読んだもの:画像に写った情報

これは、読んだものについての簡単なメモです。
あまり多くを書くことはできないけれど、ついったでは書き留めるのが難しいようなものについてメモを残しておくことと、関心の共有が目的です。

引用は自分の印象に残ったものを抽出したもので、もちろんそれが原文全体の内容や主張を代表するものではありません。

スナック菓子の袋に反射した光から、周囲の様子を画像で“復元”する:米研究チームが実験に成功

ある部屋に、無造作に置いてあるポテトチップスの袋。そんなものが、ある写真に写り込んでいたとして、そこに多くの情報が含まれているなんて、普通は考えないと思う。

少し前に、ある女性の写真に映った景色からその場所を特定した、というとても怖い話があった。

この事件は、犯人の尋常じゃない執着が実現したものだと思うけれど、「ピースをしたら写真から指紋を取られてしまう」なんていう話もあるくらい、何気なく映っているものには、いろいろな個人的な情報が入っているということが、とても強く感じられるようになってきている。

だけど、現実はもっと進んでいるらしい。

最近の機械学習や人工知能と呼ばれるものの進歩はものすごい。まだまだできないことも多いけれど、「できるはず」だったものが「できること」にどんどん変化してきている。人間の感覚では抽出できない情報も抽出できるようになってきている。

リバースエンジニアリング」という言葉がある。
いろいろな意味合いがあるけれど、対象物からその構造や設計図を作ってしまうことを言ったりする。とある機械の写真をこっそり持って帰ったら、それをもとに立体構造を復元して、さらに設計図まで再現してしまったりする。

機械学習の「学習」というのは本当にすごいもので、「ある環境と光」という要因が作り出した「光沢」という結果から、要因と結果の関係性を抽出して、結果をもとに要因を再現してしまう。

これは、本当に怖いものだと思う。
この記事でもとても印象的だったのは、倫理のことにも触れていることだった。

学問の一分野としての情報科学の規範は、今回のような学術論文が人々のウェルビーイングに多大な影響を与える可能性があるという事実に取り組むまでにはいたっていません

哲学や倫理という領域が、この技術の進化と社会への実装のスピードに対応できていないということについて、思慮に富んだたくさんの人達がいろいろな機会に発言していて、そのことにとても関心を持っている。
だから、自分がいま一番自分の中で掘り下げなきゃいけないのは、哲学とか、そういう根源的なものに触れる領域なんだと思っている。

人間ではないものに、「よい」ということについて提示できるほど、我々は「よい」ということについて理解できていません。

どこかで読んだはずなのに、どこで読んだか忘れてしまった言葉。だけど、とても大切なことだと思って覚えている。
原典を見つけ出せたら、また書きたい。

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光沢のある物体にちょっとしたコンピューター処理を施すことで、ほぼ何でも鏡のように使えることが、このほど明らかになった。

ワシントン大学のコンピューター科学者のチームが発表した最新の研究によると、金属で表面処理を施したスナック菓子の袋から反射される光を利用して、周囲の環境を比較的信頼できる状態で画像として復元できたという。

「注目すべきことに、光沢のあるポテトチップスの袋を撮影したイメージには、袋が置かれている部屋の詳細な画像を再構築できる程度に十分な手がかりがある。そこには部屋の照明や窓の位置、窓の外に見える物の配置などについての情報が含まれている」
ひとつの事例では、窓の前に立っている男性のシルエットを抽出することができた。別の例では袋の反射光を使うことで、部屋の窓越しに見える通りの向こう側の住宅を、何階建てなのかわかるほどの明瞭さで確認できた。
今回の研究による再構築の処理は、アルゴリズムの訓練に使われたデータ量が比較的少ないことを考えると驚くほど精度が高いと、コーネル大学のコンピューター科学者エイブ・デイヴィスは言う。
光沢のある物体の現実的な外観を作成することは、ARやVRの研究者の間で大きな難題になっている。
例えば、ポテトチップの袋の光沢のパターンは、明るく照らされた部屋の中で違った角度から見ると、劇的に変化する。この光沢パターンの変化をコンピューターで再現することは困難なので、VRでは光沢のある物体は、ゆがんだりつぶれたりしているように見えることが多い。だが、ワシントン大学の研究チームは、光沢のある物体の周囲の環境を再構築することで、より現実的な外観を作成することに世界で初めて成功したのである。
これに対してメトカーフは、論文を執筆したパクたちが倫理的配慮についても明記すべきだと考えている。実際に情報科学界は全体として、出版物のなかに倫理に関する章を一貫して盛り込む必要があるという。

「ここで明確にしておきたいのは、これは特に今回の研究チームに対する批判ではなく、情報科学の規範に対する批判だということです」と、メトカーフは言う。「学問の一分野としての情報科学の規範は、今回のような学術論文が人々のウェルビーイングに多大な影響を与える可能性があるという事実に取り組むまでにはいたっていません」
「その辺に置いてあるありふれた物体の画像にも、驚くべき量の情報が含まれているのです」と、デイヴィスは言う。適切なアルゴリズムさえ用いれば、どれだけかすかな音や、ほのかな光からも、情報を得ることができるのだ。

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