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スタートアップとは2

前回の復習

ということで前回の続きです。
前回は

スタートアップとは

という最も基本的かつ意外と答えられる人が少ないテーマについて触れました。

はっきりとした定義がない中で、共通認識として

新産業の創出、または既存産業にイノベーションを起こし、急成長を遂げる企業

であることを説明しました。

少し復習ついでに説明すると

•新産業の創出とは

まだ身の回りに存在しないビジネス、または新しい場を作り出すこと

例:Facebook(ネット上でコミュニケーションが取れる「場」を創出)

•既存産業のイノベーション

既に身の回りにあるものに革命(ものすごく便利にしたり、安くしたり)を起こすこと

例:メルカリ(それまで実地またはPC上でしか行われていなかったフリマをスマホ一つで出来るようにした)

上記のような取り組みを行う企業のことを言います。
詳しくは前回の記事を読んでもらえればと思います。


ここまででもスタートアップという概念を理解するには最初のステップとしては十分かなと思っているのですが、今回はもう少し深めていこうと思います。

それは何回も出てきている

「新産業の創出、または既存産業にイノベーションを起こし、急成長を遂げる企業」

の最後の部分、「急成長を遂げる」の部分です。

読者の方の中にはこの部分にはあまり疑問を持たなかった、という方もいるのではないでしょうか。

「え、急成長って短い期間で売り上げを一気に上げるとかって意味じゃないの??」

はい、それで間違いありません。
確かに、ビジネスが上手くいっているスタートアップはみるみるうちに収益を増大させていき、成長していきます。

しかし、この急成長を実現するには一つ乗り越えるべき段階があります。

先に結論を言います。
スタートアップが急成長する前は多くの場合しばらく赤字の時期が続きます。

「え、赤字が続くって良くないんじゃないの?」

そう思われたのではないでしょうか??
ということで、スタートアップの初期段階ではどのようなお金の動きがあるのかを追っていきましょう。

起業時の最大の課題とは

ここからは皆さんが実際にスタートアップを始めたと仮定して、話を進めてみましょう。

皆さんは長年の研究の成果により、動物と話せるスマホのような機械を開発したとしましょう。
この機械はペットなどの動物と話せば話すほどその精度が上がり、半年もすれば不自由なく会話ができるようになるという画期的なものです。
以下ではこの機械のことを、キビダンゴ君と呼びましょう。あまりにも酷いネーミングセンスに卒倒しかけた方もおられるでしょうがご容赦ください。

さて、これは売れると思いあなたは会社を立ち上げる(起業)ことにしました。起業するのに必要な諸々の手続きが終わり、晴れてあなたは起業家となりました。

「よし、早速キビダンゴ君を売るぞ」

ところが早速あなたは困ります。
キビダンゴ君は自作なので作るのに1つあたり1ヶ月もかかってしまうのです。
つまり1年あたり12個しか作ることができず、会社を大きくしたいと思ってもこれでは限界がありますよね。

そこでこう思うでしょう
大量生産できる工場が欲しい。
しかし、ここでも問題が見つかります。
そんな工場を建てるお金を払うことができません。
いくら小規模な工場でもおそらく数億円かかるでしょう。

そうです。これが起業した際の最大の課題の一つ、資金です。
あなたがすでに資産数億円を保有している場合は何とかなるかもしれませんが、そうでない場合はどこかから資金を調達する必要があります。

ということで、お金を誰かから借りないといけません。お金を借りるとなるとパッと思い浮かぶのは以下の方法ですよね。

  • 知人から借りる

  • 銀行融資

最初の知人からの借りるのはお勧めできません。
「工場建てたいから3億円貸してくれない?」
なんて友人から言われたらどうしたんだと思いますよね笑

ということで銀行からの借入が有効だということですね。
ただし、これも実は実際問題として難しいです。なぜなら銀行はある程度信用がある相手にお金を貸す傾向があるからです。
企業規模が大きくなって、提供しているサービスや商品が世の中に知れている企業であれば可能かもしれませんが、今回の場合は変な機械を持った人が急に数億円貸して欲しいと言ってるものなので、かなり厳しい状況であると考えられます。

以上より、お金を調達することができないので万事休すかと思ったあなた。実はまだお金を調達する手段が残っていますを

それが

ベンチャーキャピタルです
※実際には銀行やベンチャーキャピタル以外にも例えばクラウドファウンディングや個人投資家などの資金調達方法がありますが、これらの解説については別記事にて行うものとし、今回は代表的な資金調達方法であるベンチャーキャピタルについて解説します。

ベンチャーキャピタルとは

ベンチャーキャピタルというのは簡単に言うと今回話しているような将来有望そうなスタートアップに対して資金を提供する組織のことを言います。

「それって銀行と変わらないんじゃないの?」
考えるかもしれませんが、銀行と大きく異なるのは

ベンチャーキャピタルに提供してもらった資金は返済の義務がない

というところです。
では、ベンチャーキャピタルがどのように利益を生み出すのかと言うと、お金ではなく資金を提供した会社の株式を受け取ります。
株式というのはその企業の価値が上がればそれだけその値段(株価)も上がることがほとんどです。
つまり資金提供の代わりに受け取った株の値段が、その企業の成長に伴って上がることで、その株を売った際の利益で儲けているというわけです。

ベンチャーキャピタルはその頭文字をとって略してVC(ブイシー)と呼ばれることが多いので以下ではこの呼び方を使用することとします。

ちなみにVCがどれだけの利益を産むことがあるのかというと、極端な例ではありますが投資額に対して1000倍になったという例もあります。

これはFacebookの創業当初に投資を行ったVCの例ですが、この例からも分かる通り時にVCによる投資はとてつもない利益をもたらすことがあるということは理解していただけたのではないでしょうか。

だからこそVCはどこにでも投資を行うのではなく、厳選した企業にしか投資しません。そのプロセスは門外不出ですが、基本的には対象のスタートアップに対して

  • どのような市場に進出するのか

  • ビジネスモデル、プロダクト

  • 成長性

など、あらゆる観点で査定を行い投資するか否かを決定します。

また、起業家がどのようにVCと出会うかは様々で、知り合いのツテを辿る、ビジネスのアイデアを発表するピッチコンテストと呼ばれるイベントでの出会い、起業家自らが応募するなど様々な方法があります。

そして無事VCとの接点を持つことができたら、担当者に対して自社の紹介等を行い、それが上手くいけば資金の調達を受けられるという流れになります。

VC内の方々は経営に関する知識が豊富であったり、スタートアップ界隈での人脈があるなど様々な強みを持っている方が多く、資金提供したスタートアップに対して、経営に関するアドバイスなどを行うなど起業家のパートナーとしての役割も果たすことが多いです。

以上がVCに関する概要になります。
VCに関しては以下の書籍が前提知識がなくてもかなり読みやすいのでおすすめです!


資金を調達しよう

少し話がそれましたが、あなたはVCからの出資を受けるために動き出すことにしました。

調べてみるとちょうどVCと出会えそうなスタートアップ向けのイベントがあったので参加してみることにしました。

イベント当日、自慢のキビダンゴ君を十分に飼い犬と会話できるように調整し、その機能を披露しました。

するとあるVCから声がかかり、その後の面談等もクリアし出資してもらえることが決まりました。
(ちなみに普通このように簡単に資金調達が決まることはなく、通常100社が応募した中で投資先として選ばれるのは1社と言われています)

そして、引き続き検討した結果、2つの取り組みが必要なことがわかりました。

  • スマホアプリでのリリースにすること

  • 社員を採用すること

確かにスマホアプリにしてしまえば製造工場を作る必要がなく、初期費用を抑えることが出来ます。またスマホアプリを作り込む際のエンジニアやデザイナー、そして商品を売り込むためのマーケティング(モノをどのように売るか考える役割)の人材が必要なので、社員の採用をする必要があります。

こうしてあなたは資金調達を受け、本格的に動き始めることになったのです。

本記事でスタートアップの成長方法であるJカーブモデルに触れようと思いましたが長くなってしまったので次回に回そうと思います。

次回はいよいよ急成長に向けてどのような戦略を取れば良いのか、そしてキビダンゴ君の運命やいかに!?についてのお話です!


ここまで読んでくださってありがとうございました。
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