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精神障がいをお持ちの方と共に働く上でのポイント

2018年4月の「障害者雇用促進法」の改正によって精神障がい者が法定雇用率の対象となり、企業における精神障がい者の雇用が伸びています。
しかし、精神障がい者が働く職場からは「コミュニケーションがうまくいかない」「接し方はどうすればいい?」といった声が多く聞かれています。

ひと口に「精神障がい」といっても病状はいくつもあり、統合失調症・気分障害・てんかん・依存症・高次脳機能障害・不安障害・発達障害など、さまざまな精神疾患が含まれるのが「精神障がい」です。

職場で一緒に働く機会が増えてきた精神障がい者と共に働くにあたってのポイントを見ていきます。


一人ひとりを知る

精神障がいといっても様々な病状があり、同じ診断がついていても、個人によって症状や特性が違います。

精神障がいの人は、障害の特性が目に見えにくいので
「一人ひとりを知ること」、「得意なこと」、「苦手なこと」をしっかり把握する事が大切です。
その上で、「できること」や「強み」をいかせるような役割・作業を任せてみる事ができるかもしれません。

例えば、Aさんは臨機応変な対応は難しいですが、集中力があります。そのような状況から、一度にたくさんのことを同時に行なったり、考えたりするような業務ではなく、1つの動作に集中できるようなデータ入力や書類の整理などを任せる事が良いかもしれません。


雰囲気づくり

身構えず自然に接する
障がい者としてではなく、1人の同僚や仲間として受け入れましょう。過度の配慮は不要です。

困った時に相談しやすい雰囲気がある
あたたかく見守り穏やかに話しましょう。
とはいっても、忙しいときに声をかけられると、ついこちらも厳しい口調で応えてしまったりしがちです。

そのような時には、「今は忙しい」ということをはっきり伝え、別の時間に聞くことを提案しましょう。

できること・できないことをヒアリングする
精神障がいは、目に見えない障がいゆえに誤解されることが多いため、事前にどのような事ができるのか、できないのかをきちんと把握することが大切です。

最近は、当事者たちも就労移行支援事業所等の就職準備の中で、自己理解を深めたり、自分の取扱説明書を作ったりして、自己理解を深めていることが多いようです。

指示を出す人は1人に決める
複数の人が指示を出すと混乱することがあります。

特に慣れるまでは、1人の人から指示を受けたり、相談できる体制を作ることができると、当事者にとっても質問や
相談がしやすくなります。

業務はできることから始めてもらう
新しい環境の中で、とても緊張していると思います。
まずは職場に慣れて、自信をつけてもらうことが大切です。

一度にたくさん任せず、1つずつ任せる
同時にたくさんのことをするのは苦手な人が多くいます。一度にあれもこれもと任せるのではなく、「今、行っている業務が1つ終わったら、次にこれをやる」
というように、1つずつ行なっていくと、焦らずに仕事を進められます。

その時に、事前に見通しがつくように、ある程度のスケジュールを伝えると良いかもしれません。例えば、今やっている業務は、「◯時間くらいで行なってほしい」などのようにです。

適度な休憩休みを取れるスケジュール
無理のない勤務スケジュールを組みましょう。
また、休憩時間は、事前に何時からと決めておいたほうが、休憩時間を取りやすいようです。

企業の担当者からすると、休憩時間はその時の状況に合わせて柔軟に取れるようにしてあげようと思っているのですが、当事者たちからすると、その休憩のタイミングを決めるのが難しかったりします。

すぐに結果を求めない・追い込まない
新しい職場、新しい業務と、当事者にとっては緊張の連続です。その中で、落ち着いていつものパフォーマンスを出せばできる業務が、できない事もあるかも知れ
ません。
すぐに結果がだせない事もありますが、長い目で教育してください。


関係づくり

ちょっとした声かけ・気遣い
いつもと様子が違うと感じた時には、こちらから声をかけてみましょう。
「自分は職場の人に気にかけてもらっている」と、本人の存在を気にかけていることを示すことも大切です。

良い面は評価し、きちんと言葉で伝える
こちらは評価しているつもりでも、状況を読み取ることが苦手な特性をもっている人たちの中には、ニュアンスや表情では伝わりにくいことがあります。

具体的に何が良くできていたのかを具体的に言葉で伝えると、本人たちにとって理解しやすくなるでしょう。

メモやメールでのやりとりを取り入れる
相手の話を聞き取るのが苦手な事があります。
口頭で伝えると指示が伝わりにくいと感じるのであれば、口頭で説明するのと同時にメモを渡したり、メールで内容を確認できるようにしておくと、相手に伝わりやすくなります。

定期的に面談したり、業務日誌を活用する
自分から相談を持ちかけるのが苦手な事があります。また、いざ時間をとって面と向かうとうまく話せないという事もあります。
時間を決めておいて面談することを提示しておけば、当事者も伝えておきたい事を事前に整理することができるかもしれません。また、業務日誌を活用することによって、自分の状況を把握しやくなったり、振り返りがしやすくなることもありますし、こちらも状態を把握しやすくなります。


綜合キャリアトラストの「定着支援サービス」

私たちもそうですが、会社の上司、先輩、同僚にはなかなか相談できないということがあります。
特に精神障がいの方は、そういった特徴が顕著であるようです。
弊社の「定着支援サービス」は、企業と障がい者の間で第三者的な立場で対応するとともに、障がいの特性についてしっかり理解してくれているという安心感から、自分の状況を話してくれやすい状態を作る事が可能となります。
当事者からの相談内容は、会社や仕事の内容だけでなく、生活における相談も含まれる事が多く、会社では対応しきれない事があります。
生活における相談は、地域の支援者や主治医などと連携をして解決できるよう対応し動いて参ります。

雇用頂いている障がい者の皆様の安心し安定した就業のサポートさせて頂きます。
費用については、高齢・障害・求職者雇用支援機構からの雇用安定のための助成金を活用頂くと、費用のほとんどが支給頂けます。

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