時間を遡ることはできないけれど、

記憶には残っている。
ある種の記憶は、時々鮮やかに蘇っては、恥ずかしさや後悔を連れてくる。

「心にもないことを言ってしまった」

違う。
心にはあったんだよな。たぶん。一瞬かもしれないけれど。

「ことばが足りなかった」

そう。
色々な文脈とか、自分の中からことばとしては出てこなかった前提とか。でもそれが足りていたとしても、結果は変わらなかったかもしれない。

変わらなかったかもしれない。けれど、変わっていたかもしれない。
これまでの道程を振り返ることができるからこそ、あの交差点での選択を悔やむ。

あの交差点であっちに行っていたら、と考えることは特権だけど、その夢想は実現しない。

次に、よく似た交差点に出くわすのはいつだろうか。
その時は、うまく渡れるといいなあ。

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