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一般高校時代

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それまで過ごした聾学校から、一般高校(聾学校ではない)に進学したあとの高校時代のNoteをまとめています。 ※マガジン分類は今後変わることがあります
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2021年1月の記事一覧

「原因不明」の腹痛に悩まされながら、私は高い空から私自身の体を見下ろしていた。私は思考を身体から切り離してその場をやり過ごした。

聾学校小学部高学年のとき私は、担任の先生に「屁理屈ばかり言って!」とよく言われていた。私は、その場で思ったことをすぐに言う子であった。何か言われても、私はそれをおなかにいったん納めることができず、すぐに言い返した。弁がたつ子どもであった。 そして私は聾学校を卒業し、一般高校に進学した。 最初の1年間は私は毎日休まずに通ったと思う。欠席したかもしれないが、その記憶はない。私は機械的に登下校をした。私がどういう状況で高校生活を送っているのか、私は誰にも言っていなかった。 高校

聾学校は「仮想現実」だった。一般高校に入った私は、仮想現実での経験をふまえ、話が分からなくてもそのままにしよう、聞いてもいいことはないと思った。

クラスメイトに、読話が苦手なKさんがいた。 授業はすべて口を読み取り、話すという音声ベースで行われた。そこには手話どころか身振りさえなかった。私たちは、不明瞭な発音で発言し、先生は慣れた耳と口の形と文脈からそれを聞き取った。先生は、聴こえない子どもがわかるようにゆっくりと文節ごとに区切って話をした。その話し方でも、Kさんは読み取るのが難しいようだった。 小学部3,4年生のときである。S先生は、国語の授業で、私たち子どもに発言させた。そして、S先生は、今出た発言の内容について