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happyender girlのこと

いつも楽しみにしている新しいアルバム。もちろん今回もめちゃ楽しみにしていたわけですが、ジャケットを見て一度聴いたら聴けなくなってしまって……。これは以前『さよならのハッピーエンダーガール』の時にもあって数ヶ月音楽が聴けなくなってしまうみたいなこたがありまして。今回は他の音楽は聴けるけど肝心のアルバムは聴けなくて。まあそんなわけで、気持ちが向くまで保留。昨日、昼下がりに駅のエスカレーターを降りていたらふと聴こうかなとなってようやく聴けました。なのでー自己満足な感想を少しずつ追加していきます。ただ、感想を書く時はめちゃ聴かないと書けないんですね。でもこのアルバムは大量摂取が難しい……まあ気が向いたら記録しようかなと。そんなことを。記録を残すのは誰かのためではなく自分のためなので。あくまでもわたしの記録。

今回のジャケットは2人の女の子がいるわけなんですが、おそらく左側はヘルベちゃん。右側はミクちゃん。ヘルベちゃんはexになってから第三者の手が加わるようになったその象徴みたいで。その左側の少女には赤いバツ、右側の少女の顔は黒で空っぽに。かつて、expopmusic ではミクちゃんの顔にお札が貼られていました。わたしからするとそれは封印されてしまったようで……
happyender girlでは1人で。exは誰かと協力して。誰かに協力してもらうことについて以前はハードルが高いことだったと思うけど、それはおそらく次の段階で。でも結局最後にヘルベちゃんは消されてまた1人になってしまった。そしてまたhappyender girlに。この約3年間は全部幻想だったのかもしれない。そんなことを聴きながら考えていました。思い起こせばexとして最初に出したアルバムのジャケットは他の人が手がけたものでした。これまで全部ご自身で手がけられていたのでインパクトがありました。なので、このアルバムのジャケットがAIで作られてるってのはポイント高いですよね。

今回のアルバムはご自身が『その後の少女たち』の世界観を拡張したものだと発言されていました。ただ、正直なところあの少女たちはあの曲の後もいつもどこかにいて、夏には一緒にライブもしていました。あれはヘルベちゃんがドリアワのジャケのTシャツ着てたりとかして色んな意味でヤバかったんですよね。そのためにヘルベちゃんはギターの弾き語りもしてる。私たちの知らない場所で彼女たちはいつもいて。なんかきっとそうなんだろうなと。非常に抽象的ですが。

そもそもこの作品はアート作品なんですよね。ひとつの。以前、『惑星ザムザ』という布施琳太郎さんのキュレーション展に伺ったことがあるのですが、あれに近いなって。「テキスト以前の物資」。まさにそれ。実験的というより前衛的であってインスタレーションに近いような。毎回、happyender girlが作り出す空間の中で私たちは漂っていますが、それがより色濃く完全に引き摺り込まれてしまいます。

では、感想です。

①長い廊下
長く静かに続くイントロのようなメロディが延々に続きいなくなってしまったきみのことを想い、最後の最後でまるで壊れてしまったかのように大きな音で勢いよくメロディが進んでいく。きっと何かが壊れてしまった。

②リマインドミー! [forget me] 
ミクちゃんの大切な部分が壊れてしまって空っぽな、まるであのジャケットのような。音楽だけが聴こえる。そこにあったはずのものが失くなってしまって。けれど微かに聴こえる誰かの歌声。かつて側にあったものは雑踏の中に紛れ込んでしまって手の届かないところに消えかかっている。それをどう捉えるか。それは私たち聴き手に委ねられている。あの時聴いた歌は幻だったのか。
音がまろやかでハピガの音だった。
わたしはこういうある一定の範囲からはみ出ることなく収まってるみたいな音がとても好きなんだと思う。

③ニノコルモノ [playback] 
こちらのバージョンはより近い。側にいる。先に出ていたバージョンは遠くに彼女たちを眺めているそんな雰囲気があったけれど、こちらはより近くにいて。ミクちゃんの幼い声がより合っていて。音が多すぎるものはどうしてもその音の多さに惑わされがち。なのでこのくらいの音の量が私にはちょうど良かったです。音の歪み具合もクリアに歪んでいてhappyender girlはわりと聴き手に対してぶつけてくるパートが結構あってわたしはそれが好きなんですけど、その部分が少し控えめになっているのかなと。こういう守りに入ってるある一定の範囲からはみ出ないようなそういうのがとても好き。全体的にとてもわたしの好きなハピガが詰まってるバージョンでした。とにかく微妙に違うバージョンがとても好きなので。

④残存の夜
なんといっても浮遊感がいいですね。どこかで聴いたことのあるようなメロディ。キャンディゴーストのなかにいた少女。あの少女がいた場所にこの少女たちもまたいるのかなと。タイトルからイメージされる通り。立体的な空間の中でキラキラと光る金平糖みたいな。

⑤白日の下
私の好きなhappyender girl。この独特なメロディラインと音の重ね方。途中の右上がりな感じ。特にパイプオルガン調の音がめちゃくちゃ良い。そしてめちゃくちゃ好き。これはリトルガールズと繋がっていて、過去とリンクしているなあと。シャンシャンシャンシャンが控えめでこういうところは以前と違っていて。音が全体的にまろやかでいてとんがっていて、一定の範囲からはみ出してくところとか。とにかくメロディが色々詰まっていて聴いていてとても楽しい。でもちゃんとまとまっている。すき。

⑥おもいでづくり
好き。たまにこう部屋の中でミクちゃんが歌っているような距離感の作品がありますがまさにそれ。ディスプレイで隔てられた世界にいる我々が同じ空間で重なる瞬間。今回はカセットテープから流されていて。声のトーンに親密さがあって好き。このアルバムだとちょっとホッとする感じ。作ってるご本人に重なる部分があってなんとも感慨深い。和音が軽快に飛び跳ねていくようでまるで貴婦人の乗馬。

つづく……

⑦ストラトキャスト [2022.08.14 "still dreaming (hour) vol.1"]

⑧ghost 2 [u] 

⑨その後の少女たち [afterwords]

書き上げる前にパッケージングされたCDを手に入れました。
そこには私が望んでいたものが描かれていて、ちょっと泣きそうになりました。



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