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【第95回アカデミー賞】全部門の最終予想【希望的観測】

こんにちは。
映画と同じくらいアカデミー賞を予想するのが大好きな20歳男子 トマトくんです。

今回は3月12日(日本時間3月13日)に迎える米アカデミー賞の全部門予想をしていきたいと思います。と言っても普通に当てに行っても楽しくないので、ガチ予想と言うよりは、希望的観測に近い感じです。だから、あまり期待しないでください…笑

勢いに任せて書いたので、拙い文章かもしれませんがそこはご愛嬌。それでは早速、行ってみます。


作品賞

ノミネート一覧(有力順)
① エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
② トップガン マーヴェリック
③ 西部戦線異状なし
④ イニシェリン島の精霊
⑤ フェイブルマンズ
⑥ エルヴィス
⑦ TAR ター
⑧ ウーマン・トーキング 私たちの選択
⑨ アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
⑩ 逆転のトライアングル

やはり大本命は、A24最大のヒット作となった『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でしょう。前哨戦となる批評家賞では他を寄せつけない圧倒的な快走。

アカデミー賞と投票媒体が重なる、WGA(全米脚本家組合賞)、PGA(全米製作者組合賞)SGA(全米俳優組合賞)、DGA(全米監督組合賞)など組合賞も総ナメ。

ゴールデン・グローブ賞と英国アカデミー賞は落としてしまったものの、前者はミーハー色がつよいことで知られており、後者は投票形式が特殊なため、ほとんど影響はないかと思われます。

内容は「マルチバース」という設定を駆使したSFコメディとカンフーアクションの融合で、どう考えても賞受けの難しそうな作品ですが、壮大なスケールの中で軸として描かれる家族ドラマに胸を打たれた会員は多いと思います。

ちなみに本作が作品賞を受賞すれば、「SF映画として初の作品賞」であり、「カンフー映画として初の作品賞」になる快挙です。

そして対抗馬は『トップガン マーヴェリック』。コロナ禍により様々な映画が配信送りとなるなか、トム・クルーズは絶対に劇場公開すると強いこだわりを持ち、何度も公開延期を繰り返して、最終的には世界中で社会現象とも呼べる大ヒットを記録しました。

またスティーヴン・スピルバーグに「君が映画業界を救ったんだ」と言わしめるほどで、劇場文化復活の記念碑的作品とされていますし、老会員にも受け入れられやすく、エブエブのように好き嫌いが別れづらいというのもプラス要素です。

しかし、肝心なトム・クルーズの主演男優賞や、大本命と言われていた撮影賞がノミネートから漏れたこと、そして前作から36年振りの続編であるということがネックになってくると思われます。

ただトム・クルーズは作品賞の方にプロデューサーとしてノミネートされているので、「どうしても彼にオスカー像をあげたい!」と考える会員は、トップガンの作品賞に票を投じるかもしれません。

ちなみに本作が作品賞を受賞すれば、「前作が作品賞にノミネートされていない続編として初の作品賞」になります。

3位予想は『西部戦線異常なし』。第3回アカデミー作品賞を受賞した『西部戦線異状なし』のドイツ版リメイクです。前哨戦では影の薄かった本作ですが、組合賞から突如パワーを発揮し、英国アカデミー賞では14ノミネートを獲得。外国語映画として史上最多の7部門を受賞しました。

ロシア・ウクライナ戦争に敏感な会員や、ヨーロッパ会員の票は根こそぎこちらに流れそうですが、既にオリジナル版が作品賞を獲っていることや、「外国語映画賞の大本命」という部分が気がかりです。

基本的に外国語映画というものは、外国語映画賞さえ受賞できれば充分なわけで、アメリカの賞が外国語映画を頂点に選ぶというのは、相当勇気のいることです。ましてや、あの大傑作『パラサイト 半地下の家族』と肩を並べることになるわけですから、極めてハードルは高いです。

しかもその上、本作はアカデミー会員が大っ嫌いなNetflix作品ですからね。技術部門の総ナメでバランスを取る気がします。ちなみに僕は『ROMA/ローマ』や『パワー・オブ・ザ・ドッグ』の恨みは一生忘れませんよ。

4位予想に挙げた『イニシェリン島の精霊』は、地元の英国アカデミー賞で冷遇されたあたりからもう厳しそうですし、5位予想の『フェイブルマンズ』は興行的に振るわなかったことや、ピークがゴールデン・グローブ賞に来てしまった感があり、やや失速状態。

残りの作品は、もはや受賞の可能性はゼロ!と断言しても良いでしょう。と言うわけで、僕の最終予想は『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』です。


監督賞

ノミネート一覧(有力順)
① ダン・クワン&ダニエル・シャイナート(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス)
② スティーヴン・スピルバーグ(フェイブルマンズ)
③ トッド・フィールド(TAR ター)
④ マーティン・マクドナー(イニシェリン島の精霊)
⑤ リューベン・オストルンド(逆転のトライアングル)

まぁこちらも大本命はダン・クワン&ダニエル・シャイナート、通称ダニエルズで間違いないと思います。マルチバースが題材なだけあって、その独創性はずば抜けており、演出のみならず作者陣を輝かせる能力も抜群に高いことが評価ポイント。

実際、本作から4人もの俳優が演技賞ノミネートを受けており、そのどれもが本命と言っても過言ではない位置につけています。

また一方で問題点もいくつかあり、まず老会員の多いアカデミー賞においてダニエルズの功績は評価されるのかが不安なところです。賞には似つかわしくない下ネタやアメリカンジョークが複数散りばめられており、いくらアメリカでは大ヒットしたと言っても、ダニエルズに対して拒絶反応を起こした会員は少なからずいるはずです。

そして何よりも監督賞は実績がものを言う部門でもあるため、『スイス・アーミー・マン』しか作品のない彼らは到底不利というわけですね。まぁ好きな人はとことん好きでしょうから大丈夫だと思いますけど。

そして2位予想は我らがスティーヴン・スピルバーグ。『ROMA/ローマ』や『ベルファスト』に続く、監督自身の自伝的映画の決定版。相変わらず巧みな演出力によって、ゴールデン・グローブ賞で3度目となる監督賞を受賞。

もちろんアカデミー賞でも3度目の監督賞に大手がかかっている状態…ですが、前述の通り、『フェイブルマンズ』はピークがゴールデン・グローブ賞に来てしまったので、もはや「他の監督に譲ってあげて」という気持ちを抱く会員の方が多くなっているはずです。

そうなると強いのが3番手、4番手予想のトッド・フィールドマーティン・マクドナー。トッド・フィールドは前作『リトル・チルドレン』から16年振りの新作で、堂々の初ノミネート。アメリカでは、「3時間近くある内容なのに一切長さを感じさせない演出力」が高く評価されています。

しかし、本作『TAR ター』で最も高い評価を受けたのは、主演のケイト・ブランシェットであるため、そっちに票が流れてしまう可能性があります。

一方のマーティン・マクドナーは、前作『スリー・ビルボード』で作品賞を逃しており、それ故に多くの会員が彼を応援していると思われるのですが…、マクドナーに賞を与えるならば監督賞より脚本賞の方が「絶対」と言えるため、監督賞での存在感は若干薄くなっている気がします。

最後にリューベン・オストルンドですが、スウェーデンの監督ということや、カンヌ国際映画祭を2連覇したことがむしろネックになるはず…。ノミネートこそが勝利枠。やはりこの部門はダニエルズの受賞で間違いないと思う。


主演男優賞

ノミネート一覧(有力順)
① ブレンダン・フレイザー(ザ・ホエール)
② オースティン・バトラー(エルヴィス)
③ コリン・ファレル(イニシェリン島の精霊)
④ ビル・ナイ(生きる LIVING)
⑤ ポール・メスカル(aftersun アフターサン)

1位予想は断トツでブレンダン・フレイザーです。過去に『ハムナプトラ』シリーズや『センター・オブ・ジ・アース』で人気を博すが、ハリウッドでのセクハラ被害や結婚生活の破綻などから鬱状態となり、一時的に姿を消しました。そして本作で再び表舞台へカムバック。

余命宣告された体重270キロの父親という役柄も相まってか、フレイザーは『ザ・ホエール』の撮影段階からアカデミー賞を獲ると噂されており、満を持してお披露目となったベネチア国際映画祭でのプレミア上映時には、彼に対して6分間のスタンディングオベーションが鳴り止まなかったことも話題になりました。個人的にその動画がTwitterで流れてきたとき、もらい泣きしそうになりました。

もしかしたら、これがブレンダン・フレイザーにとって最初で最後のチャンスになるかもしれない。そしてブレンダン・フレイザーがSAG(全米俳優組合賞)を受賞したときの涙のスピーチで完全に心を奪われてしまったという会員も多いはず…。(それに冷めた人もいそう)。

ただし、対象作が作品賞にノミネートされていない(つまり作品評価はそこまで高くない)ことがマイナス要素となってきそうです。

対抗馬はエルヴィス・プレスリーを演じて、作品を大ヒットへ導いたオースティン・バトラーで間違いないと思います。オスカーは実在の人物を演じると高い評価を受けやすく、去年はジェシカ・チャステインが、その前にはレニー・ゼルウィガー、ラミ・マレック、ゲイリー・オールドマンと…挙げればキリがないほど。

しかも、この部門は勢いに乗った若手俳優がめちゃくちゃ強い。その上、大ヒットというだけあって、世間が最も喜ぶ受賞者もバトラーだと思います。でも彼はまだまだ若手というところで今回は見送られる可能性もあります。

そして前哨戦で大健闘したコリン・ファレルですが、主演男優賞の中で最も素晴らしい演技をしていると思うのですが、オスカー受けの悪い「静の演技」が中心であることや、『イニシェリン島の精霊』の勢いが失速していることが足枷に。

これまでオスカーに冷遇されていたという点も含めて、個人的には一番応援してるんですけど…。今回は厳しそうですね。

ビル・ナイとポール・メスカルは、前哨戦の結果を見るにノミネートが勝利でしょう。


主演女優賞

ノミネート一覧(有力順)
① ミシェル・ヨー(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス)
② ケイト・ブランシェット(TAR ター)
③ ミシェル・ウィリアムズ(フェイブルマンズ)
④ アンドレア・ライズボロー(To Leslie)
⑤ アナ・デ・アルマス(ブロンド)

ここは見事なまでにミシェル・ヨーケイト・ブランシェットの一騎打ち状態ですね。僕の予想もミシェル・ヨーです。

マルチバースという設定を駆使して様々な役柄を演じ分ける時点でもう既に「ズルい」んですけど、その上で英語と中国語(そして広東語)などのセリフを使い分けたり、60歳とは思えないほど豪快なアクションを繰り広げたりと、比較的手に取って褒めやすい要素が多いです。

また主演作が作品賞の大本命というところや、もし受賞すればアジア人初の主演女優賞という快挙なのも追い風になっている気がします。改革が求められるアカデミー賞において、「多様性」という言葉は切り離せませんからね。

一方のケイト・ブランシェットは、もし今回受賞すれば三度目のオスカー(主演女優賞と助演女優賞を1回ずつ受賞済み)となりますが、もはや彼女の実力を考えればそれでも少ないと感じる会員も多いはず…。

しかし、裏を返せば常連ゆえにまだまだこれから可能性はあるというわけですから、「メリル・ストリープ」ルートに入ってもおかしくありません。実力だけで言えば確実にブランシェットなんでしょうけど、ここはもう会員たちの心のせめぎ合いになると思います。

3位予想のミシェル・ウィリアムズは、スティーヴン・スピルバーグの母親役。どう考えても助演に相応しい役柄ですし、本編を観てもなお助演女優賞でプッシュしていれば確実に受賞していたのになぁ…という印象。素晴らしい演技ではありましたが、上記の2人と戦えるほどではないと思われます。

そして4番手のアンドレア・ライズボローは、前哨戦では全く姿を現さなかった故に、ハリウッドスターたちによる猛烈なキャンペーンが問題視されて、変に悪目立ちしてしまった感があります。

またライズボローの急浮上によって、有色人種である『Till』のダニエル・デッドワイラーや、『The Woman King』のヴィオラ・デイヴィスがノミネートから漏れてしまった事への反発も大きいはず…。受賞なんてしたら大炎上ですよ。

そしてアナ・デ・アルマスは、主演作の『ブロンド』がゴールデン・ラズベリー賞で大量にノミネートされており、作品評価は最悪。マリリン・モンローを果敢に演じ切ったという点でのみ評価されており、同情のノミネートと言えます。受賞はやはりミシェル・ヨーでしょう。


助演男優賞

ノミネート一覧(有力順)
① キー・ホイ・クァン(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス)
② ブレンダン・グリーソン(イニシェリン島の精霊)
③ バリー・コーガン(イニシェリン島の精霊)
④ ブライアン・タイラー・ヘンリー(その道の向こうに)
⑤ ジャド・ハーシュ(フェイブルマンズ)

まず1位予想は、もちろんキー・ホイ・クァンです。子役時代から『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』や『グーニーズ』で活躍し、20年振りに俳優業に復帰した2本目に選んだのが『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の出演。

子役時代を彷彿とさせる役柄に、マルチバースによって様々な姿を演じ分けるというこれまた「ズルい」!しかも、作品の魂と言ってもいいキャラクターで、クライマックスでは美味しいところを根こそぎ持っていきます。

そして批評家・組合賞ともに強烈な強さを発揮し、前哨戦では完全なる独走状態。何か間違いが起きない限りは、このまま勢い任せて受賞するはずです…。

2位予想に挙げているブレンダン・グリーソンは、出演作『イニシェリン島の精霊』の勢いが失速していることと、共演者であるバリー・コーガンとの票割れが起きることが懸念されています。

またアカデミー賞と会員媒体が重なる英国アカデミー賞は、3位予想に挙げたバリー・コーガンが制しており、グリーソンよりも少ない出演時間ながら、複雑な役柄でとてつもない存在感を放っています。

この結果は、アイルランドからの地元票が流れたという見方が支配的ですが、到底無視できない存在ではあることには違いありません。

4位・5位予想のブライアン・タイラー・ヘンリージャド・ハーシュは、前哨戦で一度も勝利しておらず、アカデミー賞のみ受賞というのは有り得ないと思います。やはりここはキー・ホイ・クァンで確定でしょう。


助演女優賞

ノミネート一覧(有力順)
① ジェイミー・リー・カーティス(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス)
② アンジェラ・バセット(ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー)
③ ケリー・コンドン(イニシェリン島の精霊)
④ ステファニー・スー(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス)
⑤ ホン・チャウ(ザ・ホエール)

今年は助演女優賞が最も予想の難しい部門で、本命不在のなか迎えたゴールデン・グローブ賞と放送映画批評家協会賞をアンジェラ・バセットが受賞し、彼女が大本命に躍り出たと思いきや、英国アカデミー賞ではケリー・コンドンが受賞。

こちらもバリー・コーガン同様に地元票と考えられていますが、前哨戦ではコンドンが最も多くの賞を獲得しているため、ただの地元票ではないことは確かです。

その後、全米俳優組合賞(SGA)ではジェイミー・リー・カーティスが制し、強烈なスピーチを放ったことで会員の心を掴んだと思われます。また出演作『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が作品賞の大本命で勢いに乗っていることもあり、個人的な予想もジェイミー・リー・カーティスです。

カーティスは、『ハロウィン』で映画デビューを飾り、ホラー映画のスクリームクイーンとして見出され、その後はコメディ俳優として大活躍。もちろん、本作でも何度も笑いを誘う役どころで、ベテランゆえの貫禄すらありました。ぽっこりお腹も自前で、このために太らせてきたというから凄い。

またこれまでゴールデン・グローブ賞では7度ノミネートされて、2度も受賞しているにも関わらず、アカデミー賞では一度もノミネートされたことかなく、冷遇されてきたことも今回は追い風になると思われます。

そして再びアンジェラ・バセット。MCU初の演技部門のノミネートという話題性は抜群。そして主演女優賞において、ダニエル・デッドワイラーやヴィオラ・デイヴィスがノミネートから漏れたことで、有色人種票がここに集まる可能性が高いと思われます。

しかし、出演作の『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』が作品賞ノミネートから漏れたことや、シリーズものというだけあって対象作を観ている人が少ないであろうことがマイナス要素。

前作の主演である故チャドウィック・ボーズマンの想いを背負って頑張ってほしいところはありますが…、ここまで拮抗状態となると、プラス要素を増やすよりもどれだけマイナス要素を削れるかが勝負の鍵になってきます。

そんなベテラン2人の間に割って入るのが、ケリー・コンドンです。が、『スリー・ビルボード』でちらっと出ているくらいで、ハリウッドでの知名度・貢献度はほぼ無いに等しい上に、出演作の勢いが失速していることがネック。

上記の2人が票割れを起こす可能性があるため、絶対に受賞はないとは言いきれませんが、今のところは難しい位置にいる気がします。

そして4位予想のステファニー・スーは、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で極めて重要な役柄であり、マルチバースで多彩な表情を見せるのが素晴らしいのですが、彼女もハリウッドでの知名度・貢献度が低い点や、共演のジェイミー・リー・カーティス、そして同じアジア系俳優のホン・チャウと票割れを起こす可能性があるため、受賞は難しい気がします。

一方のホン・チャウも出演作の評価がそこまで高くないことと、アジア系であるスーと票が割れる可能性があるため、受賞はないのではと思います。

やはりここは多くの俳優から尊敬を集め、SAGで強烈なスピーチを披露し、最もマイナス要素が少ないジェイミー・リー・カーティスが獲るでしょう。


脚本賞

ノミネート一覧(有力順)
① エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
② イニシェリン島の精霊
③ TAR ター
④ フェイブルマンズ
⑤ 逆転のトライアングル

本来この部門は作品賞受賞の可能性が最も高い『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が大本命なんでしょうけど、勢いが失速した『イニシェリン島の精霊』はもはや脚本賞しか受賞できそうな部門が残っておらず、会員たちもマーティン・マクドナーにオスカーをあげるならここしかないと理解しているはずなので、あえて『イニシェリン島の精霊』を予想に挙げてみます。

ただし本命は『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のまま変わらないと思うので、イニシェリン島は完全シャットアウトになるかもしれません。


脚色賞

ノミネート一覧(有力順)
① ウーマン・トーキング 私たちの選択
② 西部戦線異状なし
③ トップガン マーヴェリック
④ ナイブズ・アウト:グラスオニオン
⑤ 生きる LIVING

ここも脚本賞と全く同じ理由で、前評判は高かったものの、公開直後から失速してしまった『ウーマン・トーキング』が唯一受賞できそうな部門であり、サラ・ポーリーに賞を与えるならここしかないと票を入れる会員が多いと考えられます。

しかし、本作は作品賞と脚色賞の2部門しかノミネートされておらず、作品評価もそこまで高くはない状態。勢いだけで見れば『西部戦線異状なし』の方が受賞する可能性が高いです。ただまぁ個人的に『ウーマン・トーキング』に、と言うよりはサラ・ポーリーにオスカーを獲って貰いたいので、こちらを予想に挙げます。


技術部門

撮影賞

ノミネート一覧(有力順)
① 西部戦線異状なし
② エルヴィス
③ エンパイア・オブ・ライト
④ TAR ター
⑤ バルド、偽りの記録と一握りの真実

ここはSF映画や戦争映画などエンタメ大作が強い部門で、大本命だった『トップガン マーヴェリック』がノミネートから漏れたことで、『西部戦線異状なし』の一強状態になりました。

しかし、全米撮影監督組合賞では『エルヴィス』が受賞しているので若干警戒は必要です。まぁそもそも全米撮影監督組合賞には『西部戦線異状なし』はエントリーしていなかったので、気にする事はないと思いますが…。

音響賞

ノミネート一覧(有力順)
① トップガン マーヴェリック
② 西部戦線異状なし
③ アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
④ エルヴィス
⑤ THE BATMAN -ザ・バットマン-

『トップガン マーヴェリック』が撮影賞から漏れてしまったため、この部門に票が集まると考えられます。『西部戦線異状なし』の会員人気が凄まじいので、もしかしたらもしかするかもしれませんが、今のところ予想は『トップガン マーヴェリック』です。

美術賞

ノミネート一覧(有力順)
① バビロン
② 西部戦線異状なし
③ エルヴィス
④ アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
⑤ フェイブルマンズ

ハリウッド黄金期を描いているというだけあって、『バビロン』が批評家賞で圧倒的な強さを見せたので、そのまま受賞するかと思われます。しかし、作品自体はオスカー会員内での人気があまり高くないので、『西部戦線異状なし』『エルヴィス』が獲る可能性はかなり高いです。ガチ予想なら『西部戦線異状なし』なんですけどね…。

作曲賞

ノミネート一覧(有力順)
① バビロン
② 西部戦線異状なし
③ イニシェリン島の精霊
④ エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
⑤ フェイブルマンズ

美術賞同様に『バビロン』『西部戦線異状なし』の一騎打ちかと思われますが、流石にこの部門は『バビロン』が優勢だと思われます。一度聞いたら頭から離れないテーマソング。作品の善し悪し関係なく、「音楽」に対して評価する部門なので、作品人気が微妙でも票を投じやすい傾向があります。

メイクアップ&ヘアスタイリング賞

ノミネート一覧(有力順)
① エルヴィス
② ザ・ホエール
③ THE BATMAN -ザ・バットマン-
④ 西部戦線異状なし
⑤ ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー

ここは『エルヴィス』『ザ・ホエール』が接戦となっており、技術部門で最も予想が難しいところです。『ザ・ホエール』は体重270キロ超えの男というインパクト勝負で、一方の『エルヴィス』は本物のエルヴィス・プレスリーと見間違う瞬間が何度もあるという驚き勝負。ここは老会員の心を掴んだであろう『エルヴィス』の方だと信じてそちらに賭けてみます

衣装デザイン賞

ノミネート一覧(有力順)
① エルヴィス
② ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー
③ ミセス・ハリス、パリへ行く
④ エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
⑤ バビロン

50-70年代に流行した服装や、キング・オブ・ロックンロールの衣装を完全再現した『エルヴィス』がやや優勢ですが、今回は思いきって『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』に賭けてみます。

マルチバースが題材と言うだけあって、多種多様でオリジナリティ溢れるコスチュームが散見できて、個人的にめちゃくちゃ好きでした。もしかすると『クルエラ』パターンで、しれっと『ミセス・ハリス、パリへ行く』が受賞するかもしれません。

編集賞

ノミネート一覧(有力順)
① エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
② エルヴィス
③ トップガン マーヴェリック
④ TAR ター
⑤ イニシェリン島の精霊

編集賞は、あの圧倒的な情報量を見事にまとめあげた『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で確定だと思います。どれだけ他の部門で冷遇されようと、この部門は確実に受賞するはずです。

視覚効果賞

ノミネート一覧(有力順)
① アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
② ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー
③ 西部戦線異状なし
④ トップガン マーヴェリック
⑤ THE BATMAN -ザ・バットマン-

ここも『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の一強状態で、地球がひっくり返ったとしても受賞は間違いないでしょう。

主題歌賞(歌曲賞)

ノミネート一覧(有力順)
① 「Naatu Naatu」(RRR)
② 「Lift Me Up」(ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー)
③ 「Hold My Hand」(トップガン マーヴェリック)
④ 「This Is A Life」(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス)
⑤ 「Applause」(私たちの声)

この部門は世界的に大ヒットし、会員人気も高いであろう『RRR』から唯一ノミネートされた「Naatu Naatu」がトップを走っており、その後ろを世界的歌姫であるリアーナとレディ・ガガを追いかけている状態。

しかし、レディ・ガガは4年前に『アリー/スター誕生』で1度受賞しており、若干リアーナが優勢かもしれません。個人的にはエブエブの「This Is A Life」が好きなんですけど…、まぁ受賞は無さそうですね。無難に「Naatu Naatu」(RRR)だと思います。


その他の部門

国際長編映画賞(外国語映画賞)

ノミネート一覧(有力順)
① 西部戦線異状なし(ドイツ)
② アルゼンチン1985 〜歴史を変えた裁判〜(アルゼンチン)
③ EO イーオー(ポーランド)
④ The Quiet Girl(アイルランド)
⑤ CLOSE/クロース(ベルギー)

前哨戦で大活躍だった『別れる決心』(韓国)と『RRR』(インド)がいないので、作品賞にノミネートされた『西部戦線異状なし』が難なく受賞するはずです。まぁそもそも『RRR』はインド代表にすら選べてないんですけどね…。

長編アニメーション映画賞

ノミネート一覧(有力順)
① ギレルモ・デル・トロのピノッキオ
② Marcel the Shell with Shoes On
③ 私ときどきレッサーパンダ
④ 長ぐつをはいたネコと9つの命
⑤ ジェイコブと海の怪物

この部門は『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』『Marcel the Shell with Shoes On』の戦いですが、後者は実写パートも多く、実験色のつよい作品のため、安定した『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』が受賞すると思います。なぜかタイトルにギレルモ・デル・トロと付いてるだけで、安心感が全然違いますね…。

長編ドキュメンタリー映画賞

ノミネート一覧(有力順)
① ナワリヌイ
② オール・ザ・ビューティ&ザ・ブラッドシェッド
③ ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦
④ オール・ザット・ブリーズ
⑤ ハウス・メイド・オブ・スプリンターズ

全米製作者組合賞(PGA)と英国アカデミー賞 (BAFTA)を制した『ナワリヌイ』と、ベネチア国際映画祭でドキュメンタリーとして史上初めて金獅子賞を受賞した『オール・ザ・ビューティ&ザ・ブラッドシェッド』の一騎打ち。

と見せかけて、全米監督組合賞(DGA)と全米編集監督組合賞(PGA)を受賞したのは、意外にも『ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦』なんですよね。

まぁ1作品も観れていないので予想するのが難しいのですが(予想するなら観とけ)、ここは米アカデミー賞と投票媒体が重なるPGA・BAFTAを受賞した『ナワリヌイ』で行こうかなと思います。

短編ドキュメンタリー映画賞

ノミネート一覧(有力順)
① エレファント・ウィスパラー: 聖なる象との絆
② Haulout
③ Stranger at the Gate
④ How Do You Measure a Year?
⑤ マーサ・ミッチェル -誰も信じなかった告発-

ここは最も作品評価の高い『エレファント・ウィスパラー: 聖なる象との絆』がしれっと受賞する気がします。ひとつも観れてない側としては、『マーサ・ミッチェル』も邦題が付いてて気になりますね。

短編映画賞

ノミネート一覧(有力順)
① An Irish Goodbye
② 無垢の瞳
③ The Red Suitcase
④ 真冬のトラム運転手/Night Ride
⑤ Ivalu

正直もうどれも見れてないので予想のしようがないんですけど、前哨戦となる英国アカデミー賞では『An Irish Goodbye』が受賞したのでそれを推すと見せかけて、唯一邦題のある『無垢の瞳』に賭けてみます。まぁ多分『An Irish Goodbye』なんですけどね。

短編アニメ映画賞

ノミネート一覧(有力順)
① ぼく モグラ キツネ 馬
② 氷を売る親子
③ My Year of Dicks
④ An Ostrich Told Me the World Is Fake and I Think I Believe It
⑤ The Flying Sailor

ここも英国アカデミー賞を制した&唯一邦題のある『ぼく モグラ キツネ 馬』が受賞すると思われます。タイトルかわいいね。


総括

(Twitter用の画像)

主要6部門を全てA24の配給作品が独占するという、何とも偏った予想っぷり!まぁまぁ、こんなもんでしょう。

授賞式が楽しみすぎて、もう既にワクワクしています。眠れるかな…。

最後までご愛読ありがとうございました!
当たりますように!

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