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[翻訳] リークをエクスプロイトするための直接攻撃と間接攻撃 by Phil Galfond

今回は、フィル・ギャルフォンドが最近新たに始めたニュースレターの投稿を取り上げます。

フィルはエクスプロイト戦略の構築をリーディングとアジャストの2ステップに分けて解説しています。中でも特にアジャストに関する解説が面白かったので、今回翻訳したいと思います。
フィル自身、今まで書いた中でも、最高の戦略記事だと思うとツイートしています。

Phil Galfond

エキスパートエクスプロイト: リーディングを元にアジャストする方法

Expert Exploits: From Reads to Adjustments
2023/7/25 投稿

先週、私はリーディングをする方法について投稿しました。これは相手の弱みをエクスプロイトするための重要なステップであり、このゲームにおいて最も利益に繋がる部分です。

私にとって、読み(リーディング)を構築することは、時間がかかりますし、退屈で、組織的で、大変な作業です。
一方、読みをエクスプロイトに変換することは、楽しくて、クリエイティブで、エキサイティングな作業です。

と言っても簡単ということではありませんが、これこそ私たちがやるべきことです。まずは、単純な原則から始めて、それから本当に楽しい部分に話を進めて行きましょう。

最大の弱みを見つける

相手に対する読みの一覧ができたら、どのリークが最も大きいか、考えてみましょう。

もしあなたが誰かとヘッズアップをプレイしているのであれば、すべてのリークを突くことができるかも知れませんが、複数人を相手にするリングゲームにおいては、すべての相手のすべてのリークに対して緻密なアジャストを実行できるとは期待できません。

投資に対して最も大きなリターンを得られるところに集中しましょう(ここで言う投資とは、費やす注意力と思考のこと)。

  "弱み" は "レンジの強さ" にある、という可能性を忘れないこと

もし相手があまりに強すぎるレンジでダブルバレルを打っていた場合、それはリークです。あなたはそのリークを主にフォールドすることでエクスプロイトします。

ある特定のリーク(またはリークの集合体)に対して複数のアジャスト方法が存在することもありますが、その時は最もインパクトの大きいものを選ぶことが私たちの仕事です。

では、例を紹介しましょう。

直接攻撃

ターンでのCBレンジが強すぎる相手を例にしてみましょう。このリークに対して、複数のアジャスト方法を考えてみます。

1: ターンのCBに対して、フォールドを増やす。
簡単で効果的です。これを私は直接攻撃と呼んでいます。ターンCBレンジが強すぎるので、それに対して多くフォールドするのです。

次は "準" 直接攻撃です。

2: リバーのCBに対して、フォールドを増やす。
相手のターンベットレンジが強すぎるのであれば、リバーでブラフするハンドが本来よりはるかに少ないため、リバーベットレンジも強すぎるはずです。そのため、リバーCBに対して、フォールドを増やすことで攻撃できます。

"フォールドすることで、攻撃する"
このエクスプロイトを、相手のEVに対する攻撃だ、と捉えることが非常に重要です。

相手のレンジが強すぎる時、多くのプレイヤーは残念そうに「まあ、この人はあまりエクスプロイトできなさそうだ」と考えがちです。
私は違います。私はニットに対して、喜んでフォールドします。GTO的には決してフォールドしないハンドをフォールドした時、あなたは損失を抑えることで、お金を生み出しているのです。

逆の立場の時はこちらのセットに対して、ツーペアを持つ相手がリバーコールして20bbを失う。一方、あなたはヒーローフォールドをすることで20bbを生み出している、と考えるべきなのです。

間接攻撃

上記が相手のリークに対する直接攻撃だとすれば、間接的な攻撃とはどのようなものでしょうか。

同じ相手が、ノーマルなプリフロップとフロップCB戦略でプレイしていると想定してみましょう。この場合、相手のターンCB頻度は低くなることを意味します。それは、なぜでしょうか。

もしターンに至った時点の相手のレンジはノーマルで、ターンのベットレンジが強すぎるのだとすれば、それは弱いハンドでのターンCBを打ちそこなっていることを意味しているからです。

では、もし相手のターンCB頻度が低いのであれば、どのような間接攻撃が採用できるでしょうか。(より具体的にするため、相手がIPと想定します)

以下はいずれも、本来よりターンCBを打たれる頻度が少なく、レンジが強い、という点につけ込んでいます。

1: フロップで、より弱いブラフキャッチャーでコールする
これらの弱いブラフキャッチャーは、通常ターンでバリューまたはブラフのバレルに降ろされてしまいますが、この相手は多くのブラフを見送るので、このような弱いペアで通常より多くショーダウンできます。

2: リバーでブラフするために、フロップでより弱いドローをフロートする
GTOより多くのリバーが見ることができますし、相手がターンでチェックバックするレンジは本来よりも弱くなるため、こちらはより多くのエクイティを実現できますし、リバーでより効果的にブラフすることができます。

なぜレンジが弱くなるのか、この後詳しく説明しましょう。

3: フロップでセミブラフチェックレイズせず、代わりにチェックコールする
通常、相手のレンジの弱い部分から、ポットを獲得するためにセミブラフでチェックレイズします。相手のレンジの強い部分にぶつかった時、こちらが望む以上の金を入れることになってしまいますが、それは私たちが支払うべき代償でしょう。しかし、今回は違います!
この相手は強いハンドを持っているかどうかターンで教えてくれるようになり、そのようなハンドに対してお金を入れすぎることを避けることができます。また、チェックコールラインでより多くのエクイティを実現することができます。さらにターンがチェックで回った後のリバーでより利益的なブラフを打つことができるのです。

4: リバーでブラフを増やし、バリューハンドのチェックを増やす
上記の例には、フロップチェックコールのハンドでリバーブラフすることも含まれますが、わかりやすいように、これを分けて考えましょう。

相手が見送ったターンのブラフは、すべて相手のチェックバックのレンジに入ります。つまり、チェックバックのレンジには、潜在的にブラフでBet-Check-Betするハンドがより多く含まれるということです。

この弱まったレンジに対するブラフはうまく機能するでしょうし、相手のリバーブラフを誘うために多くのハンドをチェックすることも有効です(特に相手がこちらのバリューベットに対してフォールドしすぎる場合)。

ズームアウト

ここまでの例で学んだことは重要なコンセプトです。

"ポーカーのゲームツリーにおける、すべての枝は相互に関連している"

もし、あるレンジが強まれば、もう一方のレンジは必ず弱まります。
相手がターンでCBを打つべき弱いハンドのほとんどでCBを見送った場合、ターンのチェックバックのレンジが弱まることは避けられません。

リークを発見した時はいつもズームアウトして、そのリークが様々なレンジに及ぼす影響を見つけ出しましょう。

先ほどのターンCBレンジが強すぎる例に対する直接攻撃の方法は明白でした。ただフォールドするだけです。しかし、リークによっては必ずしもそのようなEVの高い直接攻撃のチャンスを与えてはくれません。

リークを抱えながらも、バランスの取れた強いベットレンジを持つことは可能です。それを打ち負かす方法を見つけるのはもっと難しいですが、それが私たちの仕事です。例を見てみましょう。

エクスプロイトが難しいリーク

私たちの相手はターンCB頻度が高すぎるプレイヤーです。その理由は次の通り。
1. ターンで、決してスロープレイやポットコントロールをしない。
2. 薄すぎるバリューベットを打つ。
3. このレンジに十分な数のブラフを入れている。

この相手に対してできる直接攻撃はあるでしょうか。ほとんどないでしょう。
相手は間違った頻度でベットしているにも関わらず、しっかりバランスが取れており、比較的ベットレンジが強いです。

では、採用できる間接攻撃はあるでしょうか。答えはイエスです。

まず、先ほどの例におけるフロップのアジャストと逆のことができます(今回はターンCBが少なすぎるのではなく、多すぎるパターンだから)。

つまり、フロップではいくつかの弱いメイドハンドとフロートしたドローをオーバーフォールドするべきです。また他のドローは、今回フロップチェックコールするとEVを失ってしまうので、よりアグレッシブにチェックレイズするべきです。
こうすることで、先ほどよりターンCBを打たれても嬉しいレンジを持てることができます。

しかし、最もEVが高いアジャストはリバーでやってきます。

この相手がターンをチェックバックした時のレンジは、少しではなく、完全にキャップされます。この相手は非常に強いハンドであっても、決してターンでチェックバックしません。
この相手は、本来ターンのチェックレンジに入れるべき脆弱なハンドをベットレンジに入れることで、アグレッシブで強いターンCB戦略を構築しているのです。

これは、リバーでボードに大きな変化がない限り、私たちはやりたい放題できることを意味します。

より薄く、大きくバリューベットが打てます。
より薄く、大きくチェックレイズが打てます。
そして、より多くのブラフをレンジに追加し、EVを得ることができます。

仮に、あなたの相手が、フロップ J♠7♠3♥ でベットし、ターン K♣でチェックバックした時に、決してJ9より強いハンドを持っていないとします。リバー 2♥が落ちたら、あなたはJ9で500%ポットベットを打つこともできるのです。
これは非常に大きなアジャストなので、クレイジーに聞こえると思いますが、本当に良い対抗戦略のひとつなのです。

まとめ

あなたの相手は頻度が高すぎるにも関わらず、かなり強いレンジのターンCB戦略を構築することに成功しました。
しかし、代償なしには不可能です。レンジを構築するためのリソースをどこかから持ってくる必要があるのです。

この記事から学んで欲しいことは、間違ったレンジ構築によるドミノ効果に目を向けることです。そうすれば、可能性に満ちたエクスプロイトマスターの世界があなたに開かれることでしょう。ぜひ、その世界を楽しんでください。

Source: Expert Exploits: From Reads to Adjustments (Hey, it's Phil)
※翻訳は一部、割愛しています。


翻訳は以上です。読んで頂いてありがとうございました!

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