて娯楽作品に非常に優しい傾向があります。更にオスカーは俳優のカムバックにめっぽう弱いので、キー・ホイ・クァンの役柄(例えばヴィランとか)によっては受賞の可能性も大いにあります。

ただドラマ要素の強いキャラクターなのだとしたら、純粋なドラマ作品の『イニシェリン島の精霊』のブレンダン・グリーソンに結局持っていかれそうな気も…?

つまり現状からキー・ホイ・クァンが受賞するには、『イニシェリン島の精霊』でブレンダン・グリーソンとバリー・コーガンがWノミネートされて、票割れを起こした場合かなと。

でも、ここは無難にキー・ホイ・クァンで予想しておきます。


助演女優賞

この部門はジェシー・バックリークレア・フォイ、そしてジュディス・アイヴィーなど『ウーマン・トーキング 私たちの選択』勢が強いパワーを持っていると思われがちですが、同一作品から複数ノミネートされる場合、相当強くない限りは票割れを起こしてしまいます。

そこで浮上してくるのが『ナイブズ・アウト:グラスオニオン』のジャネール・モネイと、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のジェイミー・リー・カーティス、そしてステファニー・スーでしょう。

どの作品もまだ日本で公開されていないので憶測でしか言えませんが、まずジャネール・モネイの役どころは物語の鍵になる重要なキャラクターになりそうですし、作品が作品なので全然あり得ると思います。前哨戦では現時点の本命ですね。

またジェイミー・リー・カーティスは、『ハロウィン』シリーズでホラークイーンとなり、その後はコメディ役者となり、これまでゴールデン・グローブ賞では7度も候補に挙がり、2度の受賞経験を持つベテラン女優。

しかし、アカデミー賞にノミネートされたことは一度も無く…。本作が、ようやく彼女にオスカー像を与える絶好の機会というのが何よりも強み。まあここも功労賞的な面が強いですね。

そしてステファニー・スーですが、主演女優賞の大本命ミシェル・ヨーの娘役というのが大きなパワーを秘めいている気がします。が、共演者のジェイミー・リー・カーティスには知名度で劣ってしまうこと、そして同時にノミネートされると票割れを起こしてしまうことが注意点。

また『イニシェリン島の精霊』のケリー・コンドンも有力視されていますが、同作品の他キャスト(コリン・ファレルやブレンダン・グリーソン)に比べてしまうと、役者としてのパワーが若干弱い印象です。(まあ助演女優賞は若手女優に甘い部門であることも事実)。

ただ『イニシェリン島の精霊』自体の作品人気が極めて高いので、そのまま勢いに任せて受賞してしまうパターンも考えられますね。ってかこのままだと演技部門が『イニシェリン島の精霊』と『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』ばかりになってしまうので、ほかの役者でバランスを取る気も…。

そこで出てくるのが、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』で急逝したティ・チャラの母親を演じたアンジェラ・バセットです。

前作『ブラックパンサー』でキルモンガーを演じたマイケル・B・ジョーダンがノミネート漏れしたことも未だに悔やまれており、そしてこれまでMCUから演技部門の候補者・受賞者が出たことがないのも今回はプラスに働きそうです。

しかし、オスカーにその勇気はあるのでしょうか。

というわけで、助演女優賞はホラー映画好きとして、ジェイミー・リー・カーティスでお願いします!!!(もはやただの願望)。


脚本賞

基本的に、脚本賞おやび脚色賞のどちらかは作品賞の結果と一致するのが通例ですが、この部門は『イニシェリン島の精霊』が固いかなと思います。やはりマーティン・マクドナーですので…。

実際『イニシェリン島の精霊』は作品賞の本命のひとつというのも大きいです

対抗馬は『ファイブルマンズ』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』だと思いますが、相当捻られてない限りはなさそうな気がします。(そもそも『イニシェリン島の精霊』が相当捻られた脚本でしょうし)。

ということで、脚本賞は『イニシェリン島の精霊』を予想しておきます。


脚色賞

ここは集団レイプ事件を題材にした小説の映画化『ウーマン・トーキング 私たちの選択』と、体重270キロもある父親を描いた舞台劇の映画化『ザ・ホエール』の一騎打ちだと思いますが、勢い次第では『ナイブズ・アウト:グラスオニオン』も有り得るかもしれません。

しかも今年は『西部戦線異状なし』『生きる LIVING』など古典作品のリメイクも多いので、少しのことで風向きが変わってしまいそうです。

まあでも作品評価が断トツで高い『ウーマン・トーキング 私たちの選択』を予想しておきます。


総括

作品賞
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

監督賞
ダン・クワン&ダニエル・シャイナート(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス)

主演男優賞
コリン・ファレル(イニシェリン島の精霊)

主演女優賞
ミシェル・ヨー(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス)

助演男優賞
キー・ホイ・クァン(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス)

助演女優賞
ジェイミー・リー・カーティス(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス)

脚本賞
『イニシェリン島の精霊』

脚色賞
『ウーマン・トーキング 私たちの選択』


その他

他の部門も軽く予想していきます。

撮影賞
『トップガン マーヴェリック』
↑個人的には『NOPE/ノープ』を推している。

音響賞
『トップガン マーヴェリック』

視覚効果賞
『アバター ウェイ・オブ・ウォーター』

衣装デザイン賞
『ミセス・ハリス、パリへ行く』(多分ない)

メイクキャップ&ヘアスタイリング賞
『THE BATMAN -ザ・バットマン-』

編集賞
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

美術賞
『バビロン』

作曲賞
『バビロン』

歌曲賞
「Hold My Hand 」(トップガン マーヴェリック)
↑個人的には「Naatu Naatu」(RRR)推し。

国際長編映画賞
『西部戦線異状なし』

長編アニメメーション賞
『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』


予想は以上となります。
一応、ノミネートが発表されたらしっかりと予想をするつもりですが…全部当たってますように。

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